第五話 『お願い、愛に時間を!!』

 
 
 
 
 
イノウエ校長
 
 
 
 
カズミ
 
(ノリコ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 イノウエ校長
 
 
ノリコ
<沖縄>
− 2032年7月31日 −
− 第16回 沖縄女子高等学校 卒業式 −
 
<沖女体育館>
卒業証書授与
地球帝国宇宙軍付属沖縄女子宇宙高等学校
3年2組、出席番号2番
アマノ カズミ
 
ハイ。(椅子から立ち上がる)
 
宇宙から帰って来たあたし達を待っていたのは、沖女の卒業式だった。
あ〜ぁ、早すぎる卒業式.。
私にはこの校舎に4ヶ月分の思い出しかない。
でも、地球ではすでに、10年が過ぎていた。
あのカシワラさんも、今は、この学校の先生になっている。
クラスメイトはもう誰もいない・・・。
キミコもいない。
宇宙は想い出さえ吸い取ってしまうのね・・・
 
同じく三年一組
タカヤ ノリコ
 
は、ハイ!(慌てて返事をし、立ち上がる)
  第五話 「お願い!!愛に時間を!」
 
ノリコ
 
カズミ
 
ノリコ
 
 
 
ノリコ
女性
ノリコ
 
<山の階段>
17でもう卒業かぁ。
なんか、人生得したみたいですね。
フフッ・・・何も分かってないのね。
戸籍上じゃ、あなた27歳なのよ。
ふ〜ん。
じゃ、本当はあたし、子供なんかいたりしてもおかしくない歳なんですね〜。
(ノリコ達の横を自転車に子供を乗せた婦人が通り過ぎる)
(お互い振り向く)
あっ、あの〜、あなた・・・・
タカヤノリコさん?
・・・キミコ?
(ノリコの問いに頷くキミコ)
 
ノリコ
 
 
 
キミコ
ノリコ
 
 
キミコ
ノリコ
キミコ
ノリコ
 
キミコ
 
ノリコ
キミコ
ノリコ
キミコ
 
 
ノリコ
  
<公園>
ふ〜ん、じゃ、ヒーちゃんもリツコも結婚したのか・・・。
あたしだけ、取り残されちゃったのね。
おまけに、キミコはもうお母さんか・・・
ねえ、タカミちゃん幾つ?
今度、三歳になるわ。
ふーん。
あっ!(上空の光るものを見つけて)
何?あれ?
ヱルトリウムよ。
え〜、あれがぁ?
ええ。ここからでも双眼鏡だと、ちゃーんと形が分かるのよ。
ふ〜ん。
でっかいのねぇー。
全長は70キロを越えるそうよ。
なんでも、地球脱出用の船らしいわ。
え!(ブランコを止めるノリコ)
噂だと軍人を優先させるから、民間人で乗れるのは4千人に1人ですって。
そんな・・・
私を軽蔑してもいいわ。
ノリコ。あなたのコネでタカミの席、どうにかならない?
あの子には、未来が欲しいの。
・・・・キミコ。
(自転車の籠の買い物袋が崩れる)
 
 
ノリコ
<ノリコの部屋>
(キミコに電話を掛けるノリコ :キミコ電話番号0980-8350-99625)
あ、もしもし、キミコ!
い、いえ・・・キミコさんいらっしゃい−
あ、タカミちゃん?
あたし、ノリコお姉ちゃん。
違う!。まだ、おばちゃんじゃないの。
ね?ママいる?
あ、パパとおでかけ〜
じゃ、タカミちゃん1人でお留守番なんだ。エライねー。
じゃーね、タカミちゃん。ママにノリコがゴメンねって、言ってたって。
うん、そう。
じゃ、バイバーイ。
 
タカミちゃんの未来か・・・
キミコはすっかり母親なんだ。
宇宙にいる間にこんなに時間が過ぎて・・・・・、
あたし1人取り残されていく。
・・・パパ。
パパも宇宙から帰る度に、こんな思いをしていたの?
こんな、寂しい思いを・・・・
 
 
 
