Diverge ver1.00

修学旅行前後ですから、去年の10月辺りですね。
一番最初に何気なく書き始めたシナリオ。今の風味はちっとも無く、主人公の名前すら違いました。
ToHeartみたいなそれぞれヒロインごとに別々のシナリオがある学園モノだったんですが、
「やっぱり物語に一本筋の通った、大きな幹が欲しい」ってことで書き直した記憶があります。
全部は恥ずかしいので途切れ途切れで見ていきましょう。ツッコミを入れつつ。



目覚め。
その日もいつもと変わらぬ平穏な目覚め。

見ていた夢を途切れさせられたような半端な後味。
それでも心に残る暖かいもの。
窓を開けてみる。息を吸ってみる。
いつもと同じ風。いつもと違う予感。

それは再び移ろい始めた季節が運ぶ。確かな鼓動。

―――DEVERGE

いきなりスペル違うし。

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食卓、妹が焼いたパンをいつもの様に頬張る。
台所にはあわただしく弁当の用意をしている影が一つ。

「おにいちゃん、今日は早く起きたね。何かあったの?」
「余計なお世話だ。」
「まぁ、今日からまた学校だからこれから毎日こうしてもらわないとね」


親は昔から仕事で飛びまわっていて盆暮れ正月ぐらいしか帰ってこない。
おかげで裕福には裕福だが、寂しさも少なからず、だ。

「そんなことより早く弁当作れよな、遅刻したらお前のせいだぞ。」
「おにいちゃーん、お弁当クマさんの柄にしていいかな?」

「やめろ!」

 俺は思いきり声を上げて拒否した。

「お前は兄に屋上で一人寂しくクマ柄の弁当を食えというのか?」
「…一人で食べなくてもいいんじゃない?」
「じゃあみんなでワイワイとクマの弁当についてあれこれ批評をすればいいのか?」
「そうとはいわないけど・・・」
「あ、この耳可愛いー!とか、
この鼻の位置、もうちょっと上の方がいいんじゃない?とか語り合えと?」
「だからそこまでは言わないって…」
「ていうか、今からクマさんのお弁当にしてたら遅刻確定だよ?」
「だから普通の弁当にしろって言ってんだろ!」

前言撤回。
寂しさなんてこれっぽっちもない。
両親が置いていったお荷物、妹の早紀とこうして二人暮しをしているからだ。
こうして毎朝軽口を叩きあいながらそれぞれ学校へ。
こんな生活も決して悪くないと思っている。

妹かよ。
今の自分はもうこの時既に存在していたんですね。
主人公の性格はあんまり変わってませんね。つぅか状況説明短すぎ。
次は学校パートを見てみましょうか。赤面しつつ。


急いで校内に駆け込むとなんとか間に合った様だ。
昇降口や廊下で喋っている友人に挨拶をしつつ教室へ

「高原君、おはよう」
「おっす」
「今日は遅刻しなかったんだね」
「まぁな」
クラスメイトの紀澄沙菜。俺と親友なヤツの一人だ。
頭脳明晰、容姿端麗だが、実は結構な悪戯好きだったりする。

沙菜って誰よ。
そういえば原画のスカ野郎がこのキャラをえらく気にいってましたな。消したけど。
でも僕もこのキャラのテーマ曲は気に入ってました。消したけど。ゴメンヨ桜。
というか、キャラの性格説明を一行で済ますのやめれ。


「晃哉は?」
「うーん、遅刻じゃない?」
晃哉。こいつも俺と親友なヤツの一人。
確か小学校の頃からの友人だった気がする。馴れ初めは女子更衣室を覗く話だったか。

「やっぱり校舎の裏から窓を伝って忍び込むのが一番だろう」
「いや、部屋の中にカメラを仕掛けて後で回収する策がいいんじゃない?」
「しかしそれでは証拠が残るかもしれん」
「そうか・・・」
「うぅむ・・・」

・・・小学校から何喋ってたんだ、俺達は。

キーンコーンカーンコーン

聴きなれたチャイムが響き、教室、廊下で喋っていた生徒達も席につき始める。
程なく教師が教室に到着し、朝のHRが始まる。
休みの間の健康状態についての質問や今日の予定の報告など
担任が手早く終えた後、始業式のために体育館へ移動する。
そして、始業式。小学校の頃からこのプロセスは変わらない。
まぁ、変えようもないんだが。

