ヤングゼネレーションに愛をこめてふまえ 若者よ、大きな夢を持とう! 現在、南米のブラジルには、日本人が二世、三世を含めて約四十万人いるそうである。初期の日本人移民は、ブラジル人の経営するコーヒー農場に、短期間の契約労働者として移民したのだそうだが、イタリアの移民に比べて成績があがらず、苦しみをなめるばかりで少しもむくわれず、結局失敗に終わったということである。しかし、現在では多数の日本人移民が、契約労働者から独立して自作農となり、コーヒー農場を経営したり、また、都市周辺に集まって野菜栽培や商工業者として、しだいに日本人独特のネバリ強さを発揮して、経済的基盤を固めつつあるそうである。その上、イタリア人やドイツ人などに比較すると、資本力ではまだ劣るが、信用や勤勉さの点では、ブラジル人社会において認められているということを聞いた。ブラジルの日本人移民が、現在の地位を築くまでには、どれほどの苦労と努力があったのかを、私は知ることができないが、さぞかし、毎日が血のにじむような苦闘の連続であったのではないだろうか。いったい何が、故国を遠くはなれたブラジルの原野に、放りだされた青年達をここまでに、逞しくしたのであろうか。それは、大きな夢である。”やったる”というど根性と、太い土性骨にささえられた大きな夢である。毎日、受験勉強ばかりしている”うらなりびょうたん”のような若者、漫画の本を唯一の愛読書として、毎日、麻雀ばかりやっている若者、近い将来は、平凡なサラリーマンとなり、マイホームを夢見る、ただの、給料運搬人になってしまうだろうこの現代の若者達に、いったいブラジル移民の若者のような、大きな夢があるのだろうか。マイホーム建築の夢に燃え、自己中心主義の小さな殻にとじこもって、幸せに暮らしたいと、安易な生活を希望する人が増えている。それは、社会の機構が、若者の夢を大きく育てずに、ひとつひとつ潰し社会という大きな機械の部分品の、一部にしてしまうということに原因のひとつがあるのだが、最も大きな原因は、若者の消極的な、発展性のない小さな夢にあるのである。私は、将来の日本を背負って立つ若者達に、これだけはいっておきたい。大きな夢を抱いて、その夢を必ず現実に結びつけるために、自分の可能性をギリギリまで追求し続けることである。温室育ちの、弱い人間に絶対にならないでほしい。この世の中の人間は、みんな自分のことだけに精一杯で、誰も君達を助けてはくれないのである。”人は助けてくれないし、人にたよっても生きていけない”ということを、肝に命じ、早く独立心を持って、ど根性と土性骨にささえられた大きな夢を、実際に育ててほしい。
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