「裏技?」〜隠しとバグとインチキと〜

裏技の存在とその定義
 コンピュータゲームの攻略本や情報誌などを読むと、必ずといっていいくらい、『裏技』を取り扱っているコーナーがあったりします。この『裏技』っていったい何なのか? 定義って言ってもきっと決まってもいなくて、漠然とした感があるこの『裏技』について、ちょっと私なりに考えてみた。

 この『裏技』について少し考えてみると、大体『隠し』と『バグ』の2種類に分けることができると思う。
 『隠し技』は、「キャラクタやイベントなどの出現に必要なコマンドなりフラグなりが、メーカーによって隠されている(主に取扱説明書などに書かれてない)、かつ通常のプレイではその出現が難しいもの」と解釈できる。
 もっとも、ゲームの発売後しばらく経ってから出る攻略本などでその出現方法が公開されることも多くて、そういう意味では「おまけ」的要素が強いと推測される。
 『バグ技』については、もうそのまんま、「プログラムのバグ」です。もちろんメーカーの思惑や納期に間に合わないのであえて見逃したバグもありますが、所詮プログラムの不具合ですから、通常プレイ上で本来ありえないことが出来たりする。RPGなどでいえば「アイテム増殖」などが有名です。

 『隠し技』・『バグ技』ともに基本的にはソフト単体で可能だけれども、その存在の根本が違うので、通常プレイにそれらを使用するかどうかは大きく違います。
 『隠し技』はメーカーがあらかじめプログラムに組み込んでいるものなので大半は問題は無い。あるといえば、対戦ゲームなどで「隠しキャラ(主に強キャラが多い)」を使ってばかりいる人がいるくらいですか…。
 一方、『バグ技』は、ものによってはゲームバランスをぶち壊す可能性を多く秘めてます。だって「メーカーの思惑の外の産物」ですから、例えるとすれば、経営ゲームなら「最初から資金が大量にある」とか、RPGなら「一つしかない強い武器を増やせる」「レベルが簡単に上がる」、シューティングゲームなら「ずっと無敵」などなど、ゲーム進行が楽になる反面「試行錯誤する楽しさ」が失われてしまうものが多いです。はっきりいうと「インチキ」です。
 中には『バグ技』みたいな効果を持った『隠し技』もあります。『グラディウス』の「コナミコマンド」とか…。

 ゲーム雑誌や攻略本における、『裏技』は以上2種類のどちらかに分類できるもので、バランスを破壊する『バグ技』にしてもどのゲームにも必ずあるものでもないし、あってもオンラインゲームの無かった頃には他のユーザーにはほとんど影響は無かったのですが、近年、『裏技を誇大解釈しすぎた』とんでもない商品が出てきました。


インチキの発生とその拡大
 それは、「データ改変ツール(具体的な商品名は伏せます)」。つまるところ、『隠し技』や『バグ技』が無いゲームでも強制的にプログラムに割り込んで同じような現象を起こしちゃおうというツールです。
 ゲーム機にそのツールとゲームソフトを挿したりして、そのソフトで可能な「強制裏技」に対応した「コード」と呼ばれる英数字の羅列を入力すれば、あら簡単、レベル最高だの、最強装備だの、資金最高だの、やりたい放題です。もちろん、バランスぶち壊し、インチキ以外の何者でもないです
 問題はたくさんありますが、まとめちゃうと、
1.機種別対応なため、1個持ってればコード調べるだけで同じゲーム機のほかのゲームにも使える。しかも各機種それぞれに販売されている。

2.「コード」さえ分かれば、プログラムの知識など無くてもいとも簡単に出来ちゃうため『バグ技』以上に凶悪なのと、通常の『裏技(主にバグ技)』と同様に考えて(『バグ技』も本来よろしくないのですが)、安易にツールに頼っちゃう(もうはっきり書いちゃいますけど)ヘタレユーザーの大量発生。

3.海外サイトなどでのコードの発見とそれらを訳してコピーしただけの日本語サイトによるコードの垂れ流し


 もっとも、従来のオフラインのみのゲーム内でなら、『バグ技』と同じく問題は少なかったのですが、最近オンライン対応ゲームが流行ってきた中、当然のようにオンラインゲームで使用するユーザーが現れました。
 時間かけて育て上げたキャラで、偶然手に入った希少アイテム持ったりして、いざオンラインに繋いでみると、自分より下手なのに異様に強いキャラやもっとレアなアイテムを配りまくるキャラがうようよ……。これでは普通にプレイしてるユーザーはたまったものではありません。

 無論、メーカーも対策に走りますが、オフライン・オンライン両対応のゲームでは十分な対策が取れない可能性が高いことが発覚。
 「改変ツール」はオンラインのみのゲームの場合、データいじくるのにも一度ゲームに入る、つまりサーバーに繋がないとできないため、メーカーでも改変の際の不正信号をサーバー側で発見しやすいので対処できるのですが、一方、オフ・オン両方対応のゲームだと、サーバーで対応できたとしても、本来そのゲームにあるまじき数値のデータ改変をしないかぎり(つまり正常データの規定内ぎりぎり最高値までの範囲で)、オフで改変してセーブしてしまえば、あとはそのままオンに繋いでもサーバーではチェックできません。つまり限界見極めたらやりたい放題です。

 私が以前に遊んでいたオン・オフ両対応のゲームではまったく酷いものでした。
 改変ツール使ったデータでオンに繋ぐなんて序の口、メーカーの主催するネットイベントで使って高記録叩き出しやってる人まで出る始末(←そのせいでそのイベントはクリアビデオ提出が必須になりました…(実話))。
 悪質なものだと、サーバーのチェックさえすり抜けて異常なデータのアイテムをオンに持ち込み、それを他のユーザーに渡してアカウント剥奪させたりとかで、マナーやモラルなんてどこ吹く風、てんでお話になりません。

 正直、ツールの販売メーカーには『裏技』でもないのに『裏技ツール』って宣伝止めてほしいです。せめて正々堂々と『インチキツール』って書いて売っていただきたい。
 改変ツール使って当然なんて思ってる人もいるし、困ったものです。

 なんとかいい案ないですか?

エッセイメニュー