受賞者紹介 (第11回受賞当時)
森 実恵氏 (大阪府・49歳)
 ■ 現 職
作家・詩人
 ■ 略 歴
1990年 統合失調症を発病、10回以上の転職を繰り返す。
現在 文筆業の傍ら、ピア大阪でピアカウンセラーに従事している。また、長年、ボランティアで当事者活動を続けてきた。
 ■ 主要な活動実績
33歳の時に統合失調症を発病し、4年間生死をさまよい闘病生活を送った。病気のため離婚、次女を引き取り、実家で両親と一緒に暮らしている。その間、この病気を抱えながら生活のために就労したが、体力的、精神的に続かず、何度も転職を繰り返した。病気に対する偏見や差別にも苦しんだ。
統合失調症に対するスティグマを払拭するためには本を出版することが一番と考え、2002年8月に、「心を乗っとられて」(潮文社)を上梓した。その後、読売新聞の医療&健康コーナーに「統合失調症とともに」を寄稿連載し、大きな反響を呼んだ。 この連載は、2006年3月に「<心の病>をくぐりぬけて」(岩波書店)として出版。さらに、2006年10月に、自らの半生記を「なんとかなるよ統合失調症」(解放出版社)と題して出版した。
 現在、京都福祉新聞に連載を執筆中であり、また、近畿圏、東京、香川、沖縄などで60回を越える講演活動や毎日放送のラジオ番組「はやみみラジオ!水野晶子です」への出演、NHKのラジオ番組「ともに生きる」への出演など、多くの寄稿や講演・出演活動等を精力的に続けている。
ピア大阪にて当事者の電話相談員として就労し、多くの当事者の悩みを聞いてきた。
 ■ 今後の活動
今まで多くの啓発活動を行ってきたが、いまだ統合失調症という病に対する差別、偏見がなくなったとは言い難い。今後も文筆活動を続け、4冊目、5冊目の本を出版していきたい。また、当事者活動は日本国内にとどまらず、得意の英語を活かして、海外でも幅広く行っていくことを希望している。
 こうした文筆活動や講演活動は、社会に根強く存在する精神障害者への誤解と偏見を解くうえで、貴重な役割を果たされてきた。同時に、多くの精神障害者と家族の励みとなり、勇気と希望を与えてきた。今後ともの活躍が期待されている。