「お風呂場で…」  第11話
「私は、最初失敗した。手首を切ってもね、首筋を切ってもね。痛くなかったの。盛り上がってたから…。でも最初は大丈夫だったけど、ふと痛いって感じたの。すると急に痛くなってきてたの。イヤな痛さだった…」
 校舎を眺めて私は腰を下ろした。
「私なんかがね、手首切っても、首筋切ってもね。結局、血管に傷なんてつかなかった…。皮を切っただけ」
「不器用な話ね…」
「それに気づいた時ね。田中さんの事を思い出したの」
「どうして?」
「そんなの解らない。でも、会いたいと思った。会って誤りたいと思った…。とにかくそう思ったの…。だから、ともかく立ち上がったの。そして、足を滑らしてお風呂に後頭部をぶつけた」

「そしたら身体が動かなくなって、そのままお風呂に沈んだの」
「間抜けな死に方よね」
「ほんとにね…」
 ふたりでケラケラと笑った。我ながら感情がこもってないなと思った
「ところで、この格好は何ですか?
「ネクタイよ。フォーマルでしょ?」
「もはや服ですらないじゃないですか」
「また、文句?」
「いや、文句って言うか…」
「あーー、着せても駄目、脱がせても駄目!一体どうすればいいのよ!!」
 死に神さんはやっぱりまた怒ってた。返す言葉が見つからなかったけど、なんとなく死に神さんは感情があるんだなぁとおもった

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