井伊家三十五万石の城下町として発展した彦根。
国宝の天守閣をはじめ、城郭、神社・寺院、武家・町人家敷と歴史を伝える木造建築が市内至る所に数多く残っています。この写真は城内にある旧西郷屋敷長屋門で、近年大がかりな改修工事が行われました。桁行43.9m 梁間5.0mの大規模な長屋門は他に類がなく、昔の工法・材料を踏襲し取、替材も使用されていた種類とできるだけ同じ国内産木材(欅、桧、栗、松、杉)が用いられました。
城下町で培われた工芸の技術が生かされ、業界初の「伝統的工芸品」の指定を受けた彦根仏壇。その生産過程は、工部「七職」に分業化され、設計図に該当する「杖」をもとに、木地、宮殿、彫刻の三職が木材を御仏の住まいに加工していきます。つづいて漆塗、蒔絵、金箔、錺金の装飾が施され、格調のある彦根仏壇ができあがります。写真の仏壇の木地(宮殿・彫刻の納まった)は、総木曽桧造りで東本願寺大谷派三方開きと呼ばれるものです。
彦根周辺には約30軒の木型製作所があります。滋賀県で最大規模の地場産業であるバルブ産業向の鋳物の木型が中心です。上下水道用、産業用、船用が主ですが、その技術を生かし県外からの受注も多くなっています。加工性のいい木材ということで姫子松、紅松がよく使われます。最近では木型の技術を異業種へ生かせないかと模索する製作所も出てきました。写真は大型の上水道仕切弁の木型です。

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