軟骨無形成症に対する骨延長、に関する御質問2003年までのまとめ

御質問143
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個々の質問に対する対応や病院のホームページなどから、とても親しみやすい良い印象を受けました。
さて、骨延長術について、質問があるのですが、お答え頂けますでしょうか?
1)今日までに、そちらの病院で骨延長術を受けた方の総人数
2)成功率
3)後遺症の有無や症状(手術により、歩けなくなった方もおられると聞いた事がありますが、本当でしょうか?)
4)ウエイティングピリオド(手術を申し込んでから実際に手術を受けれるまでの待機期間)は平均してどれくらいでしょうか?
5)入院期間と通院(リハビリ?)期間
6)病院内、または周辺で患者の両親(私達)が長期に渡って滞在出来るような施設は存在するでしょうか?
お忙しいとは存じますが、よろしくお願いいたします。

御返事

御質問についてお答えします。

1)今日までに、そちらの病院で骨延長術を受けた方の総人数

イリザロフ法で延長したのは上腕22例、前腕11例、大腿21例、下腿56例です。両側の延長が多いのですがそれも両側で1例とカウントしています。

2)成功率

延長そのものは全例で遂行できました。知的障害などにより延長を予定よりも早く終了し、目標延長にはゆかなかった例はあります。

3)後遺症の有無や症状
(手術により、歩けなくなった方もおられると聞いた事がありますが、本当でしょうか?)

関節拘縮や筋力低下をきたした例がわずかにありますが、歩けなくなった方は1人もおりません。

4)ウエイティングピリオド(手術を申し込んでから実際に手術を受けれるまでの待機期間)は平均してどれくらいでしょうか?

3カ月くらいでしょうか。

5)入院期間と通院(リハビリ?)期間

個人差が大きいのではっきりとは言えませんが、3から6カ月の入院が多いです。本人
と両親次第です。

6)病院内、または周辺で患者の両親(私達)が長期に渡って滞在出来るような施設
は存在するでしょうか?

近くにホテルや長期滞在契約のできるマンションがあります。心配ありません。

具体的なことは外来で冊子を使って説明しています。それと、一番良いのは実際に延長で入院中のこどもたちと直接話をしてもらうことかもしれません。

それではがんばって下さい。御心配なことはいつでも御相談下さい。

御質問142

初めてご質問させていただきます。私は医療に携わった仕事をしておりますが、3人目の子供が軟骨無形成症と診断されました。治療法を探しているときに、貴施設のことを知りました。いくつか教えていただきたいことがありますので、できましたら、よろしくお願いいたします。


1:イリザロフ法は、希望により下肢に関しては3回出来るようですが、単純に約30cm延長できると考えてよいのでしょうか。実際の治療成績はいかがなのでしょうか。(単純に考えると160cmぐらいにはなれるのではと期待しているのですが・・・)
2:イリザロフ法で延長した場合、その後の歩行状態、腰痛や下肢痛はいかがなのでしょうか。また、年令があがるにつれて腰や下肢の負担により、自力歩行できなくなる可能性は高いのでしょうか。
3:骨延長術に自家骨髄移植の試みがされるとのはなしも聞きました。これについてもお聞かせ願えれば幸いです。
4:整形外科的な治療中はホルモン注射はどうなるのでしょうか。

医療に携わりながら、素人のようなご質問で恐縮なのですが、体験談などをホームページで見ておりますと、やはりご本人や家族の方がつらい思いをされているようです。イリザロフ法で160cm近くなればそんな思いもしなくてすむのでは・・と親としては何とかしてあげたい一心です。これからもいろいろ教えていただきたいと思っておりますので、ご多忙中とは存じますが、何卒よろしくお願いいたします。

御返事

まず骨延長で一番大切なことは、本人の延長に対する意欲です。ホームページにも書きましたように、積極的にリハビリに取り組み、様々な合併症にも対処できることが非常に大切です。骨延長は長丁場であり、つらいことも多いです。しかし、そのことを理解し主治医と共に頑張れば、後で得るものはきっと大きいはずです。
そのため、私共は術前に患者さん本人、御家族に十分に延長術について説明を行い、治療内容や合併症などを理解していただくように努めています。(合併症に対する具体的な説明の小冊子を作成してお渡ししております。)
次に、個々の御質問にお答えいたします。
1. 下肢に対して3回の延長を行うのはむしろ例外的です。通常は下腿・大腿を1回ずつ延長し合計で15から20cmの延長となります。これは延長の目的が単純に背を高くするためではなく、日常生活動作の改善に重点が置かれているためです。さらに、小中学校の大切な時期にその大部分を病院で生活することがこどもの精神発達に対していかに影響するかを考慮しなければなりません。そのため多数回の延長は慎重にすべきであると考えます。このことはホームページにも詳しく書きました。
2.  患者さん自身が延長術を受容した上で適切な時期に無理なく行った延長術後の治療成績は極めて良好です。歩行状態は術前より改善することも多く(特に術前に下肢変形のあった場合)、下肢痛等もありません。年齢と共に脊柱管狭窄症による腰痛や下肢痛がおこってくることがありますが、 それは延長術とは別の問題です。
3. 軟骨無形成症は骨形成が良好であることが多く、骨髄移植は行ったことがありません。自家骨髄や骨形成を促進するような蛋白を注入して骨形成をスピードアップするという試みはありますが、まだ確立された治療法ではないようです。
4. 成長ホルモン注射は延長中もいつも通り続けていただいて問題ありません。

