Q4.指名債権についての質権設定の効力要件についての改正点を教えてください。


 債権質権設定の効力発生要件として債権証書の交付を要求する債権を、譲渡に証書の交付を要する債権(証券的債権)に限定し、その他の指名債権については、債権証書がある場合でもその交付を質権設定の効力発生要件とはしないこととしました(民法第363条)。
 従来民法第363条は、指名債権を質権の目的とする場合には、その債権について債権証書があるときは、債権証書の交付が質権設定契約の効力発生要件としていました。このため、債権証書が存在していたのに、その所在が不明であったり設定者が秘匿していた等の理由のために、指名債権の質権設定契約が効力を生じないということが多々あったのです。
 しかも、指名債権では何が債権証書に該当するのか明確でない場合もあるうえに、債権証書が存在しないことさえもあります。
 さらに、債権証書を交付させたとしても、指名債権譲渡の対抗要件は第三者への通知または第三債務者の承諾であるため(民法第364条第1項)、対抗要件を具備していなければ新たな質権設定者の質権実行は禁止できないし、質権の公示機能も弱いという問題もありました。
 以上のことから、民法第363条を改正して、指名債権については、その譲渡に証券を要しないものについては、債権証書があるときでも、証書の交付を質権設定の効力発生要件としないこととしたものです。ただし、第三債務者への通知またはその承諾は必要ですから、それは忘れないでくささい。


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