第十話 追撃へのプレリュード

脚本/ほそのゆうじ  絵コンテ/康村諒  演出/佐々木真哉  作画監督/高瀬言


Aパート
巻島邸でいっぱいやりながら顎人君を相手に作戦会議中のギュオー、
ただの子供を無敵の戦士に変えてしまうユニットの威力に感心しています。
と同時に、深町晶は何故これほどに抵抗するのかと顎人君に質問します。
顎人君は晶君が平穏な日常の生活を守ろうとしているのだろうと推測、
ギュオーはちっぽけな日常にこだわる晶君をこの上無く人間的だと鼻で笑います。
晶君のような少年にとって家族や友に囲まれた何気ない毎日というものが
どれだけ大切かという事が分からないのでしょうね。
だから、その日常を奪えと顎人君に命じ、深町パパが狙われます。

顎人君は深町パパ誘拐の指揮を執りながら
(あれ?今深町パパの事、四十七歳って言った?マスターファイルには四十五歳とあるけど?)
その一方でギュオーを邪魔と考え、ガイバーVとなって急襲します。
ちゃんと扉を開けてから(自分家のドアは壊したくないらしい)「覚悟して貰おう」と丁寧にご挨拶、
ギュオーの方も「はい?」と振り返るのどかな光景でした。
ガイバーVはギュオーに襲いかかり、がっぷりと組み合います。
ギュオーはガイバーVと力比べしながら、「何故ガイバーVの侵入を許した」とダイムを叱りとばします。
が、ダイムは「誰も入れていないと言ってます」とアプトムが通訳、
ここでギュオーは「こいつは何処から・・・、まさか」とガイバーVの正体に思い当たったようです。
そりゃ誰も入ってきていないのに、出現されたら初めから中にいたとしか考えられませんよね。
(今の時点では、テレポーテーションはガイバー世界には存在していないし)
顎人君にしてはうかつな行動です、ダイムが巻島邸を包囲している事を知らなかったのでしょうか。
もしくはギュオーの生存を驚異と感じ、焦ってしまったのかも知れませんが。
ガイバーVはガイバーと互角に組み合うギュオーの力に驚愕、
ギュオーの足元が力比べの重圧に耐えきれずミシッとひび割れました。
相当のパワーがぶつかり合っているようです。
そこへ、アプトム、ソムルムが駆け込んできました。
ギュオーを狙ってガイバーVはヘッドビームを撃ちますが、
ダイムがギュオーを庇ってビームを受け止めます、熱かった様で、ソムルムが気遣います。
「貴様の命、改めて貰いに来る」とあくまでも礼儀正しく挨拶し、
プレッシャーカノンをかましてガイバーVが撤退した後、
人間体に戻って「何があった」としれっと出てくる顎人君が笑えます。
・・・うわっ、ソムルム背が高いっ。

晶君の携帯が通じないと哲郎さんにかけてくる深町パパ、
晶君を心配していますが、何もなかったかと安心しています。
あの〜、何もなくないです、家燃えてます。・・・まさか知らないの?
その電話中にさらわれるというナイスタイミング(?)な深町パパ、
異常を察した晶君、哲郎さんに行って来ますと、瑞紀ちゃんには何も言わず殖装して飛び出します。
瑞紀ちゃんは哲郎さんに説明を要求、今度は哲郎さんも逆らいません。

駅前に辿り着いたガイバーTですが、そこには誰の姿も無く、
ただパパ愛用のカバンが放り出されていました。
ガイバーのセンサーを使って、父の悲鳴を聞きつけたガイバーTは飛び出します。

Bパート
ガイバーVの正体に思い当たったギュオーはヤツは組織内の反乱分子に違いないと
意味ありげに顎人君を見て嫌味をかましています。
ここのギュオーと顎人君の陰険漫才が(かなり)コワイです。