御質問171

初めてメールさせていただきます。
イリザロフ、オルソフィクス等の創外固定器装着中の入浴についてお聞きします。貴院では、ピン刺入部をどのように洗っておられるでしょうか?例えば、水で流すのみ、もしくは石鹸を使用するなど。どのような方法が感染防止ために効果的なのでしょうか?

御返事

昔は厳重にピン周囲を保護していました。もちろん風呂につかる、など論外でした。毎日消毒をし、ガーゼをし、いかに清潔に保つかだけをかんがえていました。
その後、いろいろなことがあって、考え方を変えたのです。むしろピン刺入部を開放して、中から出てくる浸出液を積極的に外に出してやるほうが清潔を保てるのではないか?と180度逆に考えたのです。看護婦さんがいろいろ研究してくれました。例えば、通常の風呂にはどれだけの細菌がいるが? 風呂に直接つけることによって感染率はどうなったか? などなど。その結果、通常の風呂には細菌が極めて少ないこと、感染率はむしろ低下したこと、などがわかりました。
これらの研究から、現在では、創外固定器装着中でも患者さんには皆と同じように普通に風呂に入っていただいています。湯舟につかることでピン周囲のよごれがとれやすくなりますので、浴そうにつかった状態で、綿棒でピン周囲のケアーをします。風呂からあがったときは、特別なことはしません。そのままかわかします。ピン刺入部の感染などの状況によっては、風呂からあがった後にイソジン綿棒で消毒したりすることもあります。ガーゼなどはいっさいしておりません。カバーもしておりません(外出のときのみ見かけの問題からカバーをする人もいます)。

というようにやっています。参考になれば幸いです。

御質問196

前略 先日はご丁寧な回答を戴き、まことに有難う御座います。かさねて、大変恐縮なのですが、イリザロフ延長器装着中の「傷の管理」についてお尋ねしたく、送信させて頂きました。

貴・ホ−ムペ−ジに寄せられた、過去の質問集を拝見いたしました。現在の私の日常とは全く違い、非常に驚きました。ただ、それが私にも可能ならば、ぜひ 貴病院の管理方法を実行したく考えております。

ちなみに私は、自宅における「夜のウエイトトレ−ニング」の際、出来る限り「汗」をかくようにしています。それは、サウナや入浴が不可能なだけに、せめてもの気分転換のつもりなのですが。そしてそのトレ−ニングが終了すると、すぐさまシャワ−浴をします。その際も、まず「歯ブラシ」に石鹸を付け、ワイヤ−とハ−フピンの挿入口を縦・横にこすり、そして今度は「ボディたわし」で、すね・ふくらはぎ、延長器の本体をも洗浄します。結果、その「膝下」の洗浄だけでも50分近くかかってしまいます。合計1時間以上のシャワ−浴の後は、そのまま続けて消毒作業にはいります。イソジン、あるいはヒビテン消毒液を使い、やはりこれも30分以上の時間をかけておこないます。そして最後に「Y切りガ−ゼ」を、片足あたり、ハ−フピンの傷穴5カ所。ワイヤ−4本分の傷穴8カ所。もちろん、それを両足分おこないますので、合計26カ所の傷穴にガ−ゼをあてます。従いまして、傷管理作業に毎日3時間以上の時間を消費しているのが現状です。

そこでお尋ねさせて頂きたいのですが、

:貴病院では積極的に入浴をなさっているそうなのですが、それは普通の湯船に、普通の「湯」を入れておこなっているのでしょうか。また、どの程度の時間、湯の中に入っていても良いのでしょうか。

:石鹸は、その湯の中で使用されているのでしょうか。

:石鹸洗浄をおこなった後は、消毒液の消毒を省略しても差し支えがないのでしょうか。

:最後の質問ですが、ガ−ゼにより「かぶせ」をしておかないと、やはりどうしても、ほこり等が 直接「傷穴」に付着しています。また、夜間などは、毛布が直接に接触することもあります。それでも、感染をせずに安全なのでしょうか。

