骨形成不全に関する御質問2003年までのまとめ

御質問308

以前、質問の234で質問させていただいた者です。お返事頂いてありがとうございました。

今回も質問させて頂きます。

先日、長男(現在2歳)は、以前質問をさせて頂いた時からは、大腿骨の骨折はなく、今年5月に腰胸椎の圧迫骨折をしていたのが分り、8月に転倒して肋骨を5本骨折しました。(それまでは両大腿骨を4回づつ骨折)今年8月(2歳3ヶ月の時)に初めて一人立ちが出来るようになり、歩行に向けてリハビリを開始しようと思っていたのですが、2・3日前に掛かりつけの整形外科に相談に行きました。ところが、両足の大腿骨が偽関節になっているので『リハビリは許可できない。手術も念頭において、変形と偽関節の治療をしたほうが良い。』
ーーーーーーーーーーーー変形・偽関節を治療する方法があるのでしょうか?
また、次男(現在1歳)も同じ骨形成不全症です。・・・が、胎内骨折以外、出生後の骨折はありません。2ヶ月前から歩行するようになったのですが、歩き方が、少しビッコをひいている気がします。足もなんとなく右足がガニマタで、簡単に言ったら右足のつま先が2時か3時の方向に向いて歩いている感じでしょうか?右足のくるぶしもなんとなく内に向いている気がします。土踏まずもあるような、ないような感じなんですが、歩行2ヶ月だとこんな感じでよろしいのでしょうか?

どうかよろしくお願い致します。

御返事

骨折をくり返している場合にはむしろ偽関節がある場合が多いものです。これはこの年令であれば髄内釘をいれて偽関節部を安定させれば自然に治癒しますし、もし偽関節部の骨形成が特別に悪ければ同部で何ケ所かで骨きりをおこなって骨片を上下反転させて偽関節部同士が接触しないようにすれば良いのです。これまでたくさんのOIの偽関節を治療してきましたがすべて治癒しています。今すべきことは髄内釘によって骨変形を矯正し偽関節を治すことと考えます。

次男の方の足が外に向いていてつち踏まずが無い、というのはOIの場合によく見られます。外に向いているのは大腿骨近位部で大腿骨頭が後ろ向きに捻れているのが原因です。また土踏まずが無いのは筋肉、靱帯の緊張が弱いために足の骨どうし(距骨と舟状骨、距骨と踵骨)の結合が不安定な為と考えられます。これに対しては現在のところは経過観察で良いと考えます。

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御質問300

こんにちは 初めてメールします 私は骨形成不全症の1歳6ヶ月の男の子をもつ母親です。現在生まれてから9回目の骨折をし固定中です。治療としては生 後3ヶ月から3ヶ月おきにアレディア点滴を受け、毎日乳酸カルシウムとアルファロールを飲んでいます。運動面では首はすわり、寝返りもでき、平面では無理ですが椅子などには座れるようになりハイハイはできないですがうつ伏せで頭は自由にあげれるようにはなりました。ただ骨折の回数がおおいので薬が効いているにか、あっているのか気になります 足がかなり変形しているので外科的手術が必要だとも言われてます。手術を行うのはどれくらいの年齢、足の長さになったら行うのですか?今の身長は約63cm,体重は6kgくらいです。教えてください。

御返事 

1歳6ヶ月の男の子で骨形成不全があり骨折を繰り返しているとのこと、いろいろご心配のことと存じ上げます。骨折のたびにお子さんは痛くつらい思いをされておられることでしょう。
骨折を繰り返すと、ホームページに載せましたように、骨変形、筋力低下を招来してますます骨折しやすくなります。なんとか骨折を防ぐ手立てを考えなくてはなりません。すでにアレディア点滴をおこなっているわけですから、これからは外科的治療が必要となります。
手術に年齢制限はありません。鋼線を骨の髄内に入れますが、髄内の横径によって適切な太さの鋼線を入れます。ただし、すでに骨折をくりかえしているわけですから、骨の変形は強く、鋼線をいれるべき髄内もところどころ固くなっており、骨の脆さと固さが混在しいるはずです。いくつかの骨切りをおこなって、髄腔を広げるなど、技術的にかなり高度なものが要求されます。経験を積んだ施設で行なわなくてはなりません。

御質問286

初めまして。このサイトを拝見させてもらって御相談したい事がありメール致しました。実は私は骨形成不全症で現在成人していますが、今後出産などをした際の遺伝率の%を知る検査はありますか?確かに50%と一般には言われている事は知っています。しかし、個人差があるように思います。。私は母親の遺伝でなりました。それ以前の家系状況はわかりません。ちなみに**在住ですが近くで遺伝子の専門的な検査出来る機関があれば教えて下さい。後、骨形成にはタイプが4パターンあると聞きましたがどのように分類されてるかも合わせて教えて頂ければ幸いです。どうか返答お願いします。

