第十七話 悪夢の包囲網

脚本/杉原由紀  絵コンテ/井之川慎太郎  演出/斎藤徳明、井之川慎太郎  作画監督/松坂定俊


Aパート
洞窟の中で一人膝を抱える瑞紀ちゃん、先刻のアプトムと晶との戦いを想い、一人で震えています。
巨大すぎる敵を相手に絶望的な戦いを続ける晶、ボロボロになっても戦い続ける彼と比べて
ただ怖がっているだけの自分、逃げようとしているだけの自分に比べて晶は・・・。

こちらは超獣化兵四人衆(ザンクルスがやられたから四人になってしまった)が、
ガイバーTとアプトムとの戦いの跡を調べています。
アプトムが放った熱戦の跡に不審を抱くゼクトール、これほどの高熱量のビームを撃てるのは
全獣化兵中でも自分だけと聞きようによっては単なる自慢になりそうな事を述べています。
連絡してきた工作員の死も巻き添え喰ったのだろうと言うエレゲンに対し、
「そうだといいが。」と怪しんでいる辺りはさすがです。
四人でのんびり仲良く話している所に割り込んでくるバルカスの思念波・・・って、
なんじゃこの巨大映像はっ。
テレビ映像で分かり易く見せたいのは分かるけど、
思念波会話にこんな映像が浮かんでくる訳ないでしょう、四人衆も跪くんじゃありませんよ。
ほら、でっかいバルカスに気を取られている間に後ろから怪しいモノが迫ってますよ。
バルカスは、ガイバーTが捕捉できていない不手際を詫びるゼクトールに
工作員の報告にあったタイプ不明のガイバーを圧倒する獣化兵についての疑惑を語ります。
そこへしゅるしゅると伸びてきた腕が、怪奇映画のノリでエレゲンを捕まえて林の中へ引きずり込みました。
えらく静かにさらわれてますね、原作のように「助けてくれぇぇっ。」とじたばたしていません。
助けようとするゼクトール、ダーゼルブ、ガスターに近寄るなと警告したバルカスが
エレゲンに電撃でとりついたモノを吹き飛ばすように命じます。
電撃を放つエレゲンですが、既に食らいついたモノを吹き飛ばすだけの力は残ってはおらず、
肩口に乗っかったモノの姿を一瞬浮かび上がらせただけに終わりました。
電撃に照らされ正体が露見したアプトムを叱責するバルカスですが、
アプトムは電撃の余波で燃え上がる林を背景に、ガイバーとの戦いで損なった身体を回復させるために
エレゲンの肉体を滋養とさせて貰うと言い放ちます。
さらに自らが既に獣化兵などというちっぽけな存在ではなく度重なる調製実験の結果、
融合捕食により自己進化していく戦闘生物と化した事、獣神将の精神支配からも解き放たれた事を語ります。
この辺のアプトム、一人舞台でもやってんのかと言いたくなる位自分に酔っぱらっているのが笑えます。

エレゲンをしなびたウナギにして食い尽くしたアプトムにダーゼルブの炎が襲いかかりますが、
熱に強い身体を得たアプトムにはダメージを与えられず、逆にヴァモアビームを浴びてしまいます。
全身から煙吹いてるけどなんとか無事のダーゼルブ、さすがに頑丈です。
続くガスターの全弾斉射攻撃を逃れたアプトムは、
何のつもりか三日月をバックに電撃触手をマントの如く広げて見せるというポーズを決めて
「次は貴方がターゲットだ。」とガスターに捨て台詞を残して姿を消しました。
最後まで何かを勘違いしたままのアプトムでした・・・。

エレゲンを失い三人衆となった超獣化兵達は、あまりにも怖ろしい戦闘生物の出現に戦慄するのでした。

自分が倒した筈のアプトムが不気味な復活を遂げているとも知らずに
疲れた表情で瑞紀ちゃんの元へと戻る晶君、
あれ? 戦いながら移動していたのに、ちゃんと元の場所に戻れていますね。
殖装解く前に位置確認しておいたのでしょうか。
出迎えてくれた瑞紀ちゃんは、いきなり「遅い」と晶君を叱りつけます。
心細さに震えていた反動なのかやたらと攻撃的です、
瑞紀ちゃんてこんなに状況も考えずに我が儘言うタイプじゃ無いと思ってたけどなあ。
一通り文句を言い終えると緊張の糸が切れたのか、無事に戻ってきた晶君に「無事で良かった」と抱きつきます。
・・・おい、文句言う前にまずその一言を言うべきじゃないですか?
と外野は苛々してますが、晶君ときたら瑞紀ちゃんと二人っきり、
しかも段々と盛り上がってくる雰囲気にひたってしまって、
あさっての方向に気持ちが行ってしまっている模様。(勝手にして下さいな)


Bパート
朝になりました、綺麗な水の流れる川で二人がはぐれた皆さんの事、
今後の事等を話していますが、晶君瑞紀ちゃん共に様子が変です。
二人でいまさら何を意識しあっているのですか?
何故に頬をそめますかぁ?
民放だったらコマーシャル時間帯に何があったのですか?(←おばさんモード発動中)
・・・晶君は、照れ隠しに石を投げたりして誤魔化してくれました。

