高月町商工会特産品委員会(キムチ委員会)韓国研修会 釜山編

平成12年5月20日〜23日までソウル、プサンへ市場調査と食文化の研修に行ってきました。

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 三日目は、釜山へ。ソウル駅から特急セマウル号で約4時間。時速100キロ弱で、ソウル、釜山が約W30000。平日は一割程度料金が安くなるとのこと、タクシーもそうだが交通費は日本と比べると五分の一程度と安い。二人掛けのシートで座席周りは広くゆったりとしていてフットレストも具合が良く、他の観光客も旅の疲れか眠っている人が多い。

 先ずは駅前での記念撮影。右端の女性はガイドの金さんです。日本の統治下時代に建てられたソウル駅。東京駅と同じ設計者であるとの事。建築技術への貢献とするならばいいが、他国の文化・様式を強要したのならば、芳洲先生が悲しまれるのではと……。

 セマウル号の食堂車での昼食は幕の内弁当だ。明太子がメッチャ旨い。薩摩揚げ、海老フライ、唐揚げ、野菜の煮物等々。もちろんキムチもあり。青いマークのカップはミネラルウォター。これにみそ汁がつく。私たちの席だけ、お椀が足らなかったのか紙コップでみそ汁が出てきた。レジにて「器が違っていたよと」値引きを迫ったら、「それはできないよ」と軽く断られた。プラザホテル直営のプライドであろうか。側でガイドが軽く微笑んで会釈をしていた。

 韓国では温かいご飯を食べることが多いので、弁当を食べる機会は少ないという。これは日本人向けの事前予約の特別メニューであろう。駅の売店や、車内販売で売られていた弁当は、キンパムと呼ばれるのり巻き一種類だけであった。

 車内販売もコーヒーやジュース、ビール。そしてお菓子類。お土産用だろうかクルミカステラのようなものを何度も売りに来た。日本で云えば「静岡名産、安倍川餅はいかがでしょうか」であろう。

 釜山での夕食は、日本料理。海鮮料理コースとの事で、先付、酢の物、刺し身、天麩羅、焼き物、寿司、茶わん蒸し、フルーツ、ご飯等に鍋が付く。畳の部屋で飲んで手をたたいていれば、ここが韓国だとは思わない。ただ、醤油とワサビが日本とは大きく違うように思う。ここは一番、カバンからチューブ入りの練りワサビと丸大豆醤油のミニボトルを取り出して鯛やマグロ、ウニを頂く。これは旨い!

 このお店では軽くて使い勝手の良い塗り箸で、金属製ではない。ここ三日間、箸より重たい箸を?使っていたので、箸使いの下手な私は食事に集中出来なかった。ここでは心も解放されて持ち込みの日本酒も断然旨い。しかし、「互いの国の文化や習慣を尊重し交流を深めよう」との誠信外交を進めた雨森芳洲先生に対して、私たちの食べ方は、申し訳ない事をしているのではと、ちょっぴり反省もした異国での日本食であった。

 ホテルにかえり、ひとっ風呂浴びると又、腹の虫が動きだす。地元の賑わいをと、チャガルチ市場へ繰り出した。鯛や鮃、穴子、伊勢海老等が水槽にあふれてる。アワビ、ホヤ、サザエ、ナマコも元気そうだ。漁船が停泊する港を囲むようにして、小さな路地に鮮魚を扱う屋台のようなお店が何十軒と並んでいる。店員たちの大きな声での呼び声と裸電球の光が、水槽のガラスや溢れた水で濡れた路面に反射して、眩いばかりの世界を作り上げている。頃合いの鮃を指さして刺し身で一杯やりたいのだがと身振り手振りで伝える。

 店の女将に進められて水槽の裏へ回ると、こあがリにテーブル席が幾つかある。法酒、ビールを頼んでしばらく待つとサニーレタス、荏胡麻の葉、ニンジン、キュウリ、コチュジャン、醤油がテーブルに。「しまった、醤油とワサビをホテルに忘れてきた」と思ったところに鮃が運ばれてきた。薄づくりではなく、細切りにされて皿の上に無造作に盛られている。そして傍らにクリスマスケーキのデコレーションかと思う程の鮮やかな緑色のワサビが……。女将はレタスやゴマの葉に鮃、野菜を載せコチュジャンを付け軽く包んで差し出す。ピリッとした辛味と胡麻の葉の風味が口の中に広がる。美味しいのは美味しいのだがこれはお刺し身ではない。鮃がもったいないと思ってしまったが、ここは芳洲先生の教えを守って韓国の食文化を楽しんだ。

 お勘定は、四人で、鮃一匹、ビール二本、法酒一本合わせてW30000。一人700円少しだ。深夜になっても賑わいの絶えない市場を散策後、タクシーでホテルへW1300だ。

 釜山での宿はコモドホテル。特2級クラスのホテルで1泊朝食付きツイン使用で約W100000。各階には瓦葺きの庇が出て宮殿風の建物だ。内装もクラシカルで重厚な趣だ。部屋の窓からは港が見え、この海が玄界灘へと続き、その先に対馬があるのだろう。フロントは日本語が堪能でコンシェルジェの対応も良く、日本人にはしっくりとする。

