Swan  琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう第8回締約国会議

ラムサール条約

決議.42:オセアニア地域の小島嶼開発途上国

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「湿地:水、生命及び文化」
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第8回締約国会議
バレンシア,スペイン,2002年11月18-26日


決議.42

オセアニア地域の小島嶼開発途上国

1.太平洋諸島地域の湿地の保全と賢明な利用に関する勧告6.18、それも特に、この地域の国々に対する支援増加の必要性への言及を想起し

2.締約国がラムサール条約事務局に対して「小島嶼開発途上国で統合的環境管理を進めている確立されたプログラムや機関との協力の覚書や共同行動計画を調査し、適切な場合にはこれを作成するよう」求め、かつ締約国、国際団体パートナー、ラムサール条約事務局に対して、地域ごとのラムサール条約連絡担当官の設置と維持への取組みを強化するよう強く要請した勧告7.2も同じく想起し

3.この勧告7.2では、小島嶼開発途上国が直面した資源面での制約への取組を助けるため、国際的な環境条約の間で整合をとりつつ実施を継続して推進するよう、締約国がラムサール条約事務局に指示したことをさらに想起し

4.この地域の諸国と属領に対する南太平洋地域環境プログラム(SPREP)からの継続的支援とラムサール条約事務局からの支援拡大の基礎として、2002年5月にラムサール条約事務局とSPREPの間で協力の覚書が交わされたこと、そしてこの協力の覚書に早期に実効性をもたせる「共同作業計画」が策定されたことを賞賛し

5.この地域における条約の実施、及び湿地の保全と持続可能な利用という面で、第1回ラムサール条約オセアニア地域会議(1998年)以降に見られた進展を確認するとともに、SPREPでの地域湿地管理担当官の任命、パプア・ニューギニアの環境保全省でのラムサール条約支援担当官の任命、及びオーストラリアのアジア太平洋地域湿地管理者研修プログラムの設立を賞賛し

6.「島嶼性の途上国には特別な必要性があることと、サンゴ礁、藻場、マングローブといった重要な湿地があることを認識し、それら島嶼性の途上国の参加を奨励するため特別な努力を行う」とした、「1997−2002年戦略計画」の総合目標1に留意するとともに、オセアニア地域におけるこうした湿地タイプの特別の重要性を認識し

7.現在、オセアニア地域には、本条約の締約国が3か国(オーストラリア、ニュージーランド、パプア・ニューギニア)、加入書を寄託中の国が2か国(パラオ共和国とサモア独立国)、他のラムサール地域の締約国の属領が6、非締約国が19か国あることも同じく認識するとともに、この地域のいくつかの非締約国が条約への加入の準備を積極的に進めていることも同じく認識し

8.ラムサール条約加入を促進するために援助機関からの支援を結集する取組、及びオセアニア地域の小島嶼開発途上国に技術面、研修面での支援を提供する取組みに対し、それを行ったオーストラリア政府、国際湿地保全連合オセアニア支部、及びWWFインターナショナルを祝福し

9.この地域の人々、その文化及び生活の相互依存性を意識するとともに、この地域の湿地と湿地資源に影響する慣習法その他の関連する土地保有制度の重要性を認識し

10.統合的環境管理のために、二国間及び多国間の援助機関からこの地域の小島嶼開発途上国に提供されている継続的な支援と援助、ならびにこれらの活動の推進にSPREPなどの地域組織が果たす重要な役割を確認し

11.2002年5月の第2回ラムサール条約オセアニア地域会議を主催したサモア独立国とSPREP、この会議に資金を提供したオーストラリア政府、自国属領の代表者が会議に出席できるように援助した米国政府に感謝し

締約国会議は、

12.ラムサール条約事務局、締約国、及び国際団体パートナーに対して、「第2回ラムサール条約オセアニア地域会議報告」(2002年5月)に示されたオセアニア地域の諸国と属領に特有な主な優先課題に留意するよう求める。これには以下が含まれる:

・マングローブ、サンゴ礁などの特定の湿地タイプと沿岸系全般の劣化、消失、及び回復;
・太平洋島嶼国及び属領の必要性と希望を満たすための湿地の持続可能な利用;
・気候変動及び侵入種の影響;
・人為的な負荷、特に、汚染や開発による負荷など、この地域全域で行われている大幅な経済的・社会的変化によって生じるもの;
・この地域の政府のあらゆるレベルにおいて、湿地に対する人々の態度を向上させる取組の必要性;
・絶滅のおそれのある種に対する脅威で、湿地生息地の消失から生じるもの;

13.ラムサール条約事務局に対して、オセアニア地域の諸国及び属領について扱う場合には、上記の課題を考慮するよう奨励する

14.ラムサール条約事務局に対して、太平洋島嶼国及び属領は規模が小さく、利用できる人的及び金銭的資源が限られていることに留意し、ラムサール条約の活動と要件を簡素化してその整合性を図る方法を探り、かつラムサール条約と他のあらゆる国際的な環境関連の法律文書との要件の整合性を積極的かつ継続的に図るよう要請する

15.ラムサール条約事務局に対して、財源が許すならば、優先事項として、南太平洋環境プログラム(SPREP)との協力の覚書に基づいて策定された共同作業計画で特定された活動を実施するため、継続してSPREPと協力するよう強く要請する

16.ラムサール条約事務局に対して、オセアニア地域に地域担当官を配属する必要性を認識すること、第9回締約国会議までに事務局の職員を正式にオセアニア地域担当官に任命するため、事務局の職務配置を見直すこと、及び暫定措置として、オセアニア地域にインターンを配属するための財源を見定めることを極めて強く要請する

17.ラムサール条約事務局に対して、条約加入プロセスを通してオセアニア地域(及び小島嶼開発途上国全般)を支援するために最近作成された条約加入キットを、発行し普及するよう要請する

18.二国間及び多国間の開発援助機関に対し、その支援を継続し、オセアニア地域の湿地関連プロジェクトのため、適宜その支援を増やし、かつ能力育成活動を含めるよう支援範囲を拡大することを求める

19.オーストラリア及びニュージーランドの両政府に対して、フランス政府及び米国政府と協力して、オセアニア地域の能力育成活動への支援について、ならびに特に、地域担当官のポストを設置するための協調資金供与戦略策定に向けたラムサール条約事務局、SPREPその他の関連当事者との協力について、慎重に考慮するよう強く要請する。この地域担当官のポストは、ラムサール条約事務局とSPREPとの共同作業計画の実施を目的として、オセアニア地域の開発途上国と属領のために支援を提供し、その開発援助資金を調達するために設置される。


ラムサール条約第8回締約国会議の記録 [和訳:『ラムサール条約第8回締約国会議の記録』(環境省 2004)より了解を得て再録,2005年,琵琶湖ラムサール研究会.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]

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