■ 滋賀同宗連大会宣言

 わたしたち宗教者は、神の御心、仏の大慈悲の理念に基づき、すべての人びとの幸福を願ってやまない使命をもっています。しかし、日本の国の中に、いまだになお、非常に厳しい部落差別が存在しています。部落の人びとは基本的人権を侵害され続けています。このことは、もっとも深刻にして重大な社会問題です。この問題を温存させてきたのは、ほかならぬわたしたち宗教者です。
 これらの事実を正しく見据え、60余年前に出された水平社宣言における、「人の世の冷たさが、どんなに冷たいか、人間をいたわることが何であるかをよく知っているわれわれは、心から人生の熱と光を願求禮鑽するものである。水平社は、かくしてうまれた。人の世に熱あれ。人間に光あれ。」
という人権宣言をしっかりとうけとめ、日本の恥ずべき部落差別を、一日も早く解決するために、一切の差別を許さない厳しい姿勢を律しつつ、県内宗教教団関係者が大団結をして解放の実践に取り組むことを宣言する。

1987年3月6日
同和問題に取り組む滋賀県宗教教団連帯会議結成大会 参加教団名
浄土真宗本願寺派 日本基督教団 浄土宗滋賀教務所 神社本庁 天台宗滋賀教務所 金光教 曹洞宗 大本近江本苑 臨済宗妙心寺派 日蓮宗 臨済宗永源寺派 大本山石山寺 時宗 天台寺門宗総本山園城寺 黄檗宗 天台眞盛宗滋賀教区 天理教

■ 部落解放基本法制定に向けて −反差別・共生そして人権確立を− 滋賀同宗連宣言

 世界は今まさに激動の最中にある。反差別の運動は、国際的潮流となり、人権の確立は新しい秩序のもと、各国・各民族は相互に共生することを求めながらも、民族・宗教の対立による地域紛争は続発している。
 また、国内においては、1965年8月11日の同対審答申以来四半世紀に及ぶ同対事業の推進により、ハード面(住環境等)には一定の成果を見ることができた。特に県内における同対事業の推進により、差別解消はかなりの実績を挙げているが、ソフト面(教育・就労・結婚)などには今後の課題が山積されている。
 最近は意図的に部落差別を扇動し、助長拡散する差別落書きや発言が県内に多発している。これにより多くの人々が悲しみ、苦しみ、悩み、更には尊い命をも奪われている。この事象に宗教者は黙視することが許されません。
私たち宗教者は、同和問題の真の解決を心から願う者である。そこで、肝に銘じ、深刻な部落差別の実態を知り、自己の差別性に目覚め、生かされる喜びと生命の尊厳を強く訴える啓発活動の展開に努めると共に、人権を守る法的措置を確立し、同和問題の根本的解決をはかる必要性を痛感するものである。
「神のみ心・仏の大慈悲の理念に基づき、すべての人々の平等と幸福を願って」八年前に結成された滋賀同宗連は、初心を忘れず、宗教者として、各教団の祖師・教祖のみ教えの根源にたちかえり、部落の完全解放のため、反差別と人権確立と平和を祈念して「部落解放基本法」の早期制定を求めることを宣言する。
1994年3月30日
同和問題に取り組む滋賀県宗教教団連帯会議


■ 部落解放基本法制定要求宣言に関して

  この宣言は8名の起草委員によって慎重な検討のもとに原案を得て、去る3月30日の総会において満場一致で承認されたものです。
滋賀同宗連は1987年3月の結成以来一貫して同和問題を核とする差別撤廃に取り組んで参りました。特に心理的差別の解消につきましては同和問題研修や啓発の推進により、人権意識の普及・高揚などある程度の成果を収めておりますが、差別事象は今日なお続発し、国民的課題といわれている同和問題の解決が県民すべての責務になっていない状況にあります。 このような現状のなかで同和問題の総合的、抜本的な解決をめざす法的措置が急務だという観点から滋賀同宗連では「部落差別をはじめ一切の差別の抜本的解決のための『部落解放基本法』の制定を要求する」宣言を採択することになりました。加盟各教団のすべての宗教法人が歩調をそろえて部落差別の早期解決と人権擁護のため、なお一層の努力を願うものです。また部落解放基本法制定要求国民運動滋賀県実行委員会の諸施策を適正に推進することによって共生のできる社会、人づくりをめざすものです。
1994年3月30日
同和問題に取り組む滋賀県宗教教団連帯会議


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