 都市的な喧噪感がただよう都市ソウルを東京と見るならば、暖かみのある雑踏感を感じる釜山はまさに関西そのものだ。近くの竜頭山公園の釜山タワーから対馬を探すが、お天気が良すぎて海上に靄がかかり、はっきりとその姿をとらえられない。昨年対馬から釜山を眺めたときもそうであったが、海の遠望は気温の低い冬の方がいいのかもしれない。この公園から日本を眺めている人がもう一人いた。壬申倭乱の際の英雄「李舜臣将軍」だ。400年もの時を経て日本をにらみつける彼の前に立と、過去の過ちや歴史を繰り返してはならないと深く反省をするものだ。

 ガイドの金さんを通じて釜山市役所や博物館の方々に、朝鮮通信使の時代に日本人が活躍した草梁倭館や雨森芳洲先生が建てたという誠信堂の跡地を訪ねてもらったが、コモドホテルの周辺だろうとのことだが、現在いろんな建物が建っているので詳しくは特定できないとのことだった。メンバー全員その地域に向かって手を合わせて芳洲先生の遺徳を偲んだ。

 プサンのチャガルチ市場。魚市場として活気がある。ヒラメ、太刀魚、アンコウ、ほや、蛤、エイ、アナゴ等、全部売れるのかなあと心配するほどの量がならべてある。鯛が1匹W15000、日本なら5000円ぐらいはするだろう。冷凍の小さなイワシを掃除しているお店があった。キムチにも使うイワシのエキス(魚醤のようなもの)を作るのだとのこと。

 マンドゥ(ギョーザのようなもの)10ケでW2000、タレが美味しかった。夏取りの韓国白菜の種を購入、1袋W3500、日本の気候と土が合うかな?

 釜山の国際市場にも立ち寄った。衣料品やバック、時計といった物のコピー商品も多く、極端に安い買い物には気をつけたい。韓国の人たちは金が好きなようで、日本でいう質流れ品の貴金属を扱う専門店もたくさんあった。また、お菓子、玩具等専門的なお店が軒を連ねていて、卸も小売りもどちらもOKで、買い物には大変便利だ。

 初夏を思わせるような気候で、市場巡りも汗だくだ。カキ氷が食べたいなあと思って歩いていたら屋台の氷屋さんに出会った。ガイドさんが「もう少し先に喫茶店があるので」とアドバイスをしたが、私一人が首筋に滴る汗に我慢できず「ひゃっこいの一つ!」と注文をしてしまった。手持ちのWが無かったので100円玉2コをおばちゃんに差し出すとニコッと笑って前掛けのポケットにしまい込んだ。出された氷は、ミルク金時のようなもので、味は日本と一緒だ。半分ほど食べたらおばちゃんがミルクを又掛けてくれた。大サービスでニコニコと愛想がいい。ひょっとしたら100円玉一個でも良かったのではと勘繰ってしまった。「いやいやそうじゃない」「やっぱり……」等々不信感が頭をよぎる。売値のはっきりしない、値切りの商法は楽しいのだが、私には向いていない。

 皆は2筋ほど向こうの喫茶店に入った。コーヒーがW2000前後、カキ氷はW3500。出てきたのは写真の様なビックサイズ。キウイ、イチゴ、バナナ等がたっぷりと、アンコもミルクも目一杯。さすがの甘党の局長も半分食べたところで、こべを押さえてあぐんでしまった。ここは世界的なコーヒーショップのチエーン店だが円が通用しない。100円玉を受け取った先程のおばちゃんの方がグローバルだ!

 いよいよ韓国ともお別れ。最後の昼食は海鮮鍋だ。海老、蛤、イカ、カワハギのようなものにネギ、春菊等が入る。小麦粉を練って耳たぶのような形をした麺も入れる。旨いダシが出て最高だ!ここでもキムチや山菜、荏胡麻の葉、コチュジャン等がお変わり自由で出てくる。ここのモヤシは太くて歯触りが言い。マッコリをオーダーしたらビン入りが出てきた。飲んでみるとヨーグルトのような味だ。ラベルを調べると8%と書いてある。毎日マッコリの飲んできた飲み助さんには8%では頼り無くなってきた。「まあ量を飲めば一緒か」とは、まいったのんべいである。

 あっというまの4日間の調査研修ではあったが、日本人の観光客も多く、日本人に合わせた(辛さも、お値段も)料理が中心になってしまったが、次の機会には、町場を徘徊して韓国を食べ尽くしたいものだ。

 あらゆる民俗や文化には上下が無く平等であり、真実をもって交わる事の大切さを唱え実践した雨森芳洲先生の偉大さを痛感させられた4日間でもあり、これをご縁に高月町で韓国の食文化を楽しむ精神を大切にし、より一層「美味しいキムチ」づくりに取り組んでいきたい。