2023年モーニング感想部屋


五十三号  ここにきて、早乙女コーチの過去が掘り下げられました。ETU以外の人間で、幼少期のエピソードが描かれた人物といえば、思い浮かぶのは山形の佐倉監督です。そして彼と違って、早乙女コーチには、プロ選手として現役時代の達海猛と戦った経験があります。
 凡才の努力を軽々と飛び越える存在。この構図に、前号までの椿君と清川君、亀井君を思い出しました。ただ、早乙女コーチを凡人という位置に置いたとき、「椿君とチームメイト」のような関係を達海さんと築くことはできません。達海猛という優れた存在と相容れない、わかり合えない、倒すべき相手という関係性にあるのが、早乙女コーチなのでしょう。
 そして早乙女コーチは現役の時から、「相手を知る」ことの重要性を訴えています。対象を観察し、分析し、行動を予測するという行為は、「あいつは自分とは違う、別格の存在」という諦観まじりの結論から最もかけ離れたところにあります。早乙女コーチの行動は、達海猛という人間が抱える、「優れているがゆえの孤独」を、ひとときでも埋めるものだったのかもしれません。
 ところで、私はジャイキリを読み始めてから長い年月が経ちますが、初めて達海猛という人物が抱える孤独を垣間見たように思います。松原コーチへのパワハラスレスレのいじりも、後藤GMへの粗雑な扱いも、「この人たちなら受け入れてくれるだろう」という甘えと、寂しさの裏返しだったのでしょうか……。
 今年のモーニング感想を読み返したのですが、早乙女コーチは達海監督を「現役時代と同様の甘ちゃんサッカー」と評価していました。達海さんと鹿島への移籍が成立しなかったことに、関係しているのかもしれません。
六十二巻  単行本の表紙を飾った二人の過去が、こんな形で明かされることになるとは……。
 ですが、ムスっとして怖そうとか、風貌がおっさんぽいとかは、全くサッカーと関係がありませんし普通に悪口です。そして出会って間もない(であろう)相手に、そんなことが言えるのが、城島さんのコミュ力のすごいところなのかもしれません。
 モテたい。高校生らしい発想が村越さんや五味さんにあったことに安堵しました。高校生の発言とは思えませんが、村越さんも五味さんも「死ぬまで愛する」と決めたたった一人の女性と巡り会っているのですね。
 これは完全に個人のイメージですが、達海猛さん(高校生のすがた)には、そういう欲求がなさそうというか、笠野さんあたりに「プロになったら、女にモテるぜ?」と唆されても、あまり心が動かなそうに見えます。気になる相手に意地悪するタイプなのは間違いないのですが。
五十二号  椿君のシュートでETU同点。私の予感は見事に外れました。まだ後半が始まったばかりというタイミングで、ETUが追いつくとは思っていなかったのです。
 少年の心は複雑。この試合がどんな結末を迎えるのか分かりませんが、コータくんとキョーコちゃんの関係がどうなるのか、ものすごく期待しています。キョーコちゃんは予想の外を突き進むタイプなので、椿君みたいになりたくてボールを蹴り始めても不思議ではないような気がします。
 椿君に食らいつく。亀井君のように一人一人が刺激を受ければ、ETUというチーム全体のレベルアップが期待できるかもしれません。
 亀井君の愛称はカミィ。格闘ゲームにキャミィという女性キャラがいたことを思い出しました。連載が終わったら、王子の「ETU関係者のニックネーム一覧」を発表してほしいものです。
 葛城さんは守備のスライドが遅れがち。鹿島では「戦術理解度が低い」と評価されていますが、ETUサイドも彼が「鹿島の欠点」であることを見抜いていました。
<  鹿島が再びETUを突き放すには、葛城さんを交代させるという方法がありますが、早乙女コーチには思うところがあるようです。
 まさか鹿島戦は、ETUでは書けない「コーチが監督にジャイアント・キリングする」話なのでしょうか……?