「今日の始業式は生物室で行うぞー!」
「イエーイ!生物室ー!!」
「校長の挨拶の変わりにフナの解剖をやるぞー!!」
「イエーイ!フナの解剖ー!!」
「鮮血だー!!」
「イエーイ!鮮血ー!!」

イヤすぎる。

「何一人でぶつぶつ言ってんの?」
「イエーイ、鮮血ー!」
 違う。
「お前は、晃哉だな。」
「何を今更…」
浅野。俺と女子更衣室の親友。もとい幼い頃からの親友。
昔からよく二人でつるんでは教師に呼び出し食らったりする仲間だ。
しかし、そのわりに穏やかめな口調と整ったルックスで割と人気らしい。


「晃哉」読み方は「こうや」です。そう、悲劇の科学者「神條弘耶」の元ネタ。
ちなみにこの「こうや」の名前は某野猿のボーカリストから頂きました。苗字は同じく野猿一時メンバーの浅野君から。
あとフナネタ使いまわしてますね。そんなにフナが好きですか?



コイツにもう一人、永久不変の俺のライバル・藤堂美月が加わり
鉄壁の幼なじみ・直輝ーズが誕生する。


ネーミングセンスねぇ


「直輝ーズって何よ。」
後ろから聞こえる声は紛れもなく直輝ーズ最後のメンバーだった。
「お前も遅刻組か、美月」
「どっかのお婆さんが道で死んでたから、助けてあげてきたのよ。それで遅刻を、ね」
「朝からブラックなジョークを飛ばすヤツだな」
大体、死んでるなら助けるも何もないだろうが。
「で、直輝、今日の日程は?」
土曜日だからな。3時間目まで授業で、そのあと掃除、SHRで解散だ」
「うーん、めんどくさいわねぇ…サボる?」
相変わらず美月は無責任で気楽な女だった。
コイツは前々からこんな性格で、髪は染めるわ授業はサボるわで学校からは問題児扱いだ。
だが別に悪いやつではなく、性格もいい。現に友達も多いようだ。

「…別にそれもいいが、それだと何しに学校に来たんだ?」
「お婆さんを助けに、よ」
「・・・・・・さぼるか」
「だめよ、さぼったら」
「あ、沙菜じゃん。おはよー」
「おはよう、美月」
「んで沙菜、サボっちゃだめなの?」
「そろそろ授業の方にも出ておかないと、ヤバいんじゃない?」
「うっ・・・」
「一学期、授業態度が不真面目すぎて、危うく留年確定しかけたのを忘れたの?」
「ううっ・・・」
「美月は意外とテストで良い点取れるから大丈夫だと思ってるみたいだけど」
「うううっ・・・」
「度が過ぎると・・・」
「留年、よ?」
「イヤァァァァァァ!」

ぞぞぞっ・・・
相変わらず沙菜の口達者ぶりには驚かされる。
普段のほほんとした雰囲気だけにこういう時の語り口調は本当に怖い。
例えるなら、女王。

女王て。
なんですかそのキャラ設定は。鞭でも持たせるつもりだったんですか答えてよカテジナさん!(混乱)
あと、美月が出てきてますね。性格全然違いますが。志保?
確かスカ野郎から上がってきた原画の髪の色は緑色でしたね。しかも蛍光色。
やっぱりキャラ説明適当すぎ。
あと会話ばっかりで20行近く済ますの、なんとかして下さい。

次。
土曜日なのに弁当を持ってきた阿呆な主人公は隠れて弁当を処理することに。

人が少なくなるまで教室で時間をつぶしてから廊下に出る。
冷静に考えれば、何故俺はこんなに必死になっているんだろう。
深く考えると悲しくなるのでやめておく。

どこで食うか、深く考えた末に俺は屋上に出た。

重い鉄のドアを開けると眩しい太陽の光が俺を突き刺す。
ぬけるような青空だった。

屋上の片隅に腰を下ろす。
給水塔の真下。ここなら日影になっていて日差しもそう苦ではない。

「いっただきまーすっ!!」
あえて陽気に叫んでみる。
・・・・・・
反響が無いのが余計に辛かった
「さぁて!!今日のおかずはなにかなぁ!?」
悔しさと虚しさを打ち消すように弁当を広げてみる。