御返事

メールありがとうございました。OIということでこれまで様々な困難を乗り越えてこられたことと存じ上げます。

この疾患における遺伝については当方は専門外ですのでなんとも確信のあるお答えができません。**における専門機関もわかりかねますが、大学病院であればおそらくどこかの科が専門的な遺伝相談をおこなっているものと推測します。一度問い合わせてみるのが良いと思います。現在成人になられているということですから遺伝の問題は極めて切実と思います。

さて、この疾患の分類ですが現在もっともよく用いられているのがSillenceの分類方法です。これによれば遺伝形式を基にして4つに分類されています。

タイプIは常染色体優勢(御両親どちらかがOIであればお子さんは50%の確率で発現)です。青色強膜があります。骨脆弱はそれほどでもなく骨折回数も少ないのが特徴です。30代で聴覚障害が発現することがあります。

タイプIIは常染色体劣勢で著しく骨が脆弱であり、残念ながら出生前後に生命を維持することが困難になるのが普通です。

タイプIIIは常染色体優勢もしくは劣勢で、骨脆弱が著しいタイプです。その為、しばしば整形外科的手術の適応となります。

タイプIVは常染色体優勢で、骨脆弱は様々です。

しかしながら整形外科治療にとっては骨の性状がどうであるかが重要ですので、骨の脆弱性あるいは変形の程度を指標にした分類が有用となります。私達はHanscom の分類というのを用いています。この分類は脊椎とか股関節などの状態から重症度を分類しているのできわめて治療方法と結びついた方法と考えています。

御質問234

初めてメールさせて頂きます。

 結婚して4年2人の男の子に恵まれましたが、2人とも『骨形成不全症』の診断がされています。
2人とも妊娠6ヶ月頃から大腿骨の湾曲が見られていたため、**病院で出産。すぐ新生児センターに入院になりました。
2人とも3週間ほど早く生まれ、2192gと小さめでした。

 長男は、1ヶ月ほどで2500gを超えたので退院が決まりかけていました。しかし・・・。
H13年  5月30日 右大腿骨骨折 退院検査の最中 そのまま退院が1ヶ月延びる。7月6日退院。 
       7月11日 左大腿骨骨折 抱っこをしていて、体をビクッとさせた瞬間 3日入院後、リーメンビューゲルをつけて退院 
      12月21日 左大腿骨骨折 腹ばいで遊んでいて、足で壁を蹴った瞬間 H14年1月13日まで入院。牽引治療
H14年 
      1月13日 右大腿骨骨折 私を後追いしようとした瞬間 2月9日まで入院。牽引治療
      5月22日 左大腿骨骨折 つかまり立ちから座ろうとした瞬間 6月15日頃まで入院。牽引治療
           (6月24日 次男出産)
      6月27日 右大腿骨骨折 ハイハイで移動中 7月4日退院。牽引治療後ギプス固定
      8月23日 左大腿骨骨折 ハイハイで後追いしようとした瞬間 9月10日まで入院。牽引治療後ギプス固定
     10月12日 右大腿骨骨折 **病院でアレディア投与のため入院中、ベッドから転落 11月1日まで入院。シーネ固定のみ
15年   2月25日 **病院でアレディア投与

という経過をたどっています。

 次男は、生まれてきてからの骨折はありませんが、胎内で骨折していた可能性があるようで、湾曲もそのせいの様です。

 二人ともあれディアの投与を始め、特に長男の骨折はなくなったのですが、去年、一昨年の骨折の繰り返しで足も細く、また、貴科のホームページであげられているレントゲン写真の様に大腿骨が湾曲しています。
最近は、つかまり立ちをしているのですが、食事もなかなか摂ってくれず、お腹周りは、私の手で一周できるくらいです。
主治医の先生からは、『髄内定を挿入する手術を検討した方が良いかもしれない。』と言われています。
 その時期なんですが、『小学校に上がってから。』という意見と、『幼稚園ぐらいになってから。』という意見と、それぞれ違う病院の主治医の先生から言われています。
小学校と、幼稚園なんて差ほど変わらないと思いますが、子供の精神的にも肉体的に負担が掛からない時期にしてあげたいのですが、それは何時くらいなんでしょうか?
手術の事を色々聞いたり、調べたりしているのですが、手術をした事のない私には、想像もつきません。

40人ほどの手術をされている、貴科なら何時頃が良いとお考えでしょうか?