 これ、世界史の授業でやったところだ! 中東問題は学生時代にしっかり習った記憶がありまして、そんな感じで、「フサイン・マクマホン協定」とか「バルフォア宣言」という用語も頭に残っています。個人のチセイではどうにもできない問題には、日本の学校的な「みんななかよく」は通用しないのでしょうね。
五十一号  椿はモノが違う。
 清川君の言葉に、椿君の可能性と、近いうちに訪れる移籍という未来を感じました。
 サッカーに限らず、チームスポーツにおいては、下手なメンバーが仲間の足を引っ張ることがあります(※個人の経験です)が、逆にひとり抜きん出ているがゆえにチームメイトと噛み合わず、「浮いて」しまうこともあります。現役時代の達海さんがETUでそうなったように、椿君もそれと似たような状態のようです。
 そこで「天才の考えることは、自分たちのような凡人には理解できない」と線を引くのではなく、清川くんは理解できそうなところ、共感できそうなところを探し出しました。同じサッカー選手であり、ETUのチームメイトなのですから、分かる部分は必ずあります。逆境をはね返す。その思いを共有できない者が、鹿島に勝つことは困難でしょう。
 ミスした選手にとびきりひどいことを言う。達海監督は怪我で交代した選手にも、要求が高いです。しかしスポーツ界のパワハラが明るみに出るようになった近年、ハラスメント認定されない程度に叱責するというのは、なかなかハードルが高いように感じます。
 ミスは許されない。だが、恐れてはいけない。亀井君の思いきったプレーがETUのチャンスを作りました。ですが今までのパターンを見るに、この「引き」は得点にはつながらない予感がします……。

 リエゾンの佐山(兄)は、きっちりかっちりした性格過ぎて、子どもに障害があろうとなかろうと、ルーチン通りにはいかないことだらけの「赤ん坊」と生活するのが難しいように思えます。さらに言えば、奥さんの妊娠も、試験管で色々なものを培養した結果のように見えます。
五十号  モーニングの表紙に達海監督。モーニングの表紙で、彼はいつも「人の悪い顔」をしているような気がします。荒岩パパの場合は笑顔のイメージが強いのですが。
 五味さんをオーストラリア代表のサリバンさんに重ねて、越えるべき相手だと考えるのはともかく、「笑顔が似合わなそう」なところを繰り返すのは止めてあげてください、椿くん。
 もしもこの試合が終わった後に、泣き崩れる五味さんの姿を見たら、椿君はどんな反応をするのでしょうか。たぶん、サリバンさんは五味さんほどは泣かないと思います。
 五味さんの復帰は、猪瀬さんたち鹿島フロントの行動。いつまでもアイルトンさんに頼ってはいられないというクラブの事情は分からないでもないのですが、監督のクライトンさんが「アイルトン派」であることを考えれば、どうなるのかな……という気はします。そして椿君を転ばせてイエローカードを出された葛城さんは、通訳なしで監督と会話していた「アイルトン派」の選手でした。
 猪瀬さん的には、鹿島がETUに勝つにしても、五味キャプテンや早乙女コーチ(いわゆる猪瀬派)に活躍してもらいたい。彼にとって一番良い結果は「猪瀬派の活躍で鹿島が優勝する」ことです。
 ただ、それが果たせそうにない場合、猪瀬さんが次に望むのは「アイルトン派の活躍で鹿島が優勝する」ことなのか「ETUがアイルトン派の活躍を阻止する」こと なのか、どちらなのかという気はします。
 現場を知りつくしているような顔で、クラブの内情に口を出してくる功労者がそろそろ煙たい。クラブの将来を考えれば、一人の人間のコネクションに頼りっぱなしというのは良くない。猪瀬さんが現状を変えたいという気持ちは理解できるのですが、今のところ、「前キャプテンの葛城さんの戦術理解度が低く、イエローカードをもらった」ことぐらいしか、アイルトン派のダメなところが思い浮かびません。そのため、猪瀬さんの行動は、リーグ戦の優勝がかかった大事な試合に「政治」をもちこんで現場を混乱を招いているだけに見えます。
 アイルトンさんや、監督であるクライトンさんが「鹿島の派閥争い」に言及することはあるのでしょうか。