すでに手術後300日以上も経過しているにもかかわらず、お恥ずかしいことに実は「感染のしくみ」のようなものを、いまだによく理解出来ていないように思います。毎日御多忙中とはぞんじますが、お手すきのおりにでも、よろしく御回答、御指導のほどお願い申しあげます。御手数をおかけ致します。                        草々

御返事

お答えいたします。

  :貴病院では積極的に入浴をなさっているそうなのですが、それは普通の湯船に、普通の「湯」を入れておこなっているのでしょうか。

普通の湯船 に、普通の「湯」を入れておこなっています。時間に制限ありません。

:石鹸は、その湯の中で使用されているのでしょうか。

していません。

:石鹸洗浄をおこなった後は、消毒液の消毒を省略しても差し支えがないのでしょうか。

消毒は不要です。

:最後の質問ですが、ガ−ゼにより「かぶせ」をしておかないと、やはりどうしても、ほこり等が 直接「傷穴」に付着しています。また、夜間などは、毛布が直接に接触することもあります。それでも、感染をせずに安全なのでしょうか。

考え方を180度変えるのです。傷を外から守る、という考えではなく、浸出液など汚染のもとになるものを外に出す、という考えをしています。

ただし、これらは医師の指導のもとに行った方がよいと思いますので、そちらの先生の指導に従って下さい。

御質問85 

先生はじめまして。私は***に住んでいます。私の二女(h.13.8.25)の体についてご相談したいことがあります。
妊娠9ヶ月の検診で、bpd88.4、fta72.9、.fl50.8「手足が少し週数より短い」と、かかりつけの医師に言われました。そして、出生時,身長47.4cm頭囲35.2cm体重3732g胸囲35.3cmでした。出生後すぐに「新生児一過性多呼吸」とのことで、NICUで3日間保育器に入っていました。軟骨無形成症の検査では、骨X-Pで「手足の骨が少し短くて太め」「関節が扇形」「骨盤が四角 い」「頭囲拡大」「鼻が低め」とのことで、8〜9割方軟骨無形成症と言われました。
しかし、今すぐ何か治療をするとか、どうにかなってしまうとかではないとのことで、今は、月に1度の検診で計測し、成長の過程を見ていくとのことです。ただ、水 頭症などの合併症にかからない様気を付けて見ていきましょうとのことで、とても心 配です。
現在、2ヶ月半が経ち、今のところ合併症はなく元気です。しかし、やはり他の子と比べ、手足の長さが短く、頭も大きい気がします。11月初旬に家で計測した結果、身長56〜58?、頭囲42?でした。

ここで先生にご質問があります。
1、私の二女のかかりつけの病院は、総合病院で、小児科がありますが、軟骨無形成 症の専門医がいません。また、治療で骨延長手術はしていないとのことで、貴病院と同じ様な環境の病院は、***近県でもあるのでしょうか?
2、計測だけで治療する年齢まで何もしなくてよいのでしょうか?
3、手術に伴う合併症とはどういうものですか?
4、軟骨無形成症にもレベルがあるのですか?例えば、軽症ならそれほど低身長にならないとか、低身長になっても手足、頭、胴のバランスはとれた状態であるなど、ありえますか?

以上の事を教えていただけたら幸いです。お忙しいとわ思いますが、よろしくお願い いたします。

御返事

メールありがとうございました。

軟骨無形成症の疑い、ということでさぞ御心配のことと存じ上げます。

さて、お子さんの診断が本当に軟骨無形成症であれ、他の類似疾患にせよ、現在は特別に治療をすることはないと思います。大切にそだててあげる、ということに全力を出してあげてください。

御質問にお答えいたします。

1、私の二女のかかりつけの病院は、総合病院で、小児科がありますが、軟骨無形成症の専門医がいません。また、治療で骨延長手術はしていないとのことで、貴病院と同じ様な環境の病院は、***近県でもあるのでしょうか?

骨延長術はホームページにも載せましたように、8才前後に始めるのが良いと思います。***近県に、骨延長をおこなっている施設はいくつかありますが、この疾患の延長をたくさんやっているという所は心当たりがありません。しかし、数年先には状況が変わるかもしれません。また、8才近くなったら御連絡ください。

2、計測だけで治療する年齢まで何もしなくてよいのでしょうか?

今は背を高くするための特別な治療は必要無いと思います。骨延長以外には、ホルモン投与が試みられています。このことに関して、小児科の先生に御相談ください。

3、手術に伴う合併症とはどういうものですか?

ホームページにのせましたように、たくさんの合併症があります。延長距離が大きければ大きいほど合併症が発生しやすくなります。しかし、ほとんどの人はこれを乗り越えてがんばっています。

4、軟骨無形成症にもレベルがあるのですか?例えば、軽症ならそれほど低身長にならないとか、低身長になっても手足、頭、胴のバランスはとれた状態であるなど、ありえますか?

