カイロで健康

クラッキング音 3ページ


5.他の音響特性と比較

1)骨対骨の接触

(1)条件

鶏の大腿骨と脛骨を手を使い直接接触させた時の音

(2)測定結果と比較考察

2)短母指外転筋・屈筋の巧打(指鳴らし)

(1)条件

短母指外転筋・屈筋を巧打(指鳴らし)した時の音

(2)測定結果と比較考察

3)注射器のポンピング音

(1)条件

デスポ注射器(10ml)に栓をして、プランジャを引いて静的キャビテーションを作る。
その後力を外してキャビテーが崩壊した時の音を測定した。

(2)測定結果と比較考察

4)気泡の崩壊(ビール)

(1)条件

缶ビール(350ml)の開栓後、二酸化炭素の気泡が崩壊する音

(2)測定結果と比較考察

6.クラッキング音の考察


クラッキング音における靱帯の作用

・関節間の距離から・・・・・下図

関節間の距離の変化は、筋肉・靱帯が伸びている事になります。
その中で筋肉は伸縮が大きく距離を制限する影響は少ない。

関節の可動端は靱帯が制限しています。
靱帯の伸びは、コラーゲン線維の波状構造によるもので、伸び率は10〜20%程度となっている。
関節間の距離から靱帯の伸びを想定すると、
靱帯の長さを20mmと仮定します。
関節の伸びは 5.4mm-1.8mm = 3.6mm、
伸び率は (20+3.6)/20=118(%)
となり妥当な靱帯の伸びになり関節の距離を制限しているのは靱帯であると言える。

靱帯の伸び

・クラッキング音発生時の力作用・・・・・下図

クラッキング音が発生する時は、関節可動端で発生することが多い。
これは関節可動端で加わる力が、筋肉では無く靱帯に作用している事からも関節の距離を制限しているのは靱帯である。
指を伸張した場合も靱帯に力が加わっており条件は、同じである。

関節可動域の負荷分担
可動域とクラッキング発生域

・クラッキング音の再発生から

クラッキング音が再び鳴らせるのに約40分かかると言われています。
キャビテーションが発音の原因である事から、その40分間は、キャビテーションが発生出来ない事になる。
クラッキング音が発音する時はキャビテーションが発生できる。その後の40分ではキャビテーションが発生出来なくなっている事になります。
キャビテーション発生は関節腔が飽和水蒸気圧以下になることで発生します。
飽和水蒸気圧は温度に左右されますが、関節腔は、体温の恒常性から温度変化は少なく滑液の成分変化や粘性変化も少ないことから、関節腔内圧力がキャビテーション発生を決めていると考えられます。

CO2が定義されているが、筋の活動代謝であるCO2分圧増加による解離曲線の右偏するボーアの法則からきていると思われる。
しかしCO2は常温で気体であり筋組織から急激に気化するとは考えにくい。
CO2のキャビテーションならば崩壊が高圧か低温度で発生しなくてはならないので現実と合致しない。
さらに関節腔内は、滑液で満たされており、滑液の成分は水分が主であることから滑液が気化することでクラッキングを発生させていると考えたほうが妥当である。

クラッキング音の出る時は、外力により関節腔内圧がキャビテーションの発生まで圧力低下します。
発音後では、外力が加わってもキャビテーションの発生する圧力までは低下しないことになります。
関節腔の圧力は関節を固定している靱帯が非線形の動きをしその回復に時間がかかる。
関節腔内のためと考えられる。


・関節腔内圧力

関節胞の形状は、膨らんだ状態になっている。靱帯も弓状になっています。
まず指関節を、円柱状に置き換えて関節間の体積を出すと、1.8mm時 0.32cc
5.8mm時 0.95ccとなる。この差分 0.63cc前後が関節の外部にあり関節包に柔軟性があり滑液の移動が自由であれば、関節内圧は、ベルヌーイの法則から関節の移動速度に依存します。
このときの指の外径は、2.4mm 細くなりますが、実測では、1mmほど細くなりました。
関節腔内は、容積の変動を滑液や関節胞の形状を変えることで対応し圧力変動が発生している。

関節内の容積

・関節腔の負圧による関節体の結合

関節直径をφ15mm とすると 関節面は、177mm2となる
標準大気圧101Khp キャビテーションまでの蒸気圧(成分は水30℃と想定)4Khpとすると1.8Kgの力で静圧のキャビテーションが発生します。

クラッキング音の実験では8Kgが必要としており明らかに関節腔の負圧以外に関節を拘束制限する構造物(靱帯)が考えられる。
実験が英国人なので関節直径を30mmにしてもキャビテーションまで7.3Kgとなり8Kgに及ばない。

・靱帯のコントロール

筋電図から神経電位の持続時間は1〜5msであり頻度が 30〜100Hzである。
クラッキング音は、1桁ほどは速いスピードで発生している。
クラッキング音は神経伝達でコントロールされているのではなく構造的に発音していると考えられる。
ただしクラッキング音の振動や刺激は伝達されている。

・以上の事からクラッキング音発生時の関節距離制限機構は、靱帯が行なっていると言える。
靱帯の構造は、組織に強度と剛性を与える膠原線維と負荷時に張力を与える弾力線維、容積を与える細網線維から構成されておりクラッキングを発生させのに適した構造、組織である。


・まとめ

クラッキング音の発音メカニズム


発音メカニズムから言えることは

(1)スピードが速いほどクラッキング音が出やすい。

スピードは、キャビテー生成に影響しており障壁を越える時のスピードが速いほどキャビテーが出来やすい。

(2)強い力は要らない。

弾性障壁を超える力は必要だがそれ以上はいらない。

(3)方向が大切

靱帯の波状方向に力を加えるのが最小の力方向

(4)関節の弾性障壁は、大気圧の影響を受けている。

大気圧によって力加減が変化する。

(5)関節構造体の大きさで音域が変わる。

小さい関節構造体は高音域に大きい関節構造体は低音域に音域が移動する。

(6)クラッキング音が出なくても関節可動域は大きくなる。

関節内の圧力がキャビテーション発生までいたらなくても、靱帯が伸び可動域が大きくなる。


はじめにP1P2・P3

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