 また、鹿島のキャプテン就任・交代の事情は分かりませんが、「五味さんがクラブに復帰したから」という理由でキャプテンマークを奪われたのだとしたら、葛城さんが猪瀬さんに不満を抱くのは当然のように思えました。

 八田さんが本誌に登場。サッカーチームの子に会いに行ったシーンが高橋陽一先生風の絵柄だったのが微笑ましかったです。
四十四号  後半開始。
 椿君が前半を振り返ります。鹿島とETUの差は少ししかない。達海監督が怒ったのは、自分たちならできるはずだからだ。それにしても、椿君がその少しの差を「後半で俺が埋める」と思えるようになるなんて、成長したものです。
 体格差につけ込むセコイ真似(フットボールはそういうスポーツです)→サッカー選手なら堂々と足下で勝負しろ(言うほどの技術はない)と、黒田さんがツッコミ所を提供してくれています。そしてパッカ君は後半、羽田さんの隣で試合を観戦するつもりのようです。
 五味さんがタックルでスルーパスを阻止。椿君は懐かしい人を思い出したようです。プレイスタイルやキャプテンシーはともかく「笑顔が似合わなそうな感じ」は地味に失礼です。もし五味さんが泣き虫だと知れば、椿君はどのような反応をするのでしょうか。
 最終ページで、椿君が笑っています。ときおり達海監督が浮かべる不敵な笑みの二歩手前といった表情で、この鹿島戦のプレッシャーを乗り切れば、彼は文字通り「達海猛の再来」になれるのかもしれません。
 つまりは、五味さんにチャンスを潰されたものの「負けた」「力の差がある」とは思っていないということなのでしょうか。
四十三号  みんなの力を貸してくれ! そこに含まれなかったパッカ君が羽田さんに抗議しました。確かに新鮮な組み合わせではありますが、小学四年生にしてギャップの良さが分かっている知っているキョーコちゃんは、ただ者ではないと思います。
 黒田さんが岩淵さんとマッチアップ。そこ以外の交代はないようです。
 王子のせいでETUを追い出された。昨シーズンまでのETUがギリギリ一部リーグに踏みとどまっていたことを思えば、鹿島への移籍はステップアップではないかと思います。生活するという点では、茨城よりも東京の下町のほうが断然便利かもしれませんが。
 私の記憶が確かならば、王子は赤崎君と同じチームで二年過ごしている設定です。彼がよそのクラブから移籍してきたのだとすれば、なぜわざわざ当時「弱小」だったETUを選んだのかという疑問がわいてきます。笠野さんにスカウトされたのが妥当な線でしょうが、何となくですが、王子は笠野さんがETUに勧める選手とはタイプが違うようにも思えます。
 奇策は自信の無さの表れ。選手のプライドを指摘した早乙女コーチはもっともです。しかし、現役時代も含めて、達海さんがタイトルに縁がないことと、彼の態度は別問題のように思えました。
 ブラン監督がハムハムしてる……! スタジアムを評価するにあたり、スタジアムグルメは非常に重要なポイントなので、たぶん、この行動も視察の一環なのでしょう。ハム焼きやモツ煮、メロンソーダ。噂に聞くリアル鹿島のグルメを、一度は味わいたいものです。
 試合の前半は村越さんと五味さんの因縁や杉江さんの怪我、そしてリアルの長期休載ばかりに気を取られ、椿君の出番が少なめでした。後半の彼の活躍に期待したいものです。

 リエゾンは、浅野看護師が母親と断絶した自身の経験から、患者の入院に慎重になるのは分からなくもないのですが、母親の病状が悪化すれば、無理心中が成功していた危険性はもちろん、赤の他人が攻撃される可能性もありました。それを考えれば、入院という決断はやむを得なかったでしょうし、家族が患者を支えるにしても、限界があるように感じます。
四十二号  綿谷君が脱いだ。五輪代表候補が一肌脱ぐのは、鹿島なりのファンサービスかもしれません。
 鹿島の前キャプテンは葛城さん。通訳なしでクライトン監督と会話しています。髪のトーンと目つきのせいで、何となく持田さんを思い起こしました。治療が上手くいっているのか、気がかりです。
