2. 極楽の説明

      私達が住んでいるこの場所から西の方角に、十万億もの数の仏国土
    (ぶっこくど)を過ぎたところに、極楽がある。極楽には、阿弥陀様が住んで
    おられて、日夜教えを説いておられる。
    なぜ阿弥陀様が住んでおられる仏国土が極楽と呼ばれるのか。それは、

    2点の理由による。

    ・ そこに住む全てのものは苦しみはなく、ただ、楽しみがあるからである

    ・ 非常に見事な景色や美しい飾り物が多数あり、素晴らしい場所だから
      である



    見事な景色とは、以下の4つの景色である。

    ・ 宝樹(ほうじゅ)の荘厳(しょうごん)

      7重の欄楯(らんじゅん)(紋様が彫刻された回廊)に、真珠と鈴のついた
      羅網(らもう)という網がかけられている。そして、7列になっているターラ
      樹の並木は、金・銀・瑠璃(るり)(青玉)・玻?(はり)(水晶)の四宝
      (しほう)で飾られている

    ・ 宝池(ほうち)の荘厳

      7つの宝(七宝)が散りばめられた池の中には、八功徳水(はっくどくすい)
      (8つの優れた性質を持つ水)で満たされている

      七宝とは、金・銀・瑠璃・玻?・??(しゃこ)(琥珀)・赤珠(しゃくしゅ)(赤真珠)・
      碼碯(めのう)である

      八功徳水は、清らかで、冷たく、甘美で、軽くやわらかで、潤沢(じゅんたく)
      で、安らかで、滑らかに飲むことができて、飲むと健康になるという性質を
      持つ

      池の底には、砂金が、池の周囲の階段には、金・銀・瑠璃・玻?が敷き
      つめられている。階段の上には、高い建物の楼閣(ろうかく)があり、それ
      も七宝で飾られて いる

      池には蓮(はす)の花が咲き乱れており、大きさは馬車の車輪ほどである。
      花は深遠な美しさがあり、芳しい香りを発している

    ・ 天楽(てんがく)・金地(こんじ)・天華(てんげ)の荘厳

      いつも天上の音楽が演奏されており、大地は黄金で輝いている。昼夜各
      3回にわたり、マンダーラヴァという美しい花が天から降って来るのである

    ・ 化鳥(けちょう)・微風(みふう)の荘厳

      色彩鮮やかで珍しい鳥がおり、美しい声でさえずっている。それらは、
      白鵠(びゃっこう)(白鳥)・孔雀・鸚鵡(おうむ)・舎利(しゃり)
      (鷺)・迦陵頻伽(かりょうびんが)(妙音鳥)・共命(ぐみょう)の鳥
      (キジの一種)である

      鳥たちは、昼夜各3回、和やかに麗しい声でさえずっている。その音色は、
      4つの法を歌い上げている。


      ・ 五根(ごこん): 悟りを得るための器官

              (げん):視覚、(に):聴覚、(び):嗅覚、
              (ぜつ):味覚、(しん):触覚

      ・ 五力(ごりき): 悟りに到らしめる力

               信力(しんりき):信仰、精進力:修行、念力:憶念、
               定力(じょうりき):禅定、慧力(えりき):智慧

      ・ 七菩提分(ひしちぼだいぶん): 悟りを得るための生き方
              別名、七覚支(しちかくし)

               択法(ちゃくほう):教えの中から真実を選び取る
               精進:一心に修行をする
               (き):真実の教えを喜んで習い、実行する
               軽安(きょうあん):心身を軽やかに、丈夫にする
               (しゃ):とらわれない心を持つ
               (じょう):心を平安に保つ
               :道理を忘れない

      ・ 八正道分(はっしょうどうぶん): 人間の生き方のあるべき姿

               正見(しょうけん):4つの聖なる真理である四諦(してい)
                         に対する正しい見解を持つ       
               正思惟(しょうしゆい):正しい思索をする
               正語(しょうご):正しい言葉を話す
               正業(しょうぎょう):正しい行動をする
               正命(しょうみょう):正しい生活をして、命をつなぐ
               正精進(しょうしょうじん):正しい修行に励む
               正念(しょうねん):正しい道理を得る
               正定(しょうじょう):心を安らかにして知恵を磨く

      普通の鳥は、汚れた生き物である畜生だが、極楽にいる鳥はそうではない。
      なぜなら、極楽には、地獄・餓鬼・畜生の三悪趣(さんまくしゅ)がなく
      名称すらないからである。

      それらの聖なる鳥は、仏の教えを伝え、広めるために阿弥陀様の不可思議な力
      によって作り出されたものなのである。

      また極楽には、ここちよい穏やかな風が吹いており、ターラ樹や鈴のついた
      網が風に揺られて妙なる美しい音色を出す。その音色は、聖者たちが百千種
      もの天上の楽器を合唱しているかのような美しい音色である。

      その音色に耳を傾ければ、誰でも自然に念仏を唱え、法(真理)を大切に
      する心を持ち、僧の集いを喜ぶようになる
のである。

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