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ラムサール条約 第9回締約国会議
決議.20:バイオームにまたがる湿地計画・管理

日本語訳:
「ラムサール条約第9回締約国会議の記録」(環境省 2008年)より了解を得て再録. 

  PDF  (134,環境省)

条約事務局原文:
 英語   フランス語   スペイン語 

「湿地と水:命を育み,暮らしを支える」
"Wetlands and water: supporting life, sustaining livelihoods"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第9回締約国会議
ウガンダ共和国カンパラ,2005年11月815日

決議.20
特に小島嶼開発途上国における、バイオームにまたがる統合的な湿地の計画・管理

1.湿地はすべてのバイオーム(biome[訳注1])にあり、様々な形態をとり、陸上でのならびにその他の多くの活動により影響を受け、従って湿地生態系の多くの恩恵/サービスを保護するためには計画と管理のための統合的なアプローチが必要であることを認識し

2.ラムサール条約の第7回及び第8回の締約国会議(COP7COP8)において、それぞれ、河川流域と沿岸域との管理の枠組みの中に湿地管理を統合する指針を採択したことを意識し

3.生物多様性条約(CBD)が山地、森林、内陸水、乾燥地及び半湿潤地、農地、及び海洋・沿岸生態系に関する主題別作業プログラムを展開しており、島嶼の生物多様性のために作業プログラムを策定中であることに留意し

4.CBDが採択したエコシステムアプローチ、ならびにCBD決定/11(及び付属書)に採択されたエコシステムアプローチを締約国が実施するのを助けるために策定された関連手引きに再び留意し

5.決議Ⅷ.42が「太平洋島嶼国及び属領は規模が小さく、利用できる人的及び金銭的資源が限られていることに留意し、ラムサール条約の活動と要件を簡素化してその整合性を図る方法を探り、かつラムサール条約と他のあらゆる国際的な環境関連の法律文書との要件の整合性を積極的かつ継続的に図る」必要性に注目したことを想起し

6.発展途上国、特に小島嶼国では、財政的、技術的及び人的資源が限られ、多国間環境協定の実施能力を制限し続けていることに留意し

7.WWFインターナショナルが「地球淡水プログラム(Global Freshwater Programme)」を通じてCBDの作業プログラムを統合してバイオーム横断的な作業プログラムの原型を作成したことに留意し、国連環境計画(UNEP)の「丘の上から海まで(H2O)」イニシアティブや、「太平洋アジア生物多様性トランセクト(PABITRA)」イニシアティブの関連作業を確認し

締約国会議は、

8.河川水系と淡水生態系及びそれらが流れ込む沿岸域環境を生態学的及び水文学的につなげることがそれらの管理において重要であることを認め、バイオームを横断して全体的なアプローチをとろうとする締約国の役に立つ可能性をもつツールとして、またこれらの水系やその関連題目にかかるラムサール条約の既存のガイドラインの枠組みの中に追加することができる手引きとして、WWFインターナショナル、UNEP、ならびにPABITRAのイニシアティブ歓迎する

9.WWFインターナショナルに対して、バイオームを横断する湿地の統合的計画・管理に関する情報やツールおよび取り組み方を締約国が入手可能となるよう促し、また、それらツールや取り組み方を一層適用し発展させるよう、特に、締約国がラムサール条約やCBDの規定や手引きの実施効果を高めようとする際にそれらがいかに役立つかをさらに評価するよう奨励する

10.科学技術検討委員会(STRP)に対して、生物圏を横断する湿地の計画・管理のためのツールや取り組みについて、その妥当性ならびに適用可能性を、STRPの進行中の作業や優先事項の範囲内で、すなわち決議Ⅸ.2付属書1の優先課題のうち、課題5「現行の条約の手引きの検討」、課題81「河川流域および沿岸域の管理アプローチのさらなる策定」、及び課題 112「地球規模の湿地保全と賢明な利用の優先事項を反映させるための条約湿地指定基準とガイドラインの検討」に照らして検討するよう指示する

11.WWFインターナショナルに対して、ラムサール条約事務局及びCBDと協議し、ラムサール条約とCBDの関連する決議や決定と現行の手引きを考慮しながらこの題目について情報文書を準備するよう促しCBD事務局に対して適宜、特に内陸水生態系とエコシステムアプローチの生物多様性の作業プログラムに関連してCBDの履行のためのツールや実践的アプローチの発展に寄与するように、また二つの条約の間の整合性及び相乗効果を増すための寄与となるように、CBDCOP8への情報文書としてWWFによるその文書を提出するよう促す

12.締約国、そして特に小島嶼開発途上国の統合的管理アプローチの実施に関する努力と能力育成という要件を支援する必要性について改めて表明し、締約国、非締約国ならびに多国間援助機関に対して、他の条約や国際協定などを通した関連の努力をも考慮しながら、この分野の研修と能力育成を優先させるよう要請する

13.締約国に対して、さまざまなバイオームが提供する生態系の恩恵/サービスが確実に認識され管理制度や土地・水利用活動に組み入れられるように、(バイオームにまたがる)統合的計画策定に条約湿地を含む保護区指定地のネットワークの発展を組み込むよう、その際はまた、CBD決定/28「保護区」の規定、なかでも保護区制度と指定地にかかる計画策定、選定、設置、強化、管理のための直接行動に言及する同決定付属書の「計画要素1」を特に考慮するよう奨励する


[訳注1]
『バイオーム』熱帯雨林、サバンナ、ツンドラ等のように、気候条件によって類型区分される生物群集の最大単位。

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[英語原文:
ラムサール条約事務局,2005.Resolution IX.20 "Integrated, cross-biome planning and management of wetlands, especially in small island developing states", November 2005, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://ramsar.org/res/key_res_ix_20_e.htm.]
[和訳:
表紙「ラムサール条約第9回締約国会議の記録」 「ラムサール条約第9回締約国会議の記録」(環境省 2008)[この決議のPDFファイル: http://www.env.go.jp/nature/ramsar/09/9.20.pdf]より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2008年.]
[レイアウト:
条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページにおおむね従う.]
[フォロー:
CBD決定Ⅶ/28英語原文), WWF資料:「Mountains to the sea」(2005年,英文) .]

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Last update: 2008/06/01, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).