情報部員
 
 
監視衛星
(8月6日 午前4時15分)
<パロマ天文台 宇宙軍情報部>
(電話のベル)
え゛? なにー!? 聞こえない!! え!?
こと座の?3−26付近に!? 敵の大集団!?
<監視衛星>
そうだ!
敵の数が多すぎて、宇宙が黒く見えない。
敵が七分で、黒が三分。いいか!?
敵が七分に、黒が三分だ。
 
観測課長
 
 
 
 
軍令部総長
軍令部次官
軍令部総長
タシロ提督
<軍令部 小会議室>(午前6時20分)
縮退レーダーによる計測値は、
目標が密集隊形をとっている為、正確な数は把握できず、
推定でもおそらく億は越えており、両翼は、約80天文単位。
最終防衛線への到達時は、現在のところ不明です。
 
80天文単位、ピンとこんな〜
ああ、ほぼ、冥王星の軌道直径と−
考えつかんな〜
奴らめ・・・ついに来たのか。
 
 
TVニュース
 
 
 
 館内放送
 
 
ノリコ
<ノリコの部屋>
(2032年8月6日金曜日 雨)
次のニュースです。
11年前、対宇宙怪獣戦用に宇宙軍内で組織されました
トップ部隊の解散が、この度、正式に発表されました。
先のリーフ64会戦、火星沖会戦において−
(館内放送)
タカヤ中尉。タカヤ中尉。オオタ中佐がお呼びです。
至急、職員室までお越しください。
・・・・雨!?
 
カズミ
 
コーチ
 
 
 
 
 
カズミ
  
 
 
ノリコ
ノリコ
 
コーチ
 
 
ノリコ
 
ノリコ
 
ノリコ
コーチ
 
 
 
ノリコ
<職員室>
あなたは、身勝手すぎるわ。
いつもそうやって! あたくしの事なんか少しも−
それなら、俺の所へなんか、来るな!
(雨の音がする中、正面玄関から入ったノリコは、傘立てに傘を入れる)
(職員室の中では、カズミとオオタは口論。雨の音しか聞こえない)
バン!(机を叩くコーチ)
(ノリコが職員室の引き戸を開ける)
(勢いよく立ち上がったコーチは、次の瞬間カズミの頬を張る)
!?
(頬を押さえたカズミは、キッとコーチを睨み、
何か言おうととするがこらえて、その場から走り去る)
(状況が理解できないノリコの横をカズミが無言のまま通りすぎる)
!?(カズミの目から涙が零れ落ちるの見たノリコは唖然とする)
お姉さま・・・・
 
ウッブヲ(胸を押さえ倒れこむ)
(散らばった書類の上にうずくまっているコーチ。)
 
コーチ!!コーチ!!!
(慌てて、119番通報するノリコ)
もしもし!もしもし!。あっ!こちら沖縄女子宇宙高校の−あっ!?
(コーチの手が電話機に伸び、電話を切る)
コーチ!! 何をするんですか!!
ア・・・アマノには言うな。。。
言えば、おまえを、
殺す!!
(手を掛けていた電話機が、コーチの手に引きづられるように落下する)
コーチ!!
しっかりして下さい!
コーチ!
コーチ!!
 
ユング
 
 
 
 
ユング
 
ユング
 
 
 
 
ノリコ
<ビーチ 8月7日>
ノリコ。あたしねー。
新しい恋に生きる事にしたんだ〜。
コーチの事は諦めるの。
まっ、人は自分と同じ人生を歩めない。
 
だから、出会いがあればそれだけ別れもあるって事よね。
 
一度しかない自分だけの人生ですもの、一分でも無駄にしたくないわ。
時は止まってくれないものね。
しっかし、あんた暗いわね〜。
あの日?
 
ばーか。
 
 
 
(ユング)
ノリコ
 
 
 
ノリコ
 
 
コーチ
ノリコ
コーチ 
ノリコ
 
コーチ
 
 
 
ノリコ
コーチ
 
 
ノリコ
コーチ
ノリコ
コーチ
ノリコ
コーチ 
 
 
 
ノリコ
コーチ
 
 
ノリコ
 
コーチ
ノリコ
コーチ
 
 
ノリコ
コーチ
 
ノリコ
コーチ
 
ノリコ
コーチ
 
ノリコ
コーチ
 
 
 
 
 
ノリコ
<お風呂>
(ビーチでのユングのセリフを思い出すノリコ)
まっ、人は自分と同じ人生を歩めない。
だから、自分は自分の人生を生きていくのね・・・
 
(湯船の中で水面に光が写っている)
 
コーチ!! コーチ!!
しかっりして下さい!!
コーチ!!
・・・タカヤ。今、人類は始まって以来、最大の危機に直面している。
そんな事より−
黙って聞けィ!
!!
 
