第一話 驚異の強殖装甲

脚本/武上純希  絵コンテ、演出/越智博之  作画監督/松坂定俊


瑞紀ちゃんのモノローグから今回のアニメは始まった。


青空を見上げたのはいつのことだったろう・・・。

街を見下ろす小高い丘の上で、晶と瑞紀が穏やかなひとときを過ごしている。
が、平和なその静寂は、突然破られた。
青い空を不吉な赤に染め上げられ、災いの色に染まった空の彼方より十二の光が降りてくる。
その中心に輝くのは美しき大天使、獣神将達をお供に従えて荘厳なBGMとともにご降臨のアルカンフェル。
不気味な風とともに現れる異形の影によって断ち切られる日常、
襲い来る異形のモノども、爆発炎上する街を逃げまどう人々。
瑞紀が目を閉じ再び開いたその時には、街は獣化兵に蹂躙され炎に焼かれていた。

戦いの荒野へと変わってしまった世界の中で祈る瑞紀。
世界が自分の知るものからまったく違うものへと変貌した事を悟らずにいられない瑞紀だが、
彼女は希望を捨ててはいない、いつか必ず元の優しい世界が還ってくる事を信じている、
いつか再び青空の下で笑いあえる日々が戻ってくる事を。
闇を引き裂き、その光をもたらすものは・・・。

蛹が割れて光りが漏れ出る、その光の中に浮かぶ巨人殖装のシルエット。


オープニング開始
この曲、一番が晶君で二番が顎人君のイメージだと思ってましたが、
最近一番村上さん、二番アルカンフェルにも思えてきました。


Aパート
CGばりばりの三つのユニットが凍結ケースに収められています。

雨の中パトロール中の埼玉県警のパトカーが事故ったらしい車に気が付きます。
この場面、フロントガラスを伝う雨が綺麗です。
原作ではヒッチハイク中のトラブルで運転手を殺してしまったけど、アニメでは単独事故の様ですね。
事故車には不審な男が涎垂らして呻き声を上げている、様子がおかしいと思った警官が男を問いつめ
彼が大事に抱えているバックの中身を強引に見てしまいます、
三つのユニットが覗くが警官には何なのか分かりません。
が、実験体はユニットを奪われるとでも思ったのでしょうか、警官に牙を剥いてしまいます、
仲間を殺され、実験体に銃を向ける警官、しかし撃てません、
異常事態にすくんでしまったのか、人間を撃つという事が思い切れなかったのか、
撃てないまま断末魔の悲鳴が響きます。

トラックの運ちゃんは、欲を出してしまった為に殺されてしまいましたが、
このお巡りさん達は職務熱心が命を縮めてしまいましたね。

晶君おめざめで始まる深町家の朝、
というか、こんな明るい中でよく寝ていられるなと。私ならここまで明るくなる前に目を覚ましてます。
高校生のお部屋にしては綺麗に片づいています、ベッドから机に辿り着く為に踊る必要もなさそうです。
おおっ、晶君の机にはノートパソコンがありますっ、現代風ですな。小説ではパソ通も分からなかったのに。
お父さんと二人だけの朝の食卓、
献立は両目の目玉焼き、ソーセージ四個、トマト、レタス、ポテトサラダ?とトーストにコーヒー。
男二人の食卓にしてはゴーセーです、朝は梅干しおにぎりで済ませている私も見習わねば。
晶君食事しながら半分寝ているのかテレビをボーと眺め、
テレビのついでに窓際を見ると、そこに幼い晶君と両親の映った写真が。
(この話の時点で母君が存命だったならいったいどんなキャラに?
どこぞのかーちゃんのようにバイクで獣化兵蹴散らしたりはしないでしょうから
影からひっそりと見守るキャラになったのでしょうね)
なお今日のゴミ出しは晶君の担当の様です。

晶君の平和で何気ない高校生活の風景・・・、は良いのですが、
何だか晶君、ボーとし過ぎているような。半分居眠りしているような無気力さはなにごと?

放課後、瑞紀ちゃんに引っ張られて総務会に連れ込まれる晶君ですが、
肝心の書記のお仕事も瑞紀ちゃんに気を取られている様ですね。
総務会は会長の顎人君が何故か時間を気にして、早々に切り上げてしまいました。
(小説やOVAでは決定事項なのを知っているので書いておきますが、
この時顎人君はユニットを持ち出した実験体と待ち合わせしていたのです。
実験体に元の身体に戻してやると大嘘を囁いてユニットを盗み出させたのは顎人君だったのでした)
さっさと退室する顎人君を追っかけようとする瑞紀ちゃんですが、
会計の水沢さんに話しかけられている内に顎人君はいなくなってしまいがっかり、
そんな瑞紀ちゃんの姿に晶君もがっかり。

そのころ実験体は追っ手の工作員が迫って来る中、待ち合わせの場所に急いでいました。

場面は学校に戻って・・・、おおアニメに備えてダイエットした哲郎さん初登場、携帯で会話中です。
う〜ん、ガイバーって昭和末期の雰囲気があるから携帯とかが出てくると妙な感じがしますなあ。
瑞紀ちゃんにアリバイ工作を頼まれている模様、そこへなつきさんが強襲、
会報の原稿を催促しております。・・・あのなつきさん、作者殿への催促もお願いしてよろしいでしょうか?
そうそう、このアニメでもSF研の会誌はガリ版なのでしょうか?