お忙しいとは思いますが、どうぞよろしくお願い致します。

御返事

お二人のお子さんが骨形成不全ということで、現在の苦労、将来の不安など、大変お悩みのことと存じ上げます。

これまでの経過から数カ月から半年おきに骨折を繰り返していますので、骨も大きく変形していると思われます。ひとたび骨折がおこると長期にわたって固定(骨折部を動かさない)しなければならず、そうすると骨が萎縮し、周囲の筋肉も痩せてきます。すると骨は脆くなってしまうので再び骨折がおこりやすくなるわけです。
一日も早く折れにくい骨にして、この悪循環を断ち切り、お子さんを痛みから解放してあげなければなりません。その為には、現在の状況では髄内釘をいれる方法しか無いように思います。
髄内釘は何歳でも挿入可能です。私達の行った最小年齢は2才1ヶ月ですが、手術は特別むずかしかったという記憶はありません。理論的には1才未満でも可能ですし、外国で実際にそのような報告もあります。

ということでがんばってください。

御質問192

はじめまして、突然のご相談で失礼します。
現在9歳の娘が先天性骨形成不全症で病院に定期的に通院しています。身長88cm体重12kgで骨年齢は4−5歳ぐらいです。合併症は僧帽弁及び三尖弁閉鎖不全、青色強膜、歯牙形成不全及び右内反足(1歳時手術)です。
大泉門はいまだ開いています。胎内で両大腿骨を骨折し、治癒して生まれてきました。生後は一度も骨折していません。3歳の頃から一人でなんとか歩けるようになりました。
5歳の時、頚椎前屈位で脊髄麻痺を起こす危険があるとのことで固定術をうけました。その手術の数日前、歩行中に足元が滑り左膝を床についた時、初めて股関節脱臼を生じました。後方脱臼で、病院で整復してもらいました。その後おむつ固定(ダンボールを布で覆って作った)で外転保持して3−4週間安静にしてから歩行していたのですが、膝をついたり睡眠中の寝返りなどで、内転位で力がかかると脱臼しています。この4年間で十数回脱臼しています。今年8月に造影検査、CT,MRIを受けた結果、関節内の介在物はなく臼蓋形成不全と関節包が伸びやすいという診断でした。その結果、脱臼しないように、腰から膝上までの装具(950g)に変えて歩行しています。最低1年半は脱臼しないように装具を装着しその後外して歩行できるようにすると言われ経過観察中です。
ご相談ですが
1、大泉門が5cm程開いているのですが、いつ頃閉じるのでしょうか?頭囲53,4cmあり、脳は大丈夫でしょうか? (知能は現在正常です。)
2、現在、骨形成不全に対して治療は全く受けていないのですが、以前、月に1回の筋肉注射で骨組織のサイクルを一時的に止めて骨を強くする薬を勧められた事があったのですがこれは有効なのでしょうか?副作用はないのでしょうか?又現在どんな治療法があるのでしょうか?
3、青色強膜だと視力が低下してくると言われたのですが予防法はあるでしょうか?
4、家で出来る治療の手助けや食事療法などはないでしょうか?
5、骨形成不全で臼蓋形成不全はどうなるのでしょうか?股関節周囲のどんな筋を鍛えたらよいのでしょうか?
6、今使用中の装具は、本人にとっては重く運動もされており圧迫感もあって苦痛なのですが、歩行したいという気持ちで我慢していますが、他に方法はないのでしょうか?先が見えないので色々と心配しています。宜しくお願いします。ありがとうございました。

御返事

今一番の問題は、習慣性の股関節脱臼と思います。いつまでも装具をするわけにはいきません。この4年間で十数回脱臼しているということですから、原因を明らかににして早く外科的治療が必要と思います。

大泉門がいつ閉じるのかはわかりません。頭が大きいのはよくあることです。ただし、脳圧が亢進していることは無いようです。脳外科的な合併症はあまり見受けません。

最近ビスフォスネイトが骨折予防に効果があることが報告されており、多くの患者さんが投与しています。この薬は破骨細胞を抑制する作用があります。小児科でおこなっています。

青色強膜で視力が低下するということは聞いたことがありません。

御質問106

突然メール失礼申し上げます。
3歳の息子が実は骨形成不全症であります。 一昨年の11月よりビスホスホネートを3ヶ月に一回位の頻度で点滴を受けています。おかげで骨折そのものはここ一年間はありません。 ただ大腿骨の付け根部分で変形が見られこのままでは歩けないとも診断されています。将来的には子供の成長に合わせ手術になると思いますが、いつ頃に実施したらよいかなど具体的な時期などが見えておりません。またその必要性も・・・
現在は、本人も調子がいいらしくお尻でずりばりが自由にできる状態です。またつかまり立ちがだいぶ自由にできる状態にはなっていますが、安定しているとはおもいません。
このような現状ですが、ぜひアドバイスのほどをお願い申し上げます。