敵の集団がそこまで来ている。
これまでになく大規模な攻撃だ。
人類が生き延びるチャンスは万に一つしかない!
おまえ達のガンバスターだ!
コーチ!!(苦しむコーチに声を掛ける)
タカヤ。
勝て!!
地球を救い、仲間を助ける為に
!(手を握られ驚くノリコ)
ガンバスターは勝たねばならん!!
・・・
いいか、タカヤ
・・・ハイ!
お前とアマノは一人一人では単なる火だが     「火」
二人合わされば炎となる。                 「炎」
炎となったガンバスターは、
無敵だ!!
コーチ・・・
俺の選んだお前達だ。
必ず、
勝てる!!
ハイ!!コーチ!
 
タカヤ・・・
ハイ。
あの時、俺はタカヤ提督を死んでも守り抜くつもりだった。
しかし、現実はその反対だ。
お前には済まないと思っている。
そんな・・・コーチ。いやだァ・・・
そんな俺が、今まで生きて来たのは、提督から託された未来を
お前達へ、ガンバスターと一緒に手渡すためだ。
・・・
それも、もうすぐ終わる。
タカヤ・・・
ハイ。
俺の体の事、アマノには黙っていてくれ、あいつは弱い。
この事を知ったら、戦えるような子じゃない。
・・・
タカヤ。頼む。
アマノを・・・、守ってやってくれ。
 
守ってやってくれ!
(湯船の中で水面に光が写っている)
(湯船から立ち上がり、溢れたお湯が排水口に流れ込む)
私が守る?お姉さまを?
!(鏡に映る自分を見つめ、何かに気づくノリコ)
涙・・・!?
知ってらしたんだわ・・・お姉さま。
 
艦政本部長
 
軍令部総長
造船課長
 
 
艦政本部長 
軍令部次長
第一作戦課長
軍令部次官
 
 
 
 
コーチ
軍令部総長
 
コーチ
 
 
 
 
 
コーチ
軍令部次長
コーチ
<帝都東京 地球防衛庁 大会議室>
とにかく敵は来たんだ!
総力を上げて迎撃するしかあるまい!!
頼みの、ヱルトリウムの様子はどうなのかね?
ハッ。
現在、艤装が16%進んでおり、
明後日より支援部隊千五百名を新たに−
ダメだ、ダメだ!ダメだ!!とても、出撃はできん!!
艤装の済んでない戦艦なんぞ、石のタヌキだ。
しかし、現存する戦力では、万に一つの勝ち目もありません。
それでは、どうするんだね!
敵は明日にも絶対防衛線を、越えるかもしれんのだぞ。



提案します!!(警備員の制止を振り払いながら、ドアを開け部屋に入り込む)
オオタ中佐・・・
 
ピッ (リモコンのスイッチを入れる)
廃艦処分となった無人のヱクセリヲンを、敵の中心部に送り込み、
そのキングス弁を抜いて、ワープエンジンとなる縮退炉を暴走させます。
ボイド効果により、暴走した縮退炉は2分40秒後に、人工ブラックホールとなり、
雷王星ごと敵の大半を飲み込みます。
 
その護衛にはバスターマシンを使用します。
オオタ君・・・無茶を言うな。。。
敵は数億ですよ!完成しているガンバスターがただの一機で、
他にどういった作戦があると言うんですか!!
ありはしませんよ!
 