ご飯の上に茶色のそぼろで生き物が綺麗にかたどられている
目の部分はご丁寧にグリンピース。

熊、だった。


「熊にしてる余裕なんてなかったんじゃないのか・・・」
早紀のいやがらせか、それとも親切心か
どちらにしろ大迷惑であることには変わりない。

もしこれを友人達の前で広げていたなら恐らくは
”ベア高原”もしくは”高原熊”と名付けられていただろう。

恐ろしすぎる。
一度あだ名がついたが最後。
これから先、修学旅行、大学受験、すべてこの名前で呼ばれるのだ。


「卒業証書。3年4組14番・熊。この者は本校の修業課程をすべて修了したものとする」
「がおー」

「熊先輩!ずっと前から好きでした!第2ボタン下さい!」
「がおがおー」

・・・熊って「がおー」って鳴くのか?
しかし他に適切な鳴き声も思い浮かばない。
もしかすると、語尾が「くま」になるとか?

「熊先輩!ずっと前から好きでした!第2ボタン下さい!」
「わかったくま。あげるくま。」

・・・・・・
とにかく、恐ろしいことには変わりない。

このネタちょっとだけ好き。「がお」が被ってるけどー。
っていうかギャグ、全体的に麻枝臭が漂っててやるせないです。
まぁ、現Divもそうといえばそうなんですが、このバージョンはあからさま過ぎ。



「こんな弁当は早く食べてしまうに限るくま」

「可愛いお弁当だね」
「クマ弁当だからな」
「いいなぁ」
「よくない」

何時の間にか俺は弁当のクマと喋れるようになっていた。

・・・・・・
違う。

声は上−給水塔の方から聞こえていた
「顔に似合わず可愛い趣味してるんだね」
「好きなんだ、熊。」
「食べるのが?」

「部屋には熊のぬいぐるみが所狭しと置かれている。
筆箱、シャープペン、消しゴム、自転車、身の回りのもの全部熊だ」

「先にオチを言われて悔しいのは分かるけど、それだとかなり変な人だよ?」
「・・・・・・」
図星だった。

「まぁ、降りてこい」
上目で確認すると声の主は給水塔の上に座っているようだった。
うかつに見上げると見えるものが見えそうで非常にそちらの方向を向きづらい。
「うん?わかったよ」

主は軽やかに地面に降り立った。
あまりにも軽やかだったので俺は少し目を奪われた。

熊。

違う、降り立った声の主は見知らぬ女だった。
割と長身で細身。おっとりとした言動とは裏腹に活動的なスタイルだった。

「こんにちは。」
「おう」
「何してるの?」
「見ればわかるだろ、弁当を食っている」
「一人で?」
「他に誰かいるか?」
「いないね」

・・・・・・

「あなた熊さん?」
「おまえ熊か?」

・・・・・・

「とりあえず、違うと言っておこう」
「あたしも違うって言っておくよ」

・・・・・・

「お前はここで何をしているんだ?」
「さっきまでお弁当食べてたよ」
「・・・」
「くまじゃないよ?」
「・・・」
「それにもうそのネタは引っ張りすぎ」
「お前は人様のボケをことごとく潰すヤツだな」
「ボケキラー?」
「そのまんまだな」

・・・・・・

「はむっ!!」
「ああ!!」
人が食おうとした卵焼きを奪われてしまった。
「はむはむ・・・美味しい」
「人の飯だぞ!」
「油断してると取られるよ」
「ぬぬぬ・・・」
「緊張感あふれる昼食が楽しめるね」
俺は別に昼食で緊張感をあふれさせたくはない。
「次はソーセージが食べたいかなぁ」
「ぬぬぬ・・・」

・・・・・・

「はむっ!!」
「ああっ!!」
一瞬のスキを突かれ、俺はソーセージを奪われた
なんて俊敏なヤツだ。
「お前、おかずキラーか?」
「そのまんまだね」
その後もおかずキラーと俺の戦いは続き、
そうこうしている内に食事はおわった。
「ぜぇぜぇぜぇ・・・・・・」

・・・なんで俺は昼食でこんなに疲れているんだ。

「ごちそうさまは?」
「ご馳走様」
弁当の包みを片付けると立ちあがる
「俺はもう行くが」
「あたしはもう少しここにいるよ」
「ここには何も無いぞ」
「あるよ」
「そうか?」
「とても大切なものが、あるよ」
「そうか」

大切なものの内容を聞こうとしたがやめておいた。
別に特に気になることでもないし。
俺は少女を残し、屋上を後にした。

えーと…みさき先輩+佳乃、みたいな?(半泣きで)
ちなみにこのキャラの名は「佐久間利恵」。そう、ヤツの原型です。
どこをどう間違えてあんなキャラに変貌したんでしょう。
つぅか、この頃から状況描写が激しく判りにくいですね。ちょっとは成長してます?


