雛見沢旅行記。

痛くてごめんなさい。



12月 11日 AM9:00 某県内某所

本日のメンバーはHARU、サクラ、KENZの三名。
いつも大所帯で旅行するSHIKSにしては少なめの編成だが、少数精鋭もまた良し。

というわけでサクラの愛車でスタート。

「やぁおはよう諸君」
「おはようはいいが、その手荷物はなんだ」
「馬鹿者。雛見沢に行くならこれくらい準備しないといかんだろう」

そういってメンバーの一人が取り出したのはバット、拳銃、バール(のようなもの)。
バットは圭一の装備、拳銃は魅音の私服、バールのようなものは鉈の代わりらしい。
なんともオタクイズム全開の痛装備。

やる気だ…こいつら。

ちなみに追記しておくと雛見沢こと白川郷は予想外に観光地として栄えており、
バットや拳銃など恥ずかしくてとても持ち歩けなかった。早くも空回りである

とりあえず運転を交代しつつ休憩をとりつつで一路白川郷へ。
高速代節約のために往路は下道を選択。

そして車内BGMはunder17。
単純にテンション上がる上に、「POPOTAN KISS」、「泳・げ・な・い」辺りは普通に良い曲。

車内のトークは、音楽談義、看板いじり、似てない物真似大会など。
張五飛(ガンダムW)とカルシファー(ハウル)、長井秀和(タレント)は誰がやってもそこそこ似ることを発見。

「気をつけろ女かだから甘いよー呪いを解いてくれよー間違いない」

夢のコラボレーション。
モモーイの歌声をバックに、三人でひたすら鼻声を続けるさまは誰がどうみても異常でしかなかっただろう。



モモイは言う―――「もうだめぽぽぽ」


12月11日 PM14:40 岐阜県某所

途中、見覚えのある橋を発見。

―――あの橋は。

祟り殺し編で沙都子を追いかけて圭一がやってきた橋だ。
白川郷よりやや南より三十キロ。
いやぁ、三十キロも二人は走ってきたのかぁ。遠すぎだ。

車を停め、歩いて近くまで行ってみる事に。
橋の下は水が流れており、圭一が気絶してた河原はゲーム内とは違う場所の模様。

「……落ちてみるか? 謎が解けるかもしれないぞ」
「つーか確実に死ぬよね」

とりあえず沙都子の脚力はすごいということで一段落(違うだろう)

橋をあとにし、そこから約20分。
出発から約四時間ほどで目的地である白川郷集落に到着。
見えてくる合掌造りの屋根。

「すすすっすっすげー!合掌造りだだだだ!!やべぇ!」
「オオオオオラ、ワクワクしてきたぞおお!!!」
「雛見沢だ!ひぐらしだ!オヤシロ様だ!」

―――世界遺産にキモオタ三人襲来す。


12月11日 PM15:00 岐阜県白川郷

白川郷集落に入る。
案内所らしき駐車場へとりあえず駐車し、宿の位置などを把握することに。
前述の通り、白川郷はかなり観光地として栄えており、それはもう人だらけ。
とりあえず手ごろな店で飛騨牛丼を食いつつ、予約していた宿になだれ込む。

それはもう見事な趣ある民宿。
合掌造り、囲炉裏、炬燵、割と綺麗な女将さん。
そして部屋は三人で程よく収まるこれ以上ない和室っぷり。
炬燵に入り、お茶を飲み、温まってると「日本っていいなぁ」と改めて実感できた。

「もう雛見沢とかどうでもいいかな」
「そうだな」
「眠いしな」

本末転倒である。
さすがにそれでは物足りないだろうということで夕飯まで辺りを散策することに。


12月11日 PM16:00 岐阜県白川郷 某民宿

集落一帯は意外と狭い。
北端から南端まで二十分もあれば十分歩ける距離だった。
資料館系は四時を過ぎて閉館してしまったので、とりあえず神社に訪問。
そう、誰が何処からどうみても古手神社である。



「……赤坂さん、探すまでもないよ

大通りの北端に位置する古手神社。
道路に面しており、石段も何も無いので、すぐに見つかる。
赤坂は相当方向音痴であったと思われ、ここに謎を解くヒントgねぇよ

古手神社に続き、貧乳の神様であらせられる所の秋葉神社参拝をすませ、
一行は白川郷を見渡せる展望台へ。


12月11日 PM17:00 岐阜県白川郷 展望台

北端から徒歩で二十分ほど。一行は車だったので五分くらい。
やや日が沈みかけ、観光客も去ったあとだったので、昼間は人で一杯だった場所も
まったく誰も居ない状況に。

「……バット持っていく?」
「うん。誰も居ないし。折角買ったし。拳銃も」
「バールは?」
「そこまでいくと不審者だから、やめておこう」

安心したまえ、既に十分不審だ。



そしてバット片手に訪れた展望台。
絶景かな絶景かな。
そしてどうみてもタイトル画面。
近くには神社境内(初日に弁当を食べたところ)もあり、ものの見事にひぐらしチック。
最高の風景を楽しみ、心行くまで写真を撮り、帰ろうとしたところでまた見覚えのある風景を発見。

通称レナのブチキレロード。
鬼隠しでレナがひぐらしアイで発狂した場所だった。
これまたテンションをあげる一行。モモイを歌う声も一層軽やかに。喧しく。


12月11日 PM17:30 岐阜県白川郷 集落内

ブチキレロードを下り、細い林道を抜けると右手に見える怪しげな二階建て建造物。
―――沙都子&梨花ハウス。



「はぁはぁ」
「はぁはぁはぁ」
「はぁはぁはぁはぁ」


とりあえず警察を呼んではいかがかと思うのだが。

それはさておき、普通の民家だったので見学もそこそこに立ち去ろうとしたとき、
隣の建物にこれまた何度目かのデジャヴ。


目をこらすと沙都子の実家、北条家だった。叔父近っ。
にげて!さとこにげてーーーーーーー!!!

中にヤクザオヤジが居ると怖いので早々に退散。つーか民家だし。
宿の駐車場に車を置き、散策。

単純に白川郷という地は歩いて回るのにすごく適した土地だった。
景色が気持ちいい。建物の色彩が目に心地よい。
木々の匂いや川に水の流れる音。そして仄かに燈る人の暮らす明かり。
ああ、自然とはこういうものなのだろうな。

―――と、オタ風情がほざいています。


12月11日 PM18:00 岐阜県白川郷 某民宿

土曜の18:00といえばガンダムSEED DESTENYの時間だ。
アニオタであるところの我々はテレビのチャンネルを回すも何故かやっておらず。
まぁネタ番組だし別にどうでもいいので食事。

「んんんんまあああああい!!!」

とりあえず美味いとしか言葉が出てこなかった。
山菜中心のメニューなので、野菜が食えない約一名は困ったものの、
それでもほぼ完食。
風情というものは最高のスパイスだと思った。

飯を食って風呂に入り、その後は部屋で一日の総まとめと翌日の予定。
この旅行で特筆すべきことは時間の緩やかさ。
客室にテレビはないため、仲間の会話とストーブの燃える音のみが部屋を支配する。
家でCDを消して居てもこんな静けさは訪れないだろう。
耳が痛くなる、とはきっとこういうこと。

そうして、あっという間に、そして自然に眠気は訪れる。
十時就寝なんて何年ぶりだろう。
白川郷で過ごす時間は平穏そのものだ。



続く。