御返事

メールありがとうございました。
骨形成不全のため、大腿骨に変形があってこのままでは歩けない、と診断されていると理解しました。
変形はおそらく大腿骨の股関節に近いところでの内反変形(おじぎをしている状態)と推測されます。そのために体重がかけれられないとすれば、手術によって変形をなおせば歩行の条件は整うはずです。この1年間骨折がなかったとすれば骨の状態はそれほど悪いとは思えません。現在3才ならば充分手術は可能と考えます。今ならば、骨折・変形・筋力低下の悪循環を予防できます。

御質問17(4/1)

はじめまして。
骨形成不全症について調べていてこのHPにたどり着き、メールさせていただきました。
生後1か月の娘のことなのですが、この子を妊娠中から超音波診断で足の発育の悪さを指摘されており、足に何らかの障害をもって生まれてくることは覚悟しての出産でした。
骨盤位のため帝王切開で出産しましたが、足だけでなく体全体の骨がもろく未発達とのことで、生後すぐ近くの大学病院へ転院しました。
転院時の状態は、頭蓋骨が薄い、四肢の骨が短く変形しているとのことで、出産直後から転院までの間に右大腿骨を骨折していました。
また、生後10日頃左上腕骨を骨折し、その後、生後24日目のレントゲンにて左大腿骨、右上腕骨、右前腕骨の骨折が確認されました。
超音波、レントゲン等の診断により、現在のところ内臓、肺、脳には異常はないとのことですが、生後7日頃からミルクを飲んだ後などに呼吸が苦しくなるようだとのことでした。
生後22日目に眼科医より白目の部分が青いようだとの説明をうけました。
この結果、担当医師より以上の症状から、重度の骨形成不全症ではないかと言われました。
今後については経過をみるしかないとのことで、お風呂の入れ方や骨折時の対処法等の指導を受けた後退院し、1か月に一度程度小児科に通院するようにということで、小児科でも整形外科でも積極的に相談にのっていただける様子はありません。
退院後、娘をケアしていく上で、何かこうすればよいというような具体的な方法はありませんでしょうか。
現在入院中の病院に対しては感謝しつつも、この病院では骨形成不全症の子供を治療した経験がないようなので、これからどうすればよいかと悩んでいます。
いずれは骨形成不全症の豊富な治療例のあるこちらの病院を受診できればと思っておりますが、まずは取り急ぎメールにてご相談させていただきたいと思います。
お忙しいところ申し訳ございませんが、ご回答いただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。

御回答

メールありがとうございました。

お子さんが骨形成不全症ということでさぞかし御心配のことと存じ上げます。
この疾患と闘っているたくさんのお友達がいることをまず頭にいれておいてください。症状も人それぞれですが、15、16歳頃以降は骨折しにくくなってきます。
大事なことは、ホームページにも書きましたが、その年齢までに骨折・変形・筋力低下の悪循環をできるかぎり防ぐことだと考えます。

さて、お子さんは生後1ヶ月とのことですが、できるかぎり骨折が起こらないように工夫してあげてください。この時期のお子さんは骨折してもどの部位の骨折がわかりにくいものですが、注意すれば変形に気づくと思います。あまり骨折が頻回におこるようであれば、四肢に細い鋼線(ベイリ−釘とは違います)を挿入するのも1つの方法です。
わたしが診察した患者さんでは、おかあさんが抱いただけでも折れてしまうような重度のケースがありました。まだ生まれてまもなかったのですが、骨折しやすいので診察のときは私や看護婦も抱くことができず、本人を平らな板のうえに敷物をして移動しているような状態でした。その患者さんも今では小学校高学年になりました。手術をくりかえしましたが、この数年間は骨折もなくなり、支え立ちが可能となり、つい先日車椅子から介助なしに乗り降りができるようになりました。ほんとうに万歳とさけびたくなるようなニュースでした。

生後まもない赤ちゃんの四肢に細い鋼線を挿入する方法については、5-6年前の論文(スペインの医師が発表)で読みました。我が国では、まだ生後まもない赤ちゃんにたいする経験は無いと思います。もちろん私も1才以上の子供しか経験ありませんが、技術的には可能と思っております。

年齢又は月齢よりも、全身状態が良好(全身麻酔がかけられる)で、細い鋼線(少なくとも1.5mm以上)が刺入できる骨の太さがある、ということが条件です。お子さんは、現在ミルクを自力で全て飲むことが困難な場合があということは、自力で喀痰を排出するのが困難かもしれません。お話だけでは不明ですが、そのような状態ではまだ全身麻酔に耐えることが出来ないかもしれません。また、術後の合併症、たとえば呼吸系の合併症にかかりやすいかもしれません。この点を主治医なり麻酔の専門の先生にお聞きするのが良いとおもいます。

それではがんぱってください。

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