実験体はとうとう追いつめられ、いよいよとなればと、爆薬を握りしめます。
大事に持っていた家族の写真を手に、
元の身体に戻ってお前達の元に戻るんだと語りかけていますが、それは叶う筈のない事なのです。
実験体である彼の運命は既に決まっていると言うのに。その事も知らずに利用されているのに。
工作員に取り囲まれ追いつめられて獣化する実験体、
が、おなじく獣化したグレゴールにあっさり押さえられてしまいます。
グレゴールにひねられ、もはやこれまでと、自爆してしまいました。
(今回の実験体の最期は、元の身体に戻るのは不可能だという事、
どのみち長くは生きられないという非情な事実を知らされる事も無く、
ユニット強奪を指示した顎人君に騙された事も知らないままで、
絶望にたたき落とされる事なく死を迎えたから、あんまり悲惨じゃないなと思えてしまいます・・・。
OVAの「騙されたあっ!」が痛すぎたから・・・)

沼のほとりでのんびり会話中の晶君と哲郎さん、
SF研の原稿の手伝いなどを語り合っています。
しかし、この晶君やる気なさ過ぎ、哲郎さんとの会話にも
力というか気というかがはいっていないし、大丈夫なのかという気になります。
晶君は気弱で頼りなさそうに見えるけど芯はしっかりしている子なのに、
これではただのぼんやりさんではないですか。

そこへ爆発で吹っ飛ばされたユニットが落っこちてきます。
煙を噴きつつ、妖しげにきらめくコントロールメタル。


Bパート
実験体が倒れて大量の血がにじみだしています・・・って、
手に握っていた爆薬が爆発した割にはきれいな亡骸ですな。
普通は粉々で跡形も残らないはずですが。(現にコミックスは跡形もないと言ってるし)
怪我の再生待ちのグレゴールは獣化兵のままですが、
(コミックスと小説では変身機能をやられ、OVAでは発狂というオチでしたな)
他の皆さんは吹っ飛んだユニットを探し始めます。
付近に落ちていた一個は発見できましたが、残りの二個の捜索に右往左往しております。

さて、棒きれでユニットをつっつく哲郎さん、表情が間抜けな悪戯小僧のノリです。
原作とは晶君哲郎さんの立場が逆になっていて、
ユニットをいじり回す哲郎さんを晶君が止めようとしています。
触っちゃ駄目だの晶君と、少しぐらい良いじゃないかの哲郎さんが、ユニットを挟んでもめていると、
晶君がメタルをスイッチオン、生き還ったかの如くに光り出したユニットに驚いた哲郎さん、
こいつは危険物と判断したのかなんと晶君にパスッ、
反射的に受け取ってしまった晶君は光るメタルに魅入られたかのように
ユニットを抱きしめて離しませんでした。(あれ?)
そんな晶君の想いに応えるかのように(←違うって)ユニットがはじけて強殖細胞が晶君に襲いかかります。
強殖生物に捕食され苦しむ晶君に怯えて逃げ腰の哲郎さん、
今回のアニメって晶君は呆けているし、哲郎さんは情けないしで、
キャラの性格付けにいまひとつ乗れない・・・、これは困りますね。
まあ初めが駄目駄目だとこの先どう成長していくのかの過程が楽しめると言うのはありますが。

晶君は苦しむ内に沼に落ちてしまい、哲郎さんが一人取り残された所に
ユニット探索ご一行が到着、異形の怪物グレゴールとご対面して腰を抜かして怯える哲郎さん、
容赦なく目撃者の始末をされそうになったその時、
ガイバーT(おっとこの時点では謎のモンスターでした)が夕陽を浴びて颯爽と登場・・・、
なんだけど何か間抜けな感じがするなあ、何故でしょう。BGMがおとなしいからでしょうか。

自分よりも小柄で華奢に見えるガイバーを甘く見たのか襲いかかるグレゴール、
(実はガイバーTの方がグレゴールより百キロ以上も重たい)組み合う二体ですが、
力負けしたグレゴールの両腕がへし折られてしまい、驚いた工作員達がレーザーライフルを取り出します。
今回のクロノスの工作員って銃を携帯しているんですね、
まあ驚いてうろたえるだけよりは緊張感がでてますけど。
両腕を失って破れかぶれのグレゴールの頭を容赦なく潰してトドメをさしてしまったガイバーに驚いて、
ユニットの捜索もほっぽり出して逃走する工作員の皆さん。
後には腰を抜かしたままの哲郎さんが残されました。
怪物(グレゴール)をひねり潰した怪物に自分も殺されると怯えている所に
「哲郎さん・・・。」と頼りない晶君の声が。
意識を取り戻した晶君は、見る見る腐食するグレゴールの死体と水面に映る自分の姿に驚愕、
(OVAのように真面目な顔して手鏡を出す哲郎さんじゃ無くて良かった)
自分が異形の化け物になってしまったと恐れおののき、
「いやだああ。」と絶叫、その意志に反応したガイバーはさっさと殖装を解いて沼へと沈んでいきました。
消えていく抜け殻ガイバーを呆然と見守る二人。
まだ何事が起きたのか理解出来ていない様子です。

そして深夜、人気のない森の中に、最後のユニットを回収する謎の人影が。(誰なのかはバレバレですが)