(京都 心療内科 たかはしクリニック
 起立性低血圧 ・ 起立性調節障害 ・ 立ちくらみ


病 態
 
 急に起立したとき、しばらく起立状態を続けたとき、入浴中などに、脳貧血とおぼしきメマイや立ちくらみが頻回に生じる場合、起立性低血圧を疑います。これは体位の変換に応じて、重力の関係で血液が頭部から引き、下半身方向へと移動していくために起きる脳の一時的な虚血現象によります。ちなみに、キリンが頭を下ろして水を飲んだ直後に頭をビューンと上に持ち上げても脳貧血が生じないのは何故か? ということが一時不思議な現象として動物学の分野で研究されていたようです。まだその答えは聞いていませんが、一説ではキリンの血圧は脳虚血を防ぐために300mmHg 位あるとのこと。 中学生くらいの年齢で、急速な身長の伸びに心臓や循環器系の発達が追いつかない場合にも、心臓からの血液の拍出量がまにあわず起立性低血圧(立ちくらみ)がよく発症します。この場合は、加齢による内臓の発達とともに殆どが自然治癒していくことになります。 一方、成人になってもこの症状が持続すると、いつも疲労感が認められたり、精神的集中力も減退するという事態が合併しやすくなります。原因として、やはりその人の循環器系(心臓)の相対的な未発達が考えられています。なかには small heart syndrome といって実際に心臓の形が小さ目の人がおられ、そのため起立時に脳が高位置となったときに脳に充分量の血液を供給できなくなってしまいます。この small heart syndrome は心臓の超音波(UCG)や胸のレントゲン写真で診断が可能です。次に、心臓の拍出能力に問題がなくても、下肢の血管に血液が貯留しやすいというタイプの本症もあります。この場合、起立時に下肢血管が反射的に収縮しなければならないのにタイミングよく収縮できないのです。その結果、頭部への血液循環量が乏しくなるという事態が生じます。一方、健康人においては、急に起立した時などタイミングよく下肢の血管は収縮しますから、脳の血液循環量は保持され大丈夫なのです。                                       



    治 療
  治療は当然、脳へ行く血液循環量を起立時に増やせばよいという事になります。しかし案外これが難しいのです。起立性低血圧に有効とされる薬物がありますが、臨床体験上あまり充分な効果は期待できないと感じています。そこで薬物以外の治療法として、現在次のような方法が考えられています。

■ 毎食事時に、梅干しとコップ一杯の水を飲む。これは食塩と水分を多めに補給することで、体を循環する血液総量を増やし、脳の血管にハリを与えるというものです。つまり、高血圧治療の逆を行うという事です。塩分を含んだスポーツ飲料を多めにとることも同様に効果的です。■ 強めのタイツをはき、下肢の血管や筋肉を締め付ける。これにより下半身への過剰な血液の供給を防止します。結果的に起立時の脳や上半身への血流が増します。■ 下肢や下半身に冷水をかける。これにより下肢の血管平滑筋の急速な収縮能力を強化します。 これは鍛錬法の一種です。■ 食事を多くとり、体重を増やす。体重増加は血圧全般を高くさせ、その結果脳の血圧を高めに変化させます。■ 運動を定期的に行う。これは新陳代謝を高め、循環器系の活性化を図ります。とくに筋力アップのトレーニングは下肢筋肉の血液循環ポンプ作用を高め、下半身から心臓に帰還する血流を促します。結果的に脳循環が促進されます。■ 体内リズムを守るため規則正しい生活をします一日の体内リズムを作るため、朝食をしっかり摂って日中の体温をあげ、朝陽をなるべく浴び、就寝・起床時間もなるべく一定にします。■ 薬剤性低血圧に注意。精神に作用する薬や高血圧・心臓病の薬の副作用で起立性低血圧(立ちくらみ)が生じることがあります。その場合は、薬の副作用について主治医から説明を受けてください。
  重症例では、ホルモン剤(ステロイド系)や交感神経活性薬などが使用されることがあります。これら薬物の効果は人によって大きく異なり、副作用への配慮も必要です。


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