琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう第5回締約国会議

ラムサール条約第5回締約国会議決議Ramsar  logo

釧路声明

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第5回締約国会議
釧路,日本
1993年6月9-16日

決議 V.1, 附属書 1

釧路声明

湿地に関するラムサール条約は、天然の資源と生息地の保全及びワイズユースに関する初めての近代的、地球的規模の条約である。1971年イランのラムサールにおける採択以来、当条約は湿地に関する各政府間の協力体制の枠組みを提供してきた。

湿地はその維持する生物の多様性−ラムサール条約における湿地の定義に包括される、豊かで多様な生息地で見いだされる特徴のある植物相や動物相−にとって重要である。条約の湿地の定義は「天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかを問わず、更には水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか鹹水であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地又は水域をいい、低潮時における水深が6メートルを超えない海域を含む。」である。環境と開発に関する国連会議によるアジェンダ21(章18.39)は全ての国々がラムサール条約に加盟することを目標とするように提言している。ラムサール条約が生物の多様性に関する条約と密接な連携を保つこと及び湿地の生物多様性を保全するためのリーダー的役割を果たし続けてゆくことは当然のことであろう。

さらにラムサール条約ではその発足当初から、湿地の重要性とは、その真価と多様性のために、特定地域の保全の必要性を超えたものであるということが認識されてきた。湿地が持続的に維持されるということは人間の生活にとって重要である。ラムサール条約の「ワイズユースの概念を実行に移すための指針」は、「堆積土砂と浸食のコントロール、洪水調整、水質の保全と汚染の緩和、地上及び地下の水供給の保持、漁業、牧畜業、農業の擁護、人間社会のための野外レクリエーション及び教育、気候安定への寄与」といった湿地の利点と価値を示している。

1971年以来ラムサール条約によって達成されてきた成果、特に湿地の重要性に対する意識が著しく高まっているにもかかわらず、世界中の多くの地域において、湿地の喪失、破壊、質の低下、誤った利用が続いている。1992年水と環境に関する国際会議で提起されたダブリン宜言は、(その第4節15項でラムサール条約締約国がその勧告を支持するように呼びかけており、)ラムサール条約の目標は、「最も高いレベルの政府から、最も小さな自治体全体にわたる、公約と協力を通じてのみ達成され、その公約には、速やかかつ十分な投資、啓発キャンペーン、法制上及び制度上の改革、技術の進歩、能力養成プログラムの裏付けが必要となる。」と述べている。

アジェンダ21及び湿地の生物多様性の保全と賢明な利用を推進する必要性に答える形で、そして生物の多様性に関する条約を即時に実行するために、ラムサール条約は次の3年間で地球環境問題の解決を希求しながらこれらの基本方針を強化してゆく。次の3年間で、締約国は、以下の活動を通じて、ラムサール条約におけるそれぞれの公約を果たして行くことを目指す。

1. 国際的に重要な湿地の保全と管理

2. 湿地の保全とワイズユースの推進計画の立案とその実施

3. 開発援助を通しての国際協力及び多国間に渡る湿地生態系、水資源及び(移動を行う)種の管理

4. 条約に関する啓発及びその目標の推進


[和訳:『ラムサール条約第5回締約国会議の記録』(環境庁 1994)より了解を得て再録]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う]

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