 
車掌
 
 
売り子
 
ノリコ
カズミ
ノリコ
ノリコ
カズミ
ノリコ
 
カズミ
<東京行きウルトラひかり号061便 10号車内 (時速750km)>
♪(鉄道唱歌)
車掌室よりお知らせします。只今新岡山駅を定刻通り通過。
次の停車駅、新大阪への到着は9時31分の予定です。
 
岡山名物、きびだんごと紅葉饅頭、テレホンカードはいかがでしょーか
 
お姉さま。いよいよ出発ですね。
・・・
・・・
あの・・・、荷物少ないんですね・・・。
フフッ、あなたもね・・・
えへへ。だって今度はすぐ帰ってくるんですもの。
 
すぐじゃないわ。
地球では・・・、半年経つのよ。
 
ノリコ
カズミ
ノリコ
カズミ

 
 
ノリコ
 
<宇宙基地行きエスカー>
お姉さま。
ん?
あの・・・コーチの体の事は・・・
知ってるわ。
でも、今は一人の心配より、もっと多くの、何十億という人の命を心配しなくてはいけない時よ。
とても、めげてはいられないわ。
そ、そうですよね。
よかったァ。いつものお姉様らしくて。
 
(窓の外を見て、考え込むカズミ)
 
 
 
ノリコ
 
ノリコ
 
ノリコ
 
 
 
カズミ
ノリコ
カズミ
ノリコ
 
カズミ
ノリコ
カズミ
 
ノリコ
 
カズミ
ノリコ
 
 
 
 
 
ユング
コーチ
<富士宇宙基地>
(バスターマシン1号、二号にそれぞれ搭乗しているノリコとカズミ)
(モニターに気づくノリコ)
あれ?コーチ!?
(画像をUPにするノリコ)
やっぱり!
(カズミとの無線通信をONにする)
お姉様。コーチがいらしてるわ。
コーチお元気そうですね。
ねえ、お姉様。
もしかして、帰ってきたらコーチと結婚。なーんて事になってるんじゃないのかなァ
・・・
どう?図星でしょう?
・・・
二人はお似合いのカップルなんだから、コーチも体をいたわってくれる人が必要ですもの。
ね?
あなた、解ってないのね。
・・・?
コーチの体は、宇宙放射線病におかされてるのよ・・・・
あと半年持たないんじゃないかって。。
!(ショックを受けるノリコ)
 
もう・・・・会えないかもしれない。
そんな・・・・コーチ。
コーチーーーーー
(ノリコの叫びをかき消すかのように、バスターマシーンが発射する)
 
 
(バスターマシーンを見送る、ユングとコーチ)
もう、逢えないかもしれませんね。
・・・・
 
 
タカミ
キミコ
 
タカミ
 
キミコ
<公団住宅4階>
(空に二つの光点が上昇している)
ねえ、あれにノリコお姉ちゃんがいるの?
そうよ。ママの一番の親友があれに乗って、あなたの未来を作ってくれるのよ。
大きくなったら、タカミにも話してあげるわ。
ふーん
あれ?ママ泣いてるの?
なんでもない。・・・なんでもないのよ。
 
オペレーター
 
 
ノリコ
 
 
 
オペレーター
 
 ノリコ
 
ノリコ
カズミ
 
 
 
 
カズミ
 
 
 
ノリコ
 
 
カズミ
ノリコ
ノリコ
 
 
カズミ
 
ノリコ
カズミ
 
カズミ
 
ノリコ
 
 
 
カズミ
 
 
ノリコ
カズミ
 
 
 
 
 
 
 
カズミ
 
 
 
 
 
 
 
ノリコ
 
 
 
 
 
ノリコ
カズミ
ノリコ 
 
 
カズミ
ノリコ
 
 
カズミ
ノリコ
 
 
 カズミ
ノリコ
 
 
 
 
 カズミ
 
 
 
 
 
 
ノリコ・カズミ 
 
 

 
 
カズミ
 
ノリコ
カズミ
  ノリコ 
 
 
ノリコ 
カズミ 
ノリコ・カズミ 
 
 
ノリコ
 
 
ノリコ
 
 
 
カズミ
 ノリコ
 
カズミ
ノリコ
ノリコ 
 
カズミ
 
 
ノリコ
ノリコ 
 
カズミ
 
カズミ
 
 
 
ノリコ 
 
ノリコ
 
カズミ
 
ノリコ
 
カズミ
ノリコ
 
カズミ
ノリコ
 
ノリコ 
 
ノリコ 
 
 
 
 
カズミ
 
ノリコ
 
 
 
