外反扁平足、垂直距骨

1 外反扁平足

この疾患の構造は、内反足の逆と考えると理解しやすいと思います。簡単に言うと、内反足は、距骨に対しその周囲の骨群が内方かつ下方へ内旋しながらずれているのですが、外反扁平足では、距骨に対しその周囲の骨群は外方かつ上方へ外旋しながらずれています。下の写真は典型的な外反偏平足です。正常足であれば距骨頭(先端)の正面に舟状骨があるのですが、これが距骨頭の外側に位置をかえていることがわかります。また、側面像で足の骨のアーチが無くなり扁平になっています。

外反扁平足では、距骨とその周囲の骨群との間に不安定性があり、体重をかけると足の前方部分がグニャッとなって外に向いてしまいます。この時、足の内側が突出しますが、こと突出した部分は距骨の頭であり、靴を履いているとこの部分があたって痛みがでることがあります。不安定性がありますので、歩行の時の蹴り出しに力が入らず、走るのが遅く、長距離歩行では疲れやすくなります。

この変形は脳性麻痺でしばしば発生します。下肢の麻痺があると、足関節に関与する筋肉のバランスが崩れ、腓骨筋が後脛骨筋よりも緊張することによりこの変形が起こるとされています。脳性麻痺に伴う外反偏平足の矯正には手術が必要な場合が多いのですが、特別な基礎疾患が無い場合には大部分が予後良好です。変形が強く、歩行の際に不自由があれば装具などが必要となります。不自由がなければ特別な治療は不要であると思われます。

ただし通常の外反扁平足は柔らかいのが特徴ですが、硬い扁平足の場合思春期以降に足部の痛みを生ずることがあります。硬い扁平足と柔らかい扁平足の見分け方は、立位で親ゆびを他動的に上へ持ち上げてみた時、アーチが土踏まずにできる場合は柔らかい扁平足(flexible flat foot)ですが、アーチができない時は硬い扁平足(rigid flat foot)です。このテストはJackのテストと言い両者の鑑別に有用です。硬い扁平足は見かけは下の垂直距骨と同様ですが骨の配列は異なっています(距骨・舟状骨の関係は脱臼していない)。

また外反扁平足そのものは症状が無くても、二次的に外反母指を生ずることがあります。筋バランスが崩れている場合(脳性麻痺など)や関節の緩みが強い場合(ダウン症など)にはその頻度が増加します。この際外反母指そのものの治療をしても効果に乏しい場合や、再発することが多く根本的な治療がいる場合があるので注意が必要です。

 

2 垂直距骨

垂直距骨は土踏まずが消失するなど外観は外反扁平足と似ている部分もあるのですが、外反扁平足とは別の疾患です。病理学的にはこの両者の関係について議論のあるところですが、ここでは省略します。垂直距骨では、距骨に対し、舟状骨が上方に完全脱臼し、この二つの骨の間に動きがなくなってしまいます。足全体(足首ではなく、靴の中に入る足の部分)がかたくほとんど動きがありません。視診触診でおよその見当がつきますが、レントゲンの動態撮影(足の様々な位置でレントゲンを撮ること)をとれば診断が確定します。
この疾患は、関節拘縮症や、二分脊椎、染色体異常などの先天性疾患に伴って発生することが多いものです。したがって、この診断がついたときは全身の精査が必要です。

歩行可能なお子さんであれば手術の絶対適応です。距骨の上に舟状骨という骨がのっかってロックされているため手術以外の方法ではこのロックされた状態が解除されないからです。そのままでは痛みのために歩行は大きく障害されます。

本センターではこれまで10人の患者さの診療をしてきましたが、このうち歩行可能な8人の方に手術治療をおこなっています。

外反偏平足、垂直距骨に関する御質問2003年までのまとめ

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