 派閥争いは存在した! アイルトン→クライトン監督(→葛城前キャプテン)というブラジル人派閥と、猪瀬GM(→早乙女コーチ→五味キャプテン)の日本人派閥が、勢力争いをしているようです。鹿島というクラブは個人の物ではありませんから、監督人事にまで強い影響力を持つレジェンドの存在は、現場をよく知る猪瀬さんにとっては煙たいのかもしれません。
 過去のETUには、津川会長と笠野GM(肩書は当時)の対立があり、選手にしわ寄せが行きました。鹿島の派閥争いは、GM当時ではなく、旅人時代の笠野さんを思い起こします。ほとんど現場にいないのに、強い影響力があり、結果を出しているので外部の人間にも高く評価されている。正式な役職にはついていないから、失敗しても責任を取らなくていい。どれだけ有能でも、そういう人と一緒に仕事をするのは、周りの人たちが大変だろうなと思うのです。
 思い返せば、五味さんの行動にもETUっぽさを感じます。試合開始前の発言から、彼は村越さんの行動を読みましたが、相手の発言から心理を分析して行動を予測するのは、どちらかと言えば達海監督のやり口でした。それを相手チームの選手が仕掛けてくるのが、鹿島が強大な敵である証拠なのでしょう。
 クラブの負の歴史だなんだは、俺が引き受ける。
 村越クラスタの皆さん、ご覧になりましたか。これこそがミスターETUこと村越茂幸の生き様です。自分が重荷を背負い、身軽な仲間に希望を託す。それは彼にしかできないことであり、ETUというクラブが示した一つの形なのでしょう。
 試合は後半へ。気合を入れ直した選手たちの活躍に期待したいです。
四十号  ETUにとっては最悪の形で前半終了。達海監督が珍しく、しかも記者に分かるような形でイライラしているのが印象的です。
 鹿島の広報は物腰の柔らかい堀部さん。ETU以外のクラブの広報スタッフの名前が出てきたのは、もしかしたら彼が初めてかもしれませんが、試合前ならばともかく、試合中に有里ちゃんや佐藤君に、クラブ広報としての能力や覚悟が問われるような展開は発生しないように思われます。
 人口の少ないホームタウンでクラブを成り立たせるには、勝利が必要。Jリーグの偉い人の「地元の暴走族だった連中がクラブのサポーターになった」という持ちネタの舞台が、確か鹿島だったと記憶しています。自分の住む町に、プロのサッカークラブができたという体験はすごいことでしょう。そしてJリーグの歴史を紐解けば、様々な事情で町から離れたクラブもあります。フットボールクラブが存在し続けるためには、関係者は危機感や努力を忘れてはならないのでしょう。だからといって、東京の下町にあるETUが、あぐらをかいているということはありません。第二話では、台東区がホームタウンの撤退を検討していることが会議で取り上げられていました。
 悔しいと思うのは、やれているから。俺たちは勝てる。達海監督がモチーベーションを上げています。王子を一時的にアンカーにしたように、作戦を立てねば勝てないのでしょうが、この鹿島戦では選手のモチベーションやクラブ関係者の危機感といった、人の気持ち、心のあり方に焦点が当たっているように思えました。
三十八号  旧ツイッターで、岩淵クラスタのフォロワーさんが荒ぶっていた理由が分かりました。これは紛れもなく岩淵回です。
 五味さん、なんで緊張してるの!? 古巣といえども、選手やスタッフが入れ替わっているから、緊張しているのでしょうか?
 五味キャプテンはものすごく口下手でよく泣く人ですが、鹿島を強くするリーダー。村越さんもどちらかというと背中で語るタイプですが、喋りはここまでひどくありませんし、ETUの成績を鑑みれば、チームを強くできる絶対的なリーダーというわけでもありません。杉江さんの交代が残念ですが、こんなときだからこそ、村越さんにはチームを背負って立つ人間として、覚醒して欲しいものです。
 そんなことをつらつら書いていたら、逆転のゴールを決めた岩淵さんに村越さんが付いていたことに気づきました。ハーフタイムで達海監督に詰められそう……。逆に、詰められたほうがマシなのでしょうか?

