Swan  琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう第8回締約国会議

ラムサール条約

決議.37:アジア太平洋地域の渡り性水鳥

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「湿地:水、生命及び文化」
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第8回締約国会議
バレンシア,スペイン,2002年11月18-26日


決議.37

アジア太平洋地域における渡り性水鳥及びその生息地の保全に関する国際協力

1.湿地とその動植物の保全に関する現在および将来の施策と規制の支援について、締約国間の国際的な協議および協力を要請するラムサール条約第5条を想起し

2.湿地保護区のネットワーク構築を要請する勧告4.4、湿地に生息する鳥類種保全のための渡り経路の概念を認める勧告4.12、東アジア・オーストラリア地域の渡り経路沿いのラムサール条約湿地および渡り性シギ・チドリ類にとって国際的に重要な湿地のネットワークの構築と、渡り性水鳥にとっての適切な環境の維持を図るための管理を求めた勧告6.4、そして、締約国および非締約国に対してアジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略と、2000年以降もアジア太平洋地域における渡り性水鳥とその生息地の保全に向けた国際協力の枠組みを確実にし、さらに拡大するための作業に対する支持を求めた勧告7.3をも想起し

3.「移動性野生動物種の保全に関する条約(ボン条約・CMS)、フライウェイに関する諸協定やネットワーク、そして移動性の種を取り扱うその他の機構等との協力体制を通じて複数の国家で共有される湿地生物種のための国際協力に対し、ラムサール条約の貢献度を高める」という「1997−2002年ラムサール戦略計画」の行動7.2.5と、特に「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」に代表される地域的な生息地ネットワークおよびイニシアティブの構築への継続的支援に関わる「2003−2008年ラムサール戦略計画」の行動12.2.2を重ねて想起し

4.渡り性水鳥やその生息地の保護にあたり、「アジア・太平洋渡り性水鳥保全戦略1996−2000」の実施および進行中の「戦略2001−2005」の実施を通じて達成された顕著な進捗を認識し

5.「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」の策定および実施の監督にあたり、ラムサール国際団体パートナーを含む多数の政府、国際団体および非政府組織の代表によって構成されるアジア太平洋地域渡り性水鳥保全委員会が果たす中枢的な役割を認め

6.アジア太平洋地域において渡り性水鳥およびその生息地のためのより一層の保全努力を要請した前回の締約国会議による勧告に応じて、これまでこの地域において相当量の作業が行われてきたことを認め

7.この戦略を通じて、アジア太平洋地域の多くの締約国が渡り性水鳥およびその生息地の保全促進を実施してきたことを歓迎し

8.特に「アフリカ・ユーラシア渡り性水鳥保全協定」、「西半球シギ・チドリ類保護区ネットワーク」および「アメリカ・太平洋地域渡り経路鳥類保全作業部会」など、世界の他の地域における水鳥渡り経路に関する協力的活動のためのイニシアティブが進行中または構築中であることを認識し

9.渡り性生物種の保全に関する国際協力進展のための機構として、ボン条約事務局、南太平洋地域環境計画(SPREP)、バードライフ・インターナショナル、国際湿地保全連合、世界自然保護基金(WWF)との間に「協力覚書」や「協定」をラムサール事務局が締結したことを歓迎し

10.東アジア・オーストラリア地域、中央アジアおよび中央太平洋の渡り経路内において、渡り性水鳥および湿地の保全のために、多国間で連携の取れた協同作業を継続することの必要性を確信し

11.ラムサール条約が、東アジア・オーストラリア地域、中央アジアおよび中央太平洋渡り経路沿いの締約国および国際団体パートナーとの協力活動を通じて、アジア太平洋地域における水鳥保全への多国参加アプローチの強化を促進できることを確信し

締約国会議は、

12.国際湿地保全連合に対して、戦略の構築および実施の調整に係る過去6年にわたる作業を、オーストラリアおよび日本政府に対して、これら作業に対する資金および支援の主要部分の提供を、また、その他の政府、国際団体パートナーおよび非政府組織に対して、本戦略の実施に関わる支援に感謝する

13.締約国に対して、「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略2001−2005」が完全に実施されるようにアジア太平洋地域渡り性水鳥保全委員会への支援を拡大し、また全てのアジア・太平洋地域諸国において渡り性水鳥およびその生息地の長期的な保全目標の実現に向けて自国内で戦略を積極的に実施するよう求める

14.アジア太平洋地域における非締約国に対して、本戦略を推奨し、その充分な実施に参加するよう奨励する

15.国際的および二国間の開発機関ならびに組織に対して、アジア太平洋地域渡り性水鳥保全委員会との緊密な協力のもとに、「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略2001−2005」を実施するため、アジア太平洋地域内の関係国政府および非政府組織に対する財源を提供するよう求める

16.アジア太平洋地域渡り性水鳥保全委員会に対して、本戦略の実施の進捗状況および成果に関する報告を定期的に締約国と事務局に提出し、また、世界の他地域の水鳥渡り経路イニシアティブや協定との協力および経験の共有に努めるよう要請する。これによって、これらのイニシアティブや協定等に参加している総ての締約国およびその他の関係者の能力が最大限生かされ、また渡り性水鳥やその他の湿地依存種の生存に不可欠な、湿地の世界的なネットワークの保全と持続可能な利用を確保するためである。


ラムサール条約第8回締約国会議の記録 [和訳:『ラムサール条約第8回締約国会議の記録』(環境省 2004)より了解を得て再録,2005年,琵琶湖ラムサール研究会.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]

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