アイの行方

今年もやってきた2月14日。
年が明けて、お正月も終わった頃にはすっかり店のポップもバレンタイン仕様に変化して町中のムードも盛り上がる。
そして、アタシは毎度の事ながら、今年はどうしようかなって考える。
あれもいいなー。これもいいなー。
ほんと。いろいろ迷っちゃうんだよねぇ。毎年新作はでるし、どれもこれもおいしいんだもん。
でも・・いっつも涼兄ぃが両手に下げて帰ってくる袋の中にはアタシが決めたのと同じのが絶対入ってるんだよね。
なんかくやしい。
絶対かぶらないの・・となると手作りなんだろうけど・・アタシが作ったら絶対食べ物になりそうにないし・・
無理して食べてお腹こわしちゃったら大変だもん。
なんかいいのないかなー・・・
あ。そか。こういうのも手だよね。
アタシってあったまいいー!


どきどきしながら、涼兄ぃに『はい! 今ここで開けてね!』って渡した。
中身は自作じゃないけど、ラッピングは全部自分で作ったんだよ。
にっこりわらって受け取って、丁寧にラッピングをほどいた後、袋をのぞき込んだ涼兄ぃの顔が『あれ? なんだ?』って言ってる。
そりゃそうだよね。中身はフツーのアルファベットチョコだもん。
世間一般では義理チョコに使われるナンバーワンかもねー。
でもそうじゃないんだよ?
さぁ、ここで涼兄ぃに問題です。チョコのメッセージは何でしょう!
並べて見ないとわからないかもよ?
涼兄ぃ、机の上にざらーっと出して表面をみてはつぎつぎと並べてる。
すっごく簡単なんだけどね。でもメッセージ分集めるのは大変だったんだよ。
一袋じゃ足りなかったんだよ。
絶対一袋で全部あると思ってたのに、欲しいのが全部無かったんだよねー。
慌ててもう一袋買ってきたもん。
ね。涼兄ぃ。もうわかったよね?なんて書いてあるか。
「緒美・・確か英語は得意な方じゃなかったか? それとも・・別の答えがあるのか?」
テーブルの上に並べられたチョコのメッセージを見て、涼兄ぃは困った顔をしてる。
単語毎に並べられたチョコ。
「まず、オレと緒美の名前だろ? こっちは『LOVE』。これで『YOU』だろ? そしてこっちが『FROM』 何か足りないよな? 入れ忘れか?」
何が抜けてるの?涼兄ぃ? 抜けてないよ。それがメッセージだもん。
「もう一度最初から英語やり直すか?」
やだよー。そんなの。 ねぇ。何が抜けてるって?
「アイ。主語が抜けてるじゃないか。たった一個だけど・・重要だぞ?」
やだなー。涼兄ぃ。
アイはココにあるでしょ?緒美の顔と胸の中に。
ほら。
そんなチョコレートなんかじゃ伝えられないでしょ。
・・・それともチョコに伝えてもらう方がよかった?
そういってじーっと見つめてみた。
「いや、確かにそうだな。チョコレートよりも緒美がくれるアイが良いな」
涼兄ぃが伸ばした手を引き寄せて、くちづけて。そして緒美からのアイを。
大好きだよ。涼兄ぃ。
照れくさいから何度も声に出しては言わないけどね。

時期ネタです!!うわー!!こっぱずかし!!<アタシだけか(汗)
ええと。マジで一袋買ってきて、ごそごそ捜しました(笑)
そして、マジに『I(アイ)』は無かったのです・・数は足りなくても、一応他のアルファベットは全部あったのにー!!でも流石にもう1袋は買ってないですよ?


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