直線上に配置

琵琶湖大花火大会
びわ湖大花火大会

(1)
琵琶湖の周辺(14)
(平成14年8月8日撮影
  
             

 例年8月8日には,大津市にてびわ湖大花火大会が開催されます。
この花火は,琵琶湖をはさんで草津市側からも見えますが,遠くに小さくしか見えません。しかし今年はこれを間近に見ることができましたので,写真撮影にチャレンジしました。
 なお,打ち上げは19:30〜20:45の間に行われ,人出は
約40万人,花火の数は1万発で,最大のものは2尺玉(直径60cm,下記「花火の大きさ」参照)でした。
 粉体を原料としている「花火」は,
粉粒体技術の応用例でもあり,このホームページのテーマにも沿うものです。 

 平成15年・18年は,いくつか動画を撮影しました。琵琶湖大花火大会(2)琵琶湖大花火大会(3)

(写真をクリックすると,拡大して見ることができます。)
大津港前には,高さ40m,長さ440m(66本)におよぶ大噴水「琵琶湖花噴水」が有り,花火大会の前後には,カラフルな光のショーが繰り広げられます。
右側の写真は,19:30に1発目の打ち上げが行われたところです。


(写真下部の赤い点々は,町並の灯りです。)

(写真をクリックすると,拡大して見ることができます。)

花火の構成成分と形態花火は(1)炎色剤,(2)可燃剤,(3)酸化剤等から成っています。いずれも原料は粉体です。
(1) 炎色剤 燃やすといろんな色に発色する金属化合物をいいます。
基本は,「
リアカ−無きK村,動力借るとするもくれない馬力」と覚えた炎色反応の色です。
チウム→トリウム→色,(カリウム)→,動()→カルシウム→,馬(リウム)→))

(炎色反応の例)
(a)
赤色炭酸ストロンチウム硝酸ストロンチウム,(b)緑色硝酸バリウム,炭酸バリウム
(c)
黄色蓚酸ナトリウム,(d)花緑青,酸化銅,(e)白色アルミニウムなどです。

なお,この炎色剤は通常,燃焼にはほとんど寄与しません。

 
(2) 可燃剤 炎色剤が燃焼するのを助けます。
(例)木炭粉,硫黄,金属粉,澱粉,三硫化アンチモン,セラック,セロシン(木粉),油煙,鶏冠石など。

 
(a)最も古くから使用されているものは,硫黄と木炭粉です。そのうち,木炭粉は,麻,松,桐から作られるものが良く使われるようです。
 (b)金属の微粉体は高温で燃える可燃剤であると同時に火花を出す効果も得られます。なかでも
アルミニウム微粉体は代表的で,爆発的に燃やす場合や明るい火花を出す時に用いられます。また,チタン微粉体も良く使われ,他には鉄粉,マグネシウム粉なども使われます。

(3) 酸化剤 酸素を供給して,炎色剤の瞬時燃焼を促進します。
花火が水中などでも燃えることができるのは,この酸化剤を含むためです。
これらは,消防法で決められた「
危険物(第1類 酸化性固体)」に相当します。
(例)硝酸カリウム,塩素酸カリウム,過塩素酸カリウム,塩素酸バリウム,過塩素酸アンモニウムなど。


 (a)硝酸カリウム(KNO3)は最も古くから用いられてきた酸化剤です。この粉体は融点が低い(334℃)ため,着火性は良いが燃焼温度は低く,明るい炎になりにくい性質があります。
 (b)塩素酸カリウム(KCLO3)が明治時代初期から盛んに使われるようになりました。これは,燃焼温度が高く明るい炎になるため,多用されましたが,多くの
爆発事故を起こし,現在では使わないようになっています。
 (c)過塩素酸カリウム(KCLO4)は,現在最も良く用いられている酸化剤で,融点が高いため(610℃),燃焼温度が高く明るい炎になります。

 
(d)過塩素酸アンモニウム(NH4CLO4も使われますが,爆発威力が高いため,ロケット推進薬の酸化剤として良く利用されているようです。

(4) 結合剤 原料粉体を固めるのに使われるバインダーをいいます。
これには,粉砕した米の粉体を原料にした糊状のものが使われています。
長所は(a)少ない量で多くの粉体を固めることができること,(b)水溶性のため危険な粉体を湿潤状態で混合,造粒できることです。反面,(a)乾燥(天日乾燥)に時間がかかること,(b)金属微粉体が腐食しやすくなる短所があります。


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花火の構造 代表的な花火である「打ち上げ花火」の基本構造は,以下の(1)〜(4)です。
(1) 玉皮:  
(たまがわ)   
段ボール紙などを貼り合わせた丸いお椀状の入れ物(プレスで半球状に成形したもの)に,花火の原料である「」と「割り火薬」を「間断紙」で隔てて整然と詰めた後,同じ物2つを貼り合わせて作られます。

(2) :     打ち上げられた上空で花弁のように広がり,発色します。
これは,牧草の種や菜種,セラミックの小粒などを芯材として,その周囲に多種類の粉体状の火薬成分を層状にまぶしながら,乾燥も加えて,徐々に大きくし,団子状に造粒して作られます(直径10〜30mm)。

(3) 割り火薬 玉皮」を爆発させ「」に点火し,「」を周囲に広く飛び散らすためのものです。
これは,「星」と同様に,綿の実やモミガラなどを芯材にして粉体状の火薬をまぶしながら,乾燥も加えて徐々に大きくし,玉状に造粒したものです(大きさは「星」より小さくなっています)。

(4) その他 (a)導火線は,打ち上げてからの上昇時間(割り火薬に点火するまでの時間)をもとに長さが決められます。材料は紙管です。
(b)花火を打ち上げるための火薬は「揚薬(あげやく)」といい,黒色火薬が使われています。これは硝酸カリウム/硫黄/木炭粉の3成分混合物です。


(写真をクリックすると,拡大して見ることができます。)

花火の大きさ 玉殻の大きさをもとに,花火の大きさが決められています。呼び方は尺貫法が基準になっています。

呼称 直径(公称) 直径(実測) 玉の重さ 到達高度 開花時直径
(−) (cm) (cm) (kg) (m) (m)
3号玉 3寸(9cm) 8.5 0.2 120 60
5号玉 5寸(15cm) 14.2 1.3 190 170
6号玉 6寸(18cm) 16.7 2.0 220 220
7号玉 7寸(21cm) 20.5 3.0 250 240
8号玉 8寸(24cm) 23.5 4.8 280 280
10号玉(1尺玉 1尺(30cm) 29.5 8.5 330 320
20号玉(2尺玉 2尺(60cm) 58.5 70 500 480
30号玉(3尺玉 3尺(90cm) 88.5 280 600 550

(注1)新潟県小千谷市で製造された40号玉(4尺玉)が世界最大規模だそうです。
(注2)公称直径は打ち上げ筒の内径寸法に一致します。打ち上げ筒と若干の寸法差(すき間)が有ることにより,打ち上げ筒からの花火の打ち上げが可能になっています。


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左のような「形物(かたもの)」の他に,ハート形も有りました。
(これは残念ながら撮影が出来ませんでした。)

花火終了後の噴水とビアンカ号


<参考文献>
「花火大会に行こう」(武藤,小野里,川上著;1997,(株)新潮社発行)他多数
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