「市町村障害者生活支援事業 実施要綱」


目的
   
市町村障害者生活支援事業(以下「生活支援事業」という。)は、在宅の障害者から様々な相談を受け、必要な情報提供や各機関の紹介、在宅福祉サービスの利用援助、社会資源の活用や社会生活力を高めるための支援、ピアカウンセリング等を総合的に行うことにより、障害者やその家族の地域における生活を支援し、もって在宅の障害者の自立と社会参加の促進を図ることを目的とする。

施主体
生活支援事業の実施主体は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)とする。ただし、事業の全部又は一部を、次の地方公共団体、社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)等(以下「法人等」)という。)であって、適切な事業運営ができると認められるものに委託することができる。 
 (1)身体障害者更生施設等リハビリテーション施設 
 (2)身体障害者療護施設等生活施設 
 (3)身体障害者福祉センター、身体障害者デイサービスセンター等機能訓練実施施設
 (4)障害者に対する相談・援助活動を実施している社会福祉協議会等

利用対象者   
生活支援事業の対象者は、地域において生活支援を必要とする身体障害者等及びその家族等とする。   

事業内容   
生活支援事業の実施主体は2により委託を受けたもの(以下「生活支援事業実施者」という。)は、原則として次に掲げる事業内容をすべて実施することが望ましいが、単独ですべての事業内容を実施することが難しい場合には、複数で各々の実施可能な事業を実施し、   一定の圏域内ですべての事業内容を提供できるようにされたい。 
 (1)ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ等の利用援助   
    ア サービス情報の提供、サービス提供事業者等の紹介   
    イ サービス利用の助言  
    ウ 生活相談   
    エ 利用申請の援助   
    オ その他必要な保健医療サービスの利用援助

 (2)社会資源を活用するための支援 
  〔支援の具体例〕
   @ 授産施設、作業所等の紹介 
   A 福祉機器の利用助言 
   B 情報機器の使用指導 
   C 料理の指導(料理、裁縫) 
   D コミニュケーションの支援(代筆、代読等) 
   E 外出の支援  
   F 移動の支援 
   G 住宅改修の助言 
   H 就労・教育・医療関係機関の紹介 
   I ボランティア団体等の紹介 
   J 住宅の紹介 
   K 生活情報の提供(交通、ホテル、買い物、映画、音楽等) 

 (3)社会生活力を高めるための支援社会生活力を高めるために、社会生活体験プログラム等を実施する。 
  〔プログラムの具体例〕 
   @ 自分と障害についての理解 
   A 家族関係、人間関係 
   B 介助サービスと介助者 
   C 身だしなみ 
   D 健康管理 
   E 家事、家庭管理  
   F 金銭管理 
   G 安全管理 
   H 生活情報の活用 
   I 交通・移動手段の利用 
   J 趣味、余暇活動 
   K 人生設計

 (4)ピアカウンセリング    
  障害者自身がカウンセラーとなって、実際に社会生活上必要とされる心構えや生活能力の習得に対する
  個別的援助・支援

 (5)専門機関の紹介    
  障害者のニーズに応じ、更生相談所、職業安定所、「障害児(者)地域療育等支援事業」の実施施設及び
  「精神障害者地域生活支援センター」の実施主体、医療機関、保健所等専門機関の紹介

職員配置等
 (1)生活支援事業を行うため、ア又はイのいずれかに該当する者を1名常勤(専従)で配置するものとする。     ア 障害者地域生活支援について経験がある者。その場合、障害者ケアマネジメント従事者養成研修を
     修了した者が望ましい。   
   イ 保健師、理学療法士、作業療法士等で障害者の相談・援助業務の経験がある者 
 (2)生活支援事業を効果的に実施するため、専門的技術を有する者
    (社会福祉士、介護福祉士、医師、保健師、理学療法士、作業療法士、精神保健福祉士、建築士、
    エンジニア等の専門援助者)を必要に応じ嘱託職員として確保することが望ましい。 
 (3)職員の責務  
   ア 生活支援事業に従事する者は、障害者及び家族等のプライバシーの尊重に万全を期すものとし、
     その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。  
   イ 生活支援事業を行うに当たっては、障害者ケアマネジメントの手法を用いることを基本とし、利用者
     のエンパワメントや権利擁護にも充分留意すること。  
   ウ 生活支援事業に従事する者は、本事業の果たすべき役割の重要性に鑑み、各種研修会への参加
     や他の職種との交流等あらゆる機会をとらえ、生活支援技術の向上を図るための自己研鑽に努める
     ものとする。
 
事業実施に当たっての留意点 
 (1)生活支援事業の実施に当たって、本事業の趣旨を踏まえ、職員の勤務時間を調整する等により、夜間、
    休日等利用度の高いと考えられる時間帯に対応できる運営体制を確保することが望ましい。
 (2)生活支援事業の実施場所については、交通の利便性を考慮し、利用しやすい場所とするとともに、利
    用者が相談しやすい面接環境の整備に努めるものとする。 
 (3)生活支援事業の効果的な実施を図るため、相談受付表を備えて、継続的支援の実施を図るものとする。
 (4)生活支援事業に係る経理と他の事業に係る経理とを明確に区分するものとする。
 (5)本事業を円滑かつ効果的に実施するために、一定の圏域の中に、生活支援事業者が主導し、児童相
    談所、更生相談所のほか、市町村、福祉事務所、保険所、都道府県等障害者ケアマネジメント推進協
    議会、障害者施設、医療機関、職業安定所、学校等及び児童・民生委員、身体障害者相談員、知的
    障害者相談員等との連携強化を図ることとし、以下(ア)、(イ)の会議を設置し、支援体制を整備する。
     なお、これらの会議は、定期的に開催する他、必要に応じて随時開催することとする。  
   ア 連絡調整会議福祉、就労、教育、保健医療等の各機関の代表者によって構成され、地域における
     障害者に係わる課題を共有し、必要なサービスの提供、開発を検討する。    
    イ サービス調整会議圏域内に居住する障害者に係わる具体的な課題に対し検討を行い、福祉、就労、
     教育、保健医療等の各種サービスを総合的に調整、推進する。このためには、利用者の生活ニーズ
     を受けとめた個別のプラン会議を必要に応じて、随時開催することが求められる。 
 (6)本事業の実施により、障害者ケアマネジメント手法の普及、推進が図られるよう努るものとする。
   
市町村の役割
 (1)市町村が、本事業を法人等に委託する場合は、受託者と緊密な連携を図り事業の円滑な実施に努める
    こと。 
 (2)市町村は、受託者の意見を十分尊重し、当該市町村の障害保健福祉の推進にに努めること。
 (3)複数の市町村が共同して本事業を実施する場合には、関係市町村との積極的な連携を図り、円滑な事
    業の実施に努めること。
 (4)市町村は、生活支援事業実施者に対し、相談内容、生活支援の状況等について、年1回以上定期的な
    事業実施状況の報告を求めるとともに、必要に応じて実施状況の調査を行うものとする。   
    また、調査の結果、本事業の機能が十分果たすことができないと認められる場合は、事業の委託を取り
    消すものとする。 広報について本事業が、広く利用され適正に運営されるためには、広報活動が極め
    て重要である。 したがって、事業説明会等の開催、都道府県、市町村、社会福祉協議会等の広報誌
    やホームページへの掲載、各種会議、障害者団体等の大会等を利用して本事業を周知する等、地域
    住民が理解しやすいように工夫された広報活動を積極的に実施するものとする。
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