安藤元一.2000.ラムサール条約登録湿地として見た琵琶湖.

表3. 「ラムサール戦略計画1997-2002」から見た琵琶湖保全

総合目標 実施目標および行動の例 琵琶湖の既存施策・実績 琵琶湖で今後可能と思われる取り組み
1. 条約加盟国を広げる 1.1 2002年までに120締約国を確保 関連しない 関連しない
2. 条約の適正な利用に関するガイドラインを実施し,さらに発展させることにより湿地の適正な利用を達成する 2.1 国レベルの法制度,機構見直し
2.1.2 湿地政策を国レベルの環境戦略に含める
2.2 陸域と水域を統合した管理計画・ 各種環境法(環境影響評価,水利用,汚染防止)の制定と施行
2.3 賢明な利用に関する参考資料出版
2.4 湿地の恩恵と機能に関する経済評価の導入
2.5 環境影響評価の実施
2.6 湿地の復元や機能回復
2.7 地域社会の積極的な参加
2.8 民間企業の参画を奨励
2.2 県の「琵琶湖環境部」は陸域水域統合管理の思想である
2.2 各種法律,条例等による保全施策 (富栄養化防止条例,ヨシ群落保全条例,風景条例,クリーン条例,建設鳥獣保護区,国定公園,湖沼法,水質汚濁防止法など)
2.5 環境影響評価の条例化による強化
2.6 ヨシ帯復元事業
2.1 市町村が環境基本計画を策定する際に湿地配慮を盛り込む
2.1 生物多様性国家戦略の滋賀県版,市町村版の策定・実施
2.1 湿地への影響に関する既存法制度のレビュー,施策の事業評価
2.3 海外参考資料の翻訳支援
2.3 条約事務局のウエブサイト日本語
2.3 条約事務局作成の教材翻訳と活用(例:ラムサール・ツールキット)
2.4 各種方法を用いて湿地価値を評価
2.6 内湖の復活
2.7 湖岸/河川敷/池の管理を地域住民/NGOなどに委託
2.8 企業所有地における湿地創出・保全
2.8 私有地湿地保全に有効な税制検討
3. 世界中の全てのレベルで,湿地と機能の価値の認識を高める 3.1 湿地の機能と価値に関する教育・啓発啓発を促進
3.2 政策決定者,湿地利用者などへの教育・啓発
3.2.3 湿地の現場に教育センター設置
3.2.4 博物館,動物園,植物園,水族館,環境教育と連携した湿地教育
3.2.5 高等教育における湿地に関連した単元組み込み
3.3 条約事務局の広報活動改善
3.1 フローティング・スクールを通じた学校教育,施設見学
3.1 世界湖沼会議の開催
3.2.3 湖北町,新旭町の観察適地に水鳥・湿地センター
3.2.4 琵琶湖博物館(含 水族館),水生植物園,アクア琵琶(水資源),水環境科学館(下水)等の設立
3.1 達成目標を明示した環境教育カリキュラムの導入
3.1 「保護」だけでなく「賢明な利用」を強調したカリキュラム導入
3.1 世界湖沼会議の開催(とりわけ市町村の積極的な参加)
3.2 議会,漁業,農業,開発行政関係者への現地訪問・啓発機会の提供
3.2 企業,地域住民などを対象とした社会教育への野外体験組み込み
3.2.4 湿地教育にかかる施設間連携強化
3.2.5 滋賀大学環境教育湖沼実習センター,滋賀県立大学環境科学部などにおける湿地教育強化
4. 湿地の保全と適正な利用を達成するため,各締約国の関係機関職員の能力向上を図る 4.1関連機関(とりわけ開発途上国)の能力を向上させる
4.2関連機関(とりわけ開発途上国)職員の研修を促進する
4.1 UNEP国際環境技術センターの各種プロジェクト
4.2 国際湖沼環境委員会(ILEC)の海外向け出版・情報提供活動
4.2 ILECによるJICA湖沼水質保全研修
4.2 滋賀大によるJICA湖沼環境教育研修
4.1 環境庁経由によるラムサール条約関連国内連絡会議との情報交換
4.1 ラムサール条約国内登録湿地関係市町村会議への参加
4.1 琵琶湖ラムサール市町村協議会の活用
4.2 開発系部局をも対象とした研修活動・野外学習の強化
4.2 大学と自治体との教員・学生交流強化
4.2 他登録湿地自治体と経験交流・視察
4.2 資格取得(技術士など)を行政職員に奨励あるいは義務化
4.2 県立大や琵琶湖博物館等の協力による生態分野国際研修,ディプロマコース
5. すべての登録湿地の保全を確実なものとする 5.1 登録湿地の生態学的特徴を維持する
5.2 地域社会の参加を強調した湿地管理計画の策定と実施
5.3,4 ラムサール湿地データベース見直し
5.1 ヨシ群落の保全 5.1外来種対策
5.1固有種の更なる保護
5.1生態系変化に関するモニタリング強化
5.1生態系GISデータベースの強化発展
5.2内湖等個別湿地の参加型管理
5.3県内湿地目録(含 湿地喪失率等)整備
6. 選定基準に合致する湿地,特に十分に登録されていない湿地タイプ,国境にまたがる湿地を登録する 6.1 登録基準に合致する湿地を特定する
6.2 登録の少ない湿地タイプを重視する
6.3 ラムサール基準の継続的な見直し
6.1 琵琶湖の登録 6.1 西の湖などへの指定地域拡大
6.2 琵琶湖外の湿地,とりわけ水田などの生態系維持機能を重視
7. 他条約,政府またはNGO機関と協力し,湿地保全・適正利用のための 国際協力と財政支援を促進する 7.1 国境にまたがる湿地の保全
7.2 生物多様性関連他条約との連携強化
7.3 援助機関や多国籍企業の開発途上国における役割
7.4 開発途上国支援の資金確保
7.2 琵琶湖博物館の生物多様性諸プロジェクトへの協力 7 釧路国際ウエットランドセンターや湿地関連NGOなどとの連携
7 海外ラムサール登録湿地との交流
7 NGOによるガン・カモ類保護努力への協力
8. 条約にとって必要な制度上のしくみと人的財政的資源を供給する 8.1 条約の制度改革
8.2 条約への資金提供
8.3.1 職員出向を含む連絡情報交換向上
8.4 ラムサール小規模助成基金の強化
特になし 8.3.1 条約事務局への自治体職員出向(釧路市に例がある)
8.4 生態学琵琶湖賞の活用


安藤元一.2000.ラムサール条約登録湿地として見た琵琶湖.琵琶湖研究所所報 第18号 (2000年12月),特集記事 水鳥の保護と湿地保全(5) [ 116-122頁 ]所載.[on-line] http://www.biwa.ne.jp/~nio/ramsar/sec1g.htm