A cram school pupil


気付かれてないと思ってたのに。
気付かれたくなかったのに。

いつもさりげなくあの人の姿を視界の端に入れていた
まじめな顔も怒った顔も笑った顔もくやしそうな顔も
全てを知っていたくて。

けれど話してる間はマトモに顔が見れなくて
いつも視線を外してた。
見ないようにしていた。

ね、大輝。
不意に名を呼ばれ、顔を上げたとき
そのまま視線に捉えられてしまった
まっすぐな目に動くことすらできない。
完全なロックオン状態。

何スか
ようやく絞り出した声はかすれていた。
ちゃんと彼に届いていただろうか。

なんで俺の方みてくんないの?
俺のこと嫌いなの?
俺のこと怖い?

エ?…ナニヲイッテイルンダロウ
イツモミテルノニ
キライナワケナイ
コワイ…?

目の前が赤くなる。周りの音が聞こえない。
急激に世界が狭まっていく。
この人はいったい何を言っているのだろう。

大輝?
その声だけが感覚の中に響く。
どうした?大丈夫か?
…?
ハッとした瞬間に引き戻される。

大丈夫か?大輝?
目の前にはひらひらとふられる手があった。
あ、大丈夫です…
うつむこうとしたけれどそれは叶わなかった。

ね。大輝。
もう、俺のこと見てくんないの?
いつもみたいに俺のこと見てよ。
ほら、このままの状態で。

知られていた。気づかれていた。
そして俺はうすく笑うあの人にとらわれる。



・・・俺のものになりますか?

『A cram school pupil』 ネットで「塾」の単語を調べたら、後ろの方に塾生ってことで書いてあったので、採用(苦笑)オンリでちっちゃい本にして机の上に置いてました。・・多分。
大輝はねー。こうやって「なりますか?」って聞くんだけど、それはただ聞いてるだけで実際の所は「なれ。いや、する。」ってのがウチの大輝なんだろうと思ってます。<わかりにく!!
普段は大人しいんだけど、スイッチ入ったらオレ様大輝。大好きだ。
ところで、ウチの大輝はどっちだったんだろ・・ま、どっちでもいいんですけどね。大輝が大輝なら。


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