不動産鑑定の監視強化
透明性高め投資家保護

 国土交通省は不動産の時価を決める材料となる不動産鑑定の監視強化に乗り出す。不動産の証券化商品の市場が拡大していることを踏まえ、一般投資家などが不測の損害を被るのを防ぐ狙い。鑑定の根拠となる収益見積などの情報開示を義務付けるほか、不動産鑑定士が不適切な評価をした場合などの登録取り消し制度を積極的に活用する。
 不動産投資信託(REIT)不動産投資市場の規模は、2006年度末時点で33兆円弱に成長。一方で、商品内容に関する情報の開示を十分に受けないまま投資した一般投資家がREITの値下がりで損失を被り、金融庁が運用会社を処分する例も相次いでいる。国交省も金融庁に歩調を合わせ、監視機能を高めることにした。
 第一の柱は情報開示の強化で、7月から不動産鑑定基準を改定、鑑定評価報告書に記載する情報を充実させる。具体的には土地を開発して得られる賃貸料収入から維持管理費などを差し引いた利益を明確にする。
 いまの基準では賃料収入や維持管理費など収益・費用項目について統一的な定義がないうえ、鑑定士によって評価手法が異なるといた問題もある。このため商品間の利回り比較などがしにくかった。新基準では鑑定評価項目を統一し、鑑定士の恣意性を排除して比較しやすくする。
 新基準に基づく鑑定が適切かどうか監視する第三者機関の導入も検討する。第三者機関は学識経験者や法律、不動産取引の専門家で構成。不動産鑑定士が所属する日本不動産鑑定協会や国交省に、不適切な鑑定などの改善を求めるといった権限を与える。
 第三者機関には「将来の天下りの隠れみのになる」といった批判の出る可能性もあるが、国交省は「専門家だけで構成される独立機関とし、天下り先にはならない」としている。情報開示を充実させることで、投資家が自己責任を貫徹できる仕組みを整えるべきだとの指摘などを踏まえ、国交省は規制強化の落としどころを探る構えだ。


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