オールロマンス事件
 1951年京都市において、市の職員が雑誌「オールロマンス」に小説「特殊部落」 を寄稿しました。
この小説は同和地区の人々をきわめて差別的に描写したものであったのでした。この事で部落解放委員会(部落解放同盟の前身)は、市行政が部落の劣悪な状況を放置していたことが、差別を助長する大きな原因であると、行政の責任を指摘しました。
この事件を契機に、京都市は部落対策の総合計画を作り、同和行政推進のための積極的施策を行うようになったのです。
この事件が以後の地方公共団体の、同和行政への取組を推進させるきっかけになったといわれています。


部落地名総鑑事件
全国の被差別部落の所在地、戸数などを記した出版物「地名総鑑」は、差別の道具としてひそかに企業等の人事担当者等に使われていたのです。
その存在が明るみに出た1975年(昭和50年)以降の反対運動や法務局の指導の結果、本として販売されたという報告は最近では聞かれなくなったそうです。
ところが、89年(平成元年)、パソコン通信で被差別部落の所在地リストが流れたのです。
電子ネットを使った身元調査の呼びかけや中傷の文章は、ここ数年でも5、6件は見つかっており、残念でなりません。
解放同盟は7月、人権に配慮した電気通信事業法の見直しなどを郵政相に申し入れたそうですが、郵政省電気通信利用環境整備室は「ネット上の名誉棄損やわいせつ表現でも、その発信自体の法的規制は、表現の自由の問題もあって難しい。通信事業者側の自主的な対応に期待したい」と言うのです。
法的な対抗手段は、攻撃の対象が特定の個人でない場合、国内では難しいのかもしれませんが、インターネットが世界につながっている点をとらえ、電子ネット上でも人権問題に敏感でありたいと願います。


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