カイロで健康

肩甲骨体操

肩甲骨体操で背部痛になった症例を考察してみました。


背中の骨5番と肋椎関節

■はじめに

30歳代、男性、技術職、年に数回来院
1週間前から左の背中が痛くて、寝返りをするたび、目が覚める

・症状と結果

問診で、寝ているときには、痛みがなく、動くときだけなので運動機能系の問題だと考えて施療することにしました。
触診すると、背中の骨5番が左前方に大きくねじれて、周辺に痛みとわずかな発熱、浮腫を感じました。
さらに肋骨と背骨の肋椎関節の動きも特に悪くなっていました。
肩甲骨は、逆にゆるんだ感じがしていたので、お話しすると、
痛めたころから、肩甲骨はがしという体操をしていました。
背中の骨5番、肋椎関節を調整。肩、腕の筋肉群を調整。
いつもの来院してくるときの、左仙腸関節、首の骨1番を調整。
帰りには、動かしても痛みはなく楽になっている。


壁に手を押しつける体操

・あとがき

職場で、流行りだしたので、自分もグイグイしていたそうです。
男性は、闘争心がありますので、ついついやり過ぎてしまい痛めた症例だと、考えられます。

メルマガ792号

肩甲骨体操では、肩甲下筋を剥がすような動作がポイントのようです。
壁に手を当てて肩甲骨を浮かすように体操していたそうです。


小胸筋から肋椎関節

肩甲骨の端が、ズレて痛みをだしているのなら、わかるのですが、
肩甲骨の内側である背中の骨5番の肋椎関節が、なぜズレて痛みをだしていたのか、判りませんでした。
再現してみても、肩甲骨が全体的に動き、内側だけ引かれる感覚は、感じられませんでした。

解剖学の本を見ると、胸部にある小胸筋が肋骨3番から5番に付着していることが判りました。
胸部の筋肉に着目して、体操を再現してみると、腕立て伏せの動作を越えて、さらに後方へ動かした時に、胸部の中央が引きつれた感覚が再現しました。


肩甲骨を、剥がそうと、大きく後方へ動かしたときに、胸部の小胸筋が伸びきり肋骨を引くことで、肋椎関節に負担がかかり、痛みを出していたと考えられました。

体操は、やり過ぎ、伸ばしすぎ、弾みをつけすぎないように、気をつけましょう。

カイロで健康
「臨床」