Q6.今回の改正で、競売不動産について「内覧制度」が創設されたということですが、その具体的内容を説明してください。


 従来の競売手続では、買受希望者が不動産の内部を見ることができず、不動産業界からは競争による合理的な価格形成を阻害しているという批判がありました。この批判に応えて、改正は、不動産の内覧制度を創設しました(民執第64条の2)。内覧は、差押債権者の申立に基づき、執行裁判所の命令により、執行官が実施します。ただし、不動産の占有者の権限が差押債権者に対抗できる場合で、その占有者が同意しない場合には、内覧の実施を命ずることはできません(同条第1項但し書)。内覧実施の要件は、改正要網よりも広げられており、今後の運用が注目されます。
 なお、実際の運用にあたっては、内覧実施の申立は売却実施命令の時までにしなければならないとされ(民執第64条の2第2項)、内覧の実施は売却の実施の時までとされています(同第3項)。
 したがって、内覧の実施命令は売却実施命令と同時かその直後に出されることになるでしょう。
 内覧実施命令を受けた執行官は、内覧時のトラブル防止とその円滑な実施のため、占有者との間で、書面照会、電話等により内覧実施についての十分な調整を行い、占有者の理解を得た上で内覧を実施することになるでしょう。
 そして、執行官は、調整の結果や現況調査等から判明している物件の状況等を考慮して内覧の日時や具体的方法を検討することになると思いますが、その過程で、執行官が内覧の実施が困難であると判断したときには、その旨を執行裁判所に報告し、内覧実施命令の取消しを求めることになるでしょう(法第64条の2第4項参照)。
 このほか、執行官としては、内覧実施にあたり、執行妨害等の不測の事態が予想されるような場合には、警察への通報等、これに対する具体的対応を求められることになるでしょう。


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