<地球軌道上、ヱクセリヲン>
加速開始15分前です。
各バスターマシンは、予定位置へ急いで下さい。
(コックピットを操作するノリコ)
上が地球時間。
まだ、みんなと同じ時を生きてる。。。
これから、お姉様と二人だけの時間が流れ始めるんだわ・・・
(モニターの時間表記を見つめるカズミ)
加速10秒前。8、7、6、5、4、3、2、1−
(エンジンが始動し、強烈なGが二人に掛かる)
中心部まで、あと2・1・6天文単位。
(パネルの時間表記が、地球時間だけ早く日付が変わる)
地球ではもう、3日目、あ、4日目!
・・・
(天王星を通過)
 
(雷王星を通過)
(コックピットに警戒音が鳴り響く)
敵襲団補足!
このまま最前部に接触するわ。
敵影、約2億5千万!
前方確保!行くわよ。ノリコ!!
ハイ!
(さらに加速して突っ込んでいく、バスターマシン)
(ビーム(冷線砲)4本を発射するノリコ。カズミは一本(全周熱線砲)を発射)
あと、38億キロ。ノリコ!このまま、中心部へ!
ハイ!
あっ!(敵弾が迫ってくる)
(機体を回転させながらビームを発射)
(両機はそれぞれ、ビームを発射させながら、中心部へ進む)
あと、10億キロ!。
(時計表示を見るノリコ)
・・・もう4ヶ月!?
!(時計の表示を見たカズミ)
(カズミの目に飛び込む。どんどん進む時計表示)
もうだめ!!これ以上行きたくなァい!!!
(レバーを引き、エンジンを逆噴射させてしまうカズミ)
お姉様!?
 
(次々とヱクセリヲンに襲いかかる宇宙怪獣)
 
私、動けない!
もうこれ以上動けない!!
(ゆっくりと進む、時計の表示)
お姉様・・・
あの人が死んでしまう。。。
地球に帰ったって、もう、あの人はいないわ。
私まだ何も言ってないのに!
好きだとも、愛してるとも、抱いてとも言ってない、
何一つ・・・言えなかったのよォ。
 
(ヱクセリヲン内部にまで入り込んだ宇宙怪獣)
 
本当はあの時、キスして欲しかった。
・・・抱いて欲しかった。
好きだと言って欲しかったのよ。
それなのに・・・
それなのに・・・
このまま、もう逢えなくなってしまうなんて・・・
絶対にいやァァァァァァァ!!
 
お姉様、しっかりして下さい!このままじゃ、やられてしまうわ!
コーチの六ヶ月はどうなるの?
本当はコーチだって、お姉様と一緒にいたいはずよ!
最後の六ヶ月よ!!
本当は、行くなと抱きしめてやりたかったはずよ!
それをコーチは自分を捨てて、その半年を、あたし達にガンバスターに賭けたのよ!
これは、その六ヶ月なのよ!お姉様!!

いいえ!!コーチだけじゃないわ!
キミコもユングも、自分達の未来を、みんなあたし達二人に託したのよ!
そのあたし達が負けたら、みんな今まで、何の為に生きてきたのよ。
・・・
あたし達は!
あたし達は!!
必ず、勝たなきゃいけないのよ!
・・・
お願い!カズミ!
戦ってェ!!!!
 
わかったわ、ノリコ。合体しましょう!!
お姉様!!
(レバーを、順航→回送→合体に切り替えるカズミ)
 
(BGMに乗せて、各バスターマシンは変型、合体していく)
 
あなたの六ヶ月。この六ヶ月戦ってみせるわ。あなたの為に。
それが・・・あなたと同じ時を生きる、唯一の方法なのね。
 
(合体が進み、コックピットがガンバスター胸部に移動する)
(頭部が開き、ガンバスターの目が見開く)
(合体完了!)
 
