賃貸更新料「有効」

最高裁初判断「経済的合理性ある」

 賃貸住宅の契約を更新する際に借主側が支払う「更新料」が、消費者契約法に照らして無効かどうかが争われた3件の訴訟の上告審判判決が15日、最高裁第2小法廷であり、裁判長は「更新料が家賃と比べて高すぎるなどの特別な事情がない限り、有効」その初判断を示した。その上で、今回のケースでは3件とも特別な事情は認められないとして、家主に更新料の返還などを求めた借主側の請求を棄却した。借主側の敗訴が確定した。
 更新料は高度世経済成長期の1960年代、高騰した地価と家賃との差額を埋めるために導入されたとされ、首都圏や北海道、愛知、京都、福岡などの都市部の物件で多く設定されている。今回の訴訟は、京都市や滋賀県のマンションの借主が提訴し、2審・大阪高裁で「無効」2件、「有効」1件と分かれていた。
 訴訟では、更新料契約が消費者契約法で無効とされる「消費者の利益を一方的に損なう契約」に当たるかどうかが争点となった。
 同小法廷ではまず、更新料について「家賃の補充や前払い、賃貸借契約を継続するための対価などの複合的な性質を持ち、経済的な合理性がある」と指摘。更新料が契約書に明記され、家主と借主の間に明確な合意がある場合には、「金額が高すぎるなど特段の事情がない限り、消費者の利益を一方的に損なう契約とはいえない」と判断した。
 その上で、今回のケースは、更新料が家賃の約1〜2ヶ月分、更新料を払うことで延長される契約期間も1〜2年で、「無効とすべき事情はない」と述べた。

家主 更新料明示の動き

 判決後、借主側と家主側の双方が東京・霞ヶ関で記者会見。借主側の弁護士は、「今回のケースで更新料が高すぎないという最高裁は、庶民の生活を理解していない」と批判した。被告のマンション管理会社は、「ほっとしている。約束事がきちんと守られる社会であってほしい」と話した。
 更新料は「有効」との司法判断は確定したが、賃貸住宅業界では、更新料を含め賃料全体を透明化する動きが出ている。
 不動産管理会社など約1200社が加盟する財団法人「日本賃貸住宅管理協会」は昨年10月、「めやす家賃表示」制度を考案。4年間の月額賃料を更新料や管理費、敷引金、礼金も含めて借主に提示している。同協会は「賃料を分かりやすく表示しなければ、消費者に淘汰されてしまう」と話している。


株式会社フジヤ
〒520−0046
滋賀県大津市長等2丁目3−28
TEL 077-525-2233 FAX 077-523-5392