 手製の反射炉で大砲を作ろう! 某アイドルが反射炉を作っていましたが、アルミを溶かして食器や胸像を作るのが限界でした。ですが冷静に考えれば、大砲なんてものはアイドルが持っていいものではないので(藩が持っているのもどうかと思いますが)、島の反射炉はあれでいいのかもしれません。
三十六・三十七号  鹿島ゴール裏の野次が怖いです。ETUの対戦相手のサポーターは今までにも何度も描かれていました。「ウチの○○(選手)はこんなところが強い」的なセリフには、選手を誇りに思うサポーターの気持ちを表現しつつ、読者に物語やキャラクターに関わる大切な部分を説明する役割があったかと思います。
 「オラ! かかってこいよETU!」は、どこからどう見てもETUへの挑発です。こういう分かりやすくガラの悪いサポーターを、ジャイキリではあえて描いてこなかったと思うのですが、ETUと鹿島の一戦がクラブとクラブの哲学のぶつかり合いであるならば、クラブに関わる人の姿も掘り下げられるでしょう。その結果、ゴール裏の人々は、より現実に近い姿になったのかもしれません。
 杉江さんが足を痛めた! 山さんの解説が実に分かりやすいです。大事な試合に欠いていい選手などいるわけがないのですが、杉江さんはこれで交代なのでしょうか?
 高いボールに岩淵さんが合わせる。すごくハラハラするところで話が終わりましたが、このタイミングで休載に入ったら嫌だなあ……。
三十五号  ジャイキリが載っていないモーニングに慣れてしまった結果、私は掲載されている状態に、逆に不安を覚えるようになったようです。一週か二週の休載を挟みながらでも、定期的に連載が続いてくれれば、この気持ちは消えるのでしょうか。
 言葉の壁を越え、心が通じ合っているからこそのコンビネーション。同点に追いついた動きを見れば「アンデルソンと岩淵にスペースを与えたら無敵」という評価も頷けますが「ブチがお尻の大きな女性だったら最高のカップルになれていた」という発言は、男同士でもセクハラにあたる気がします。作品の舞台となっている時代を考えれば、まだ男同士のセクハラは認定されにくいのかもしれません。
 その点、ETUの人々は有里ちゃんの肩には絶対に手を置かない(肩を組むシーンでも寸前で手を止めている)ので、セクハラにはかなり気をつけているように見えます。単に有里ちゃん本人と会長に恐れをなしているのかもしれません。……ここまで書いておいて、シーズン前のキャンプに遅れてきた王子が、有里ちゃんの肩に手を伸ばしていたことを思い出しました。彼ならば、有里ちゃんや会長が怒ってもどうということはないでしょうね。
 ナイスゴール……や…やったじゃん。五味さんはこの褒め方で、よくサッカーの世界でバリバリやって来られたものです。岩淵さんのタメ口にも怒りませんし、言葉よりも行動でチームを引っ張っていくタイプなのでしょう。
 村越さんが「俺のミス」を連呼しているのが、更なる失点のフラグに見えます……! 彼のあり方は、あえて鹿島の五味さんと対照的に描かれているのでしょうか。
 やはり早乙女コーチは現役時代の達海さんを知ってました。「現役時代と同様の甘ちゃんサッカー」という評価を下した理由が気になります。

 薩摩銘菓はもうちょっとネーミングに気を遣って欲しいと思いました。口に入れるものなんだからさあ……。
三十四号  二週連続掲載。八月は合併号がありますが、そのあたりのスケジュール調整がうまくいっているのか気がかりです。今号連載開始の「箱庭モンスター〜少女漫画家、ときどき紙袋〜」は、少女漫画誌の編集部が舞台ですが、「作家さんは人間である前に商品」という台詞は、青年誌や少年誌でも通用するように思えました。
 五味さんに睨まれてから、まともにボールに触れていない。鹿島の作戦や選手の動きが原因なのに「ベテランの目力」を持ち出す椿君に若さが感じられます。彼には純真な気持ちを忘れずにいて欲しいです。