深町パパをさらったもの、ガイバーTの追撃の激しさに
助けを求める誘拐部隊の要請に、自分たちを使ってくれと申し出る損種実験体の三人でした。

公園ですべての話を聞いた瑞紀ちゃんは自分も心配していたのに、
晶君が護ってくれていたのに、何故話してくれなかったのかと文句を言います。
哲郎さんは、晶君が瑞紀ちゃんには知られたくないと嫌がった事、
その理由は瑞紀ちゃんの事が好きだからと告げました。
全然気づかなかったとは言わせんと少々きつい哲郎さんです。
その二人を顎人君率いる部隊が拉致してしまいます、
よりにもよって憧れの巻島さんに誘拐される瑞紀ちゃんは相当にショックだったでしょう。

深町パパの車を追っかけるガイバーTを損種実験体の三人が見下ろしています。
彼らは生きた研究資料として弄ばれてきた日々を思い返し、
なんとしてでもガイバーを倒して、自分たちの価値をしめしてやると燃えまくっています。
例え戦って死んだとしても、このまま人間と認められず
実験体以下の扱いしかされないままよりはましだと考えているようです。
屈辱の日々との決別という悲壮な決意と共に、
半月をバックに気合いを入れるアプトム、ダイム、ソムルム。

何故でしょう、真面目な場面なのに、この三人の揃い踏みを見ていると、
「この三人をお供に、天竺にお経を取りに行かねばならない」と思ってしまいます・・・。

深町パパをさらった車を追いかけていたガイバーT、(その後をつけるのはストーカー村上さん)
車の中の深町パパを気遣い、下手な攻撃が出来ずに攻めあぐねている内に
ダイムが同化した林に突っ込んでしまい、絡め取られてしまいます。
これって上向いて歩いていたら、ドブに足突っ込んだと同じ感覚でしょうか。

動けないガイバーTに、アプトムはガイバーに擬態して迫ります。
その様子をストーカー村上さん(←それ違う)が覗き見しています。
なすすべなく偽ガイバーに切り裂かれそうになるガイバーTの姿に
「いかん」とダイムの枝を撃ち抜き、ガイバーTの片腕を自由にしてくれます、
そのおかげでアプトムの攻撃に反撃出来ました。

が、ガイバーTは今度はソムルムの生体融縛粘体で両腕を封じられ、村上さんも怒ったダイムに捕らわれます。
村上さんを殺すと脅されてあせるガイバーTですが、逆に村上さんに諭され、
アプトムガイバーが偽者と気づき、だから奴らは武器と足を狙ってきたのかと悟ります。
二人共に動きを封じられ、このままではマズイと判断した村上さんが、思念波でダイムに「二人を放せ」と命令、
村上さんの思念波に騙されたダイムは、ガイバーTと村上さんを解放してしまいます。
自由になったガイバーTは、自分が倒れたら、誰が父さんを助け出す、誰が哲郎さんと瑞紀を護る、
自分は負けるわけには行かないと叫んで気合いとともに融縛粘体を引きちぎり、メガスマッシャーを撃ちました。
(せっかくの名シーンなのに、原作のように血しぶきが上がらないのでいまひとつ迫力不足でした)

損種実験体の三人と晶君、それぞれが背負っているモノの重さがぶつかり合いました。

メガスマッシャーからアプトムを庇ったソムルムは消滅、
アプトムは片腕を吹っ飛ばされてしまいます。
「何故二人を放した」と、アプトムに叱られるダイムですが、
ダイムは命令に従っただけなのにとオロオロしている内に、
高周波ソードの振動を叩き込まれて倒されてしまいました。
・・・いや、晶君が勝利するのは良いんですけど、
損種実験体三人の悲痛な願いを知るだけに、何か後味の悪い勝利でもあります。
でも晶君もまた倒れる訳にはいかない事情がありますからね。
アプトムは恨み骨髄ですが、作戦は成功、撤退しろとのギュオーの命令には逆らえず
「瀬川兄妹も深町パパもクロノスが捕らえた」と捨て台詞を残して撤退していきました。

哲郎さん瑞紀ちゃん、深町パパまでさらわれ、
こんな事になるのなら初めから奴らの言う事を聞いていれば良かったとヤケになる晶君に
「本気でそう思っているのか、深町晶君。」とストーカー村上さん(←だから違う)が声をかけます。