ありえます。しかし、これもそんなにはばらつきがありません。全員軟骨無形成症の特徴を備えています。それほど低身長にならないとか、手足、頭、胴のバランスはとれた状態である場合には、他の疾患を考えなくてはなりません。

軟骨無形成症のお友達はたくさんいます。本センターだけでも現在8人入院中です。
がんばってください。

御質問78

お忙しい所を申し訳ありません。どうか質問にお答えくださいますようお願いいたします。
我が家の息子は成長軟骨無形成症です。11月で11歳になります。(小学5年生です)生まれてから水頭症の合併症、ARDS、髄膜炎などさまざまな病気になり、何度も命びろいしましたが、小学校へ上がった頃から体力もつき今では元気に普通の小学校へ通っています。性格も明るく大らかなタイプだと思い安心していたのですが高学年になり、身長の低さをかなり気にするようになりました。(勿論、そんな時期もやがて来るだろうと思っていましたが・・)今はホルモン治療を始めて3年目になります。身長は116cmです。足の骨の変形はあまりないように思います。
骨延長の事は中学になったら考えようと思ってましたが、本人が来年の夏休みにやりたいと言い出しました。又、気が変わるかもしれませんが、今は希望どうりにしてあげたいと思っています。手術については大体理解したつもりですがどれくらいの費用がかかるか見当もつきません。慢性小児疾患の医療券は持っていますが、具体的にいくらくらい用意しておけばよいでしょうか?
又、手術をうける病院は、やはり自宅に近い場所がいいでしょうか?長期に渡ってのリハビリなどが必要で、病院付属の学校へ通う
事もできるそうですが、そのような設備の整った病院へ一時期滞在した方がいいでしょうか?
お答えをいただきたく、よろしくお願いいたします。

御返事

メールありがとうございました。
水頭症の合併症、ARDS、髄膜炎など、これまで大変困難な状態を乗り切ってこられ、そして今元気な様子を伺いほんとうに良かったと思います。また、性格も明るくおおらかということは大変すばらしいことです。四肢を伸ばすことはもう医学的に確立した方法で、環境さえ整ったところでおこなえば通常は問題ありません。実は、そうした身体的なことと同じに、いやそれ以上に大切なことは、明るく育つ、ということです。これが将来社会生活をおくる上で重要なことと考えます。

骨延長術のことですが、もし本人、御家族の御希望があれば、現在小学校5年生ですのでもう始めたほうが良いと考えます。延長術は年齢が低いほどやり易くなります(もちろんあまり低年齢ですと精神的な意味で難しくなりますが)。また骨成長が終了するまでに終えていることが望ましいのですが、経過が長いので、あまり遅く始めると延長距離に限界がでてきます。

骨延長の費用ですが、小児慢性疾患の認定を受けていれば少なくとも今はすべて無料です(治療費、入院料、食費、その他すべて)。

手術は、骨延長の技術はもちろんのこと、延長は長期に渡りますので、通院できる学校、同じ年代のお子さんとともに学び、社会性を向上できる条件を備えた施設で行うことが望ましいことはいうまでもありません。

御質問33(5/16)

はじめまして。ホームページを拝見させていただきました。お忙しいところ大変恐縮ですが、是非相談させていただきたくメール致しました。 実は、私達の1歳7ケ月になる二男のことですが、1歳半の検診の際に軟骨無形成症(病院からは軟骨異栄養症と診断されました。)と診断されました。 病院から今のところ治療等はできないと言われましたが、現段階でしてあげられることはないのでしょうか?また、この先どのような治療をしていくのでしようか?現在、***に在住しており、県立病院で診ていただいておりますが、親としては良い病院、良いお医者様に診ていただきたいと思っております。そちらに伺うことができればよいのですが、それができませんので、***地方の良い病院、良いお医者様を紹介していただければと存じます。何卒、宜しくお願い申し上げます。

御返事

メールありがとうございました。

軟骨無形成症ということで、治療のことや、今後の社会生活のことを考えるとさぞ御心配なことと存じ上げます。

一番大切なことはお子さんの知的、精神的発達です。本センターではすでにこの疾患を持つ大勢のお子さんを治療してきましたが、本人の明るく、なにごとに対しても前向きな姿勢が、将来社会生活を送る上で大切なことと痛感しております。先日、島根県のツクシの会(患者さんの会)で、立派な社会人になって活躍しておられる患者さんの講演を聞くことができました。ほんとにすばらしいことだとおもいました。

これからは1人で悩むのでは無く、同じ悩みをおもちの皆さんと協力してゆくことが大切と考えます。患者さんの会(つくしの会)を御紹介いたします。

それではこれからがんばって下さい。

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