 ですが後ろから相手を引っ張る狡猾さもサッカーには必要。五味さんは、村越さんの「ここから俺が」というモノローグに代表される個人的な感情が、判断の遅れにつながっていることを見抜いていました。先週の早乙女コーチ(げんえきじだいのすがた)の「相手をよく見ろ。常に観察しろ」という教えが生きています。
 岩淵さんのシュートで鹿島が同点に。マークについていたのは村越さんでした。結果的に「彼を潰せばETUは崩れる」ことになりましたが、彼にはこのまま終わらずにいいところを見せて欲しいです。
三十三号  モーニングの表紙という告知を見て「やったぁ!」ではなく「大丈夫かな?」という気持ちになってしまいました。先生も編集の方々も、お体に気をつけて欲しいです。
 早乙女コーチは現役時代に五味さんと中盤でコンビを組んでいました。弟のように語ると関係性ということは、私生活でも一緒に食事に行ったり、五味さんの婚姻届の証人欄に早乙女コーチの名前が書いてあったのかもしれません。
 優秀な分析官だが、ひとりのアイデアに偏るわけにはいかない。大勢のスタッフや選手と仕事をしているのですから、特定の人間だけが重んじられては不満も出るのは理解できるのですが、監督は王様(達海監督の言葉)で、チームを勝たせるのが仕事なのですから、細かいことは気にせずに優秀な人の意見を取り入れていけばいいように思いました。
 監督が身内をコーチに据えるのも、割とよくあることに思えるので、クライトン監督はブラジル人監督としては異質なのかもしれません。
 キックオフ時のポジションに戻ったETUを襲うブーイング。リアルでも鹿島や浦和はブーイングがすごいイメージ(※個人の印象です)がありますが、選手のメンタル以外にも、コーチの指示が聞こえないという問題が判明しました。それはアウェイ側だけではなく、ホーム側も困るのでは……。
 仲間を理解して、相手を見る。かつてコンビを組んだ人の教えが五味さんの原動力なのは分かるのですが、今回の話でアイルトンさん→猪瀬GM、早乙女コーチ、五味さん→他の選手という流れが、鹿島の主流であることが強調された結果、クライトン監督がその流れに完全には乗り切れていないようにも見えました。そのあたりの噛み合わない部分にETUが付け入るのか、早乙女コーチが解決するのかは分からないところです。
二十九号  前号が休載だったので、また先生の健康状態が心配になってきました……。
 前回の617話で、単行本62巻まで掲載できる分が確保できました。そこまでこぎつけるのが先生の精一杯だったのだとしたら、心身を酷使してまで連載を続けて欲しいとは言えません。
 ただ公式にも休載のアナウンスがなく、本誌に掲載されていないのが当たり前という状態は、それはそれで誰も幸せにならないので、隔週連載とか、三週載せて一週休むとか、不定期連載だけれども「次回は○○号に掲載します」とアナウンスするとか、そういう方式に切り替えることはできないものかと思います。
 鹿島が簡単に勝たせてくれないのは分かっていますが、また後藤さんと松原コーチが引き立て役になっている……。
 この二人や永田兄弟の人の良さや楽観的な性格が、結果的にETUの低迷を招いたという方向に話を持って行っているのであれば、一定の説得力はあります。ただ、だからといって彼らが自分を省みて成長するとか、思い切って後進に席を譲るとか、残念ながらこの物語はそういう方向にはなりません。
 いっそのこと、笠野さんが有里ちゃんあたりを担ぎ上げてクーデターでも起こしてくれれば、それはそれで話が盛り上がるのでしょうが、本人にその意志はありません。責任ある立場に立つよりも、上司を引き立て役にしながら、好きなように仕事ができるほうが、本人にとっては楽で、幸せなのでしょう。
 鹿島のコーチは早乙女さん。彼がアップのコマが多いことから「彼がこの試合のキーパーソンです」というメッセージを感じます。

 アンメットは令和の価値観で昭和の物事を判断するのは良くないのでしょうが、ヤングケアラーの大迫少年が、母親によって年相応の成長が見込めない娘の道連れにされているようで、見ていてつらいです。