ガァァァァン
バァァァァス
タァァァァァァァァァァァァァ
 
 
ノリコ。ヱクセリヲンは健在。
あたし達の左下方にいるわ。
お姉様。アレを使うわ!
ええ!よくってよ。
うォォォォォォォォォォォ!!
(レバーを引かれた機体は、上昇していく)
(そして、急降下!)
スーパーッ
  イナズマッ!
    キィィィィィィィィィィィィィィィィクッ!!!
(宇宙怪獣を真っ二つにしながら突き抜けていくガンバスター)
(そして、ヱクセリヲンに着地)
合体したガンバスターを、ただのマシンと思わないでよ!
(飛来する敵の光弾)
(全て、右手のみで弾き返すガンバスター)
コーチの! (コーチのサングラスを掛けた顔のUP)
コーチの! (コーチの左顔のup)
コーチの心が、こもってるんだからァァァ!!!
(バスタービーム発射! ビーム線上の敵を全て溶かしていく)
ノリコ!敵機直上!!急降下
クッ!(見上げるノリコ)
(バスタービームを出しながら、上を向き、敵を真っ二つ)
下からも来るわ!約3000!

ホーミング!レーザーーー!
(手のひらから、蜘蛛の糸のようにレーザーが怪獣群を爆発させていく)
みんなの未来!
わたし達の未来!
ガンバスターで作ってみせる!!
その通りよ!だから、邪魔しないでェ!!
バスタァー・ミサイル!
(指先から、ミサイルが発射されていき、被弾した敵は、欠けるように消えいく)
ノリコ。離れて!直衛に入るわ!
(ヱクセリヲンから、離れるガンバスター)
反撃が来るわ。
敵をこちらにひきつけるのよ!できるだけ多く、できるだけ遠くに。
来るわ、集中砲火!約2万!!
(不敵な笑みを浮かべるノリコ)
バスタァー・シールド!
(マントで身をくるんだガンバスタは、敵のビームを全て跳ね返す)(反則技)
そんなもので、あたし達がやられると思って!!
(バスタービーム、連続発射)
あと2千万キロ。それまでもてばいいわ。
え!?(上を向いて驚くカズミ)
下も!?
(宇宙怪獣に上下からプレスされるガンバスター)
まいったわね。まさか、こんなものもあったなんて。
思ってもみなかったわ。
(バスタービームを放つも、跳ね返ってしまう)
さすがね。
でも、コーチの作ったガンバスター。
甘くみないで欲しいわ!!
ダブルバスタァー・コレダァー!!
(両手首、足首から槍が出て、宇宙怪獣に突き刺さる)
うァァァァァァァァァ
(ノリコの叫び声と同時に、100億ボルトの電撃が槍から放たれる)
(大爆発を起こす宇宙怪獣)
 
 
ヱクセリヲン、中心部へ到達。重力半径を超えるわ。
始まるわよ・・・。
さよなら・・・ヱクセリヲン。。。。
(ヱクセリヲンから、無数の光が漏れる)
(ブラックホールとなったヱクセリヲンを中心に、エーテルの渦が出き、宇宙怪獣が吸い込まれていく)
(光の渦の中心で、ヱクセリヲンが沈んでいく。。。)
 
 
観測課長
 
 
 
タシロ提督
<軍令部 小会議室>
成功です。
本日、午後10時45分。パロマ天文台でG型のX線を観測。
現時点ですでに敵の99.89%が消失しました。
なお、衝撃波はあと6ヶ月で到達します。
今回は助かったか!
(東京の空に、ブラックホールの渦が見えている)
 
 
 
 
 
 
カズミ
 
 
カズミ
 
 
 
 
 
ノリコ
 
 
 
<箱根 宇宙軍病院>
(噴射をしながら、ガンバスターが降下してくる)
(着地したガンバスターは、病院の屋上に右手を下ろす)
(ガンバスターの手からドアを開けノリコとカズミが出てくる)
<コーチの病室 302号室>
(病室の扉が開くと、上半身を起こし碁をしているコーチの姿が見える)
コーチ・・・
コーチ!!
(涙を流しながらコーチの胸に抱きついたカズミは、そのまま泣き崩れる)
・・・好きです。コウイチロウさん。
(顔を上げたカズミは、コーチの目を見る)
(カズミを優しく見つめるコーチ)
(また、コーチの胸の中で泣き崩れる)
(二人を見ていたノリコは、病室を後に走り出す)
<ガンバスターの側>
ゴメン、ゴメンね。スミス・・・もう泣かない約束だったよね。
でも、キミコは誉めてくれるわよね。
ね、パパ・・・
(眼下に広がる山中湖)
 
 
つづく


最終話 「果てし無き、流れのはてに・・・」