「・・・、ー・・・」
「・・・何か聞こえたような」

耳を済ますと、確かに聞こえる。
ハミングのようなスキャットのような詞の無いメロディー
例えるなら鈴のならす音の様に澄んだ声。
誘われる様に、俺は木々で覆い隠された道の奥に足を進めていった。

木々の扉を開けるとそこは幻想的な世界だった。
かつては公園だったのか、寂れた遊具が虚しく風にゆれる。
悲しくも完成された秋の世界。

そして、その世界に舞い落ちる木の葉のように、
水面に投じられた石の波紋のように、
一人の少女が存在した。

「・・・誰」
「あ、悪い。邪魔したな」
「別に邪魔じゃない」
「そうか」

少女は薄手の布をまとい公園の中心に立っていた。
髪形だけなら少年と見間違いそうな短めの髪。
でも顔を見れば人目で女性と分かる物憂げな顔立ち
はっきり言って、美人だった。

「寒くないか?」
「寒くない」
「嘘だろ?」
「嘘じゃない」

「何してたんだ、こんなところで」
少女はこちらを向き、何事か答えようとして−やめた。
「・・・」
「答えたく、ないか?」
「別にそう言うわけじゃない」
「そうか」

でも俺はそれ以上追及しなかった。
だが、この少女にひどく引かれるものがあった。
ただ彼女が発する綺麗な声が聞きたくて、言葉を紡いだ。

「名前は?」
「・・・」
「答えたくないか?」
「別にそういう訳じゃない」
「・・・なら教えてくれると嬉しい」
「聞きたいのか?」
「聞きたい」
「何故?」
「いや、理由はないんだが・・・」
「そう」

しばらく黙り込み、そしてまっすぐこちらを見て答えた。

「わたしは、季節を運ぶ者。名前なんてない」

彼女が発した言葉はよく分からなくて、
理解に時間がかかるようだった。
でも俺にはその響きが何故か懐かしいような気がして、
その言葉を受け入れられるような気がした。

「名前なんて無い。でも・・・」
少女の言葉は続く


「どうしても呼びたければ"秋端"、でいい」


トロワかお前は。
ていうか喋り方が全然違いますな。高貴な方喋りと云うか。
なんか唄ってるし。やっぱり会話で文章構成するのやめれ。
この後のシナリオ見てたら、全然今の秋端と違うキャラでした。うわぁ。
下のは自室で秋端と二人きりのシーン。

話すことがない。
大体、部屋に二人っきりなんて気まずすぎること、この上なしだ。
一応好きあっているなんだから、その、だな

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「そうだ!選挙にいこう!」
「なんだ?」
「いや、特に意味はない」

本当になかった。

「おにいちゃーん?さっきから話し声してるけど、誰かいるの?」
「のぁぁぁぁぁあ!!!!」

いきなりドアを開けようとした早紀を必死で止める。

「猫だ!ただの猫だ!猫と喋っていたんだ!」
「猫?いいなあ、わたしも見たい!」
「ち、ち、違う!猫じゃない!クマだ!ホッキョクグマだ!クマと喋っていたんだ!」

熊と話す俺は何者だ。

「クマかー、見てみたいなー」
「止めろ!食われるぞ!」

必死で部屋に入ろうとする早紀を押し返すと思いっきりふくれっ面をした。

「まぁ、そんなに隠したいならいいんだけど」
「中学生の妹が同じ屋根の下に住んでるんだから、あんまり悪影響与えることしないようにね」
「・・・」
「まぁ、熱い二人にそんなこと言っても無駄かもしれないけどっ!おやすみっ」

思いっきりばれていた。


ここのやり取りちょっと好きかも(笑)
妹キャラ萌え〜。次の次の作品ではバリバリに萌える妹が書きたいです。
「ああ、やっぱりHARUだ」と思われるくらいのを。
早紀って名前はなんとかならなかったものでしょうか。嫌なのを思い出します。超。


なんつうか、そろそろ胃が痛くなってきたのでこの辺で。
読み返してたら、妹のシナリオがありまして。読んでみたんですよ。笑いを堪えながら。

・・・ハハ。