二十七号  載ってた……。
 公式ツイッターで紹介されていた赤崎君が赤い顔をするコマは、照れではなく苦しみの表現でした。村越さんには自分がブラジル人(名古屋のゼウベルト)をもぶっ飛ばせるフィジカルの持ち主だということを忘れないでいて欲しいものです。
 ETUの先制に有里ちゃんが泣いています。試合終了のホイッスルが鳴るころ、彼女が一体どうなってしまうのか心配になってきました。
 まだ一点取っただけだ。浮かれるな。パッカ君はいつもいいことを言う……。言う!? キョーコちゃんは純粋な心の持ち主だからパッカ君と通じ合えるのか、サッカー観戦初心者だからこそ、先入観のない考えができるのか、両方の可能性がありえます。
 それにしても、圧倒的なフィジカルに物を言わせるパッカくんはやはり村越さんの……(文章はここで途切れている)
 先制されても鹿島は冷静でした。朴さんがいったいどこで「絶妙に嫌な日本語」の数々をマスターしてきたのかが気になります。
 そして、やたらと存在感のある鹿島のコーチは一体何者なんでしょうか……?

 リエゾンは、大輝くんママの恋人の立場から考えるならば、結婚そのものを考え直したほうがよいのではないかと思えました。
 ただ、大輝くんは発達障害と軽度知的障害の疑いがある子だと書かれています。家庭の環境次第では施設での成長が台無しになって「育てにくい」特性が現われ、彼が継父に「しつけのために」虐待されたり、逆に生まれてくるきょうだいに危害を加えてしまったりするリスクは定型発達の子よりも高いと言えるでしょう。
 そういった事情を考えれば、彼がこのまま施設で育った方がいいという母親の言い分は、身勝手ですが理解できます。
 仮に大輝くんが母親の元に戻った結果、最悪の事態が起こったとしても「お母さんと暮らしたいという本人の希望に沿ったからヨシ!」とはならないので……。
二十六号  載ってた……。
 高校選抜には、城島さんも選ばれていました。日本代表のお別れシーンで「村越によろしく」と言っていた記憶がありますから、同い年の村越さんと顔見知りでもおかしくありません。ヘアスタイルが涼しげです。
 そして前回予想したように、五味さんは高校生の時から泣き虫キャラでした。色々な理由でチームメイトが涙するところを、村越さんも城島さんも見てきているとは思うのですが、急造チームで初めて一緒にボールを蹴ったような相手に泣かれて途方に暮れたことでしょう。
 この試合がきっかけで、五味さんはプロ入りを果たしました。何となく、笠野さんに見出された椿くんを思い出します。
 村越さんのシュートは玉置さんに阻まれましたが、赤崎君が押し込んでETU先制。
 鹿島がこのまま終わるとは思えませんが、試合の行方よりも、来週以降もモーニングに掲載されるかのほうが個人的には気がかりです。
二十五号  連載再開。それでも次のモーニングに掲載されるまでは、本当に連載が再開したと思っていいのか、まだ安心できません。すっかり疑り深くなったものです。
 うちのミスターのことなめてもらっちゃ困る。
 休載中、松原コーチと後藤GMと村越さんには基本塩対応の達海監督にどんな心境の変化が……!?
 五味さんと村越さんに因縁があることは、休載前から匂わされていましたが、二人は高校時代に出会っていたのですね。クラブユース選抜対高校選抜がオールスターゲームの前座だったということは、村越さんは全国各地から集結した妖怪……じゃなかったクラブのマスコットたちとも遭遇している可能性があります。高校生には刺激の強すぎる絵面ですが。
 五味さんが高校時代から泣き虫キャラだったのかが気になります。試合後に感極まって同世代の男子に泣かれて、ただただ困惑する村越茂幸くん(高校三年生)の姿は見てみたいです。


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