晶君の提案で人の多い場所、町に出てみる事にした二人です。
クロノスも人目のある所では派手な真似は出来まいと思っているようです。
ところで、瑞紀ちゃん、原作の有様になっている訳ではないので、
不自然に晶君の服を羽織る位なら、破られた服のままでも構わないような気がするのですが。
どっちのスタイルにしても通報モノな事に変わりは無いですし。

竹代町を歩く二人をつける工作員、バルカスは獣化してでも捕まえろと指令を出します。
あれ?封鎖する用意があるのは竹代町だけですか、N市全域では無かったのかと。
町中にも関わらず獣化したガーゴイルに押し倒され・・・、ではなくて押さえ込まれた晶君、
こちらも町中で通行人もいっぱい、瑞紀ちゃんもすぐそこにという状況なのに殖装をかまします。
衝撃波でガーゴイルが飛ばされますが、至近距離にいた筈の瑞紀ちゃんは何ともありません。
これなら手錠で繋がれていても・・・、あっアニメではあの場面が無しでしたね・・・。
ガイバーTの復活を確認した三人衆(Aパートで一人減ったからね)は出動を願い出ますが、
まだ悪辣振りが健在のバルカスは、別の手段でガイバーTを追いつめようとします。
晶君は殖装したものの、通行人に被害が出る事を恐れてヘッドビームが撃てません。
ぶん殴るか、蹴飛ばすか、高周波ソードで斬るかが攻撃の限界なのです。
そこへ旦那さんが友人が獣化兵へと変貌していく姿を目の当たりにした住民達の悲鳴が響き渡ります。
次々と獣化していく竹代町の住人達に襲われるガイバーTは、やっぱり攻撃が出来ません。
パパが獣化してしまった女の子の泣き声が晶君を苦しめます。
戦うことが出来ない為、看板や電柱をなぎ倒して混乱させた隙に建物の屋上へと一時退避しました。

屋上でのんびりと民間人獣化兵について語り合っている二人、(←さっさと逃げろよっ)
「それじゃまるで・・・。」「父さんと同じ・・・。」
自分でも気づかない内に調製されてしまい、思念波の指令で獣化させられて、
本人の意思でもないのに戦わされている一般市民達。
逃げるためには戦わなきゃならないが、その相手も殆どが犠牲者なんですから戦えるわけがない。
かといっておとなしく捕まる訳にはいかない、どうすれば良いんだよのガイバーT、
瑞紀ちゃんをおぶって飛んで逃げようとします。
が、生身の瑞紀ちゃんを背負っていては高空に上がる事が出来ません、
結果はヴァモアたちの生体レーザーの射的でした。
飛ぶのは諦め、屋根から屋根へと跳躍移動に切り替えて逃げていきます。
瑞紀ちゃん、きゃあきゃあ言ってると舌を噛みますよ。

なんとか逃げ延びたと一息ついたら、
「はあいご苦労さん。」と獣化兵の皆さんが現れて包囲されてしまいました。
殖装を解いて我々と来いと迫るガーゴイル(こいつは正規の工作員ですな)は
ガイバーTは深町パパと同じように何もしらないまま調製されて操られている民間人獣化兵と戦うなど
出来ないだろうと嘲笑います。おいおい、そんなにいい気になってるとえらいことになるぞっと。
ほら、背後から忍び寄ってきたガイバーVにまっぷたつにされちゃいました。
絶体絶命状態のガイバーTを助ける為に現れたガイバーVは
何の躊躇いも無く民間人獣化兵をメガスマッシャーで一掃してしまいます。
(・・・ACTUでは「彼らは操られているだけの一般市民だあっ。」と哲郎さんが叫んでましたっけ)
ただこの場合のガイバーVの行動は
人道的には非道であっても戦闘中の行為としては正しいモノなんですよね、
自分や仲間を守るためには敵を倒さなくてはならない、それが気の毒な犠牲者であったとしても。
彼らを正気に戻す方法や、それを行うだけの時間の余裕があれば話はまた別ですが、
今の場合ではどうしようも無いですし。
(某漫画でも人質にされた挙げ句に洗脳ガスを吸わされて襲ってきた人達を
「可哀想だけど。」ですませてしまう場面がありましたっけ)
そもそも何も知らない一般市民を調製、無理矢理獣化させてけしかけておきながら、
こんな可哀想な連中と戦おうって言うのかと迫ってくるクロノスも良い根性しています。
そして見事に引っ掛かってしまう晶君と、んな事知るかとばかりに片付けてしまう顎人君。
性格が良いと良い性格の違いを見てしまいました。

一般市民を容赦なく灼き払った事に納得がいかない晶君に、
「元の身体に戻れない彼らを救うのは、ひと思いにあの世に送る事だ。」と言い切る顎人君でした。
う〜ん、原作の「この俺を前にして云々〜」が無かったのが残念でした。

顎人君は沈んでいる晶君瑞紀ちゃんに、哲郎さん達の無事を知らせて
今自分たちはある所にかくまわれていると告げるのでした。

その場所とは、遺跡基地である魅奈神山最下層・・・。



変だなあ、何故か今回のコメントは進み具合が悪かった、
確かにだるい展開ではあったのだけど。