東京メンネルコール 第54回東京都合唱祭参加


場所:ゆうぽうと簡易保険ホール/1999年6月27日(Sun)

レポート:和久井氏(S62)&丹羽氏(H2)

まさかの神がかり的超名演で狂喜乱舞


東京メンネルコールは、6月27日ゆうぽうと簡易保険ホールにて行われた第54回東京都 合唱祭第2日に出場。多田武彦「若しもかの星に」より「1.若しもかの星に」「6.遠いところ で子供たちが歌つてゐる」の2曲を演奏しました。

毎度の事ながら、綱渡りが大好きなサーカス合唱団。当日朝の最終練習で、まだ音取り をやっている・・・。音楽的な内容まで踏み込んだ練習はほとんどできず、しまいには「大 丈夫、本番までまだ6時間もあるよ」などという居直り発言まで飛び出す始末。それでも、 都合で遅れて来た人たちが現れて人数が増え、徐々に響きが安定して来ます。遠方から 駆け付けて下さったのは、長野から内海さん、栃木から天海さんのお二人。いつも本当に ありがとうございます。

本番直前にようやく確定した出演メンバーは、各パート4名ずつの計16名でした。珍しく バランスが良いね、などと言っているうちにリハーサル。どうやら恥をかかない程度の演 奏は出来そうだ、ということを確認し、たいした緊張感も持たずに本番を迎えました。

人見記念講堂の東西四連とぶつかってしまったためか、客席はガランとしています(そう 言えば、来年の明立も合唱祭と重なりそうです。学生団体の側が、日程を決める際にもう 少し配慮してくれたらなあと思います)。河野団長のしみじみとしたご挨拶に続いて、演奏 開始。練習中なかなか揃わなかった出だしの3連符がピシャリと合ったことに気を良くして、 暗い曲調のバラード(?)を破綻なく歌い進めます。終わりのA-durの和音もまずまず。

そして2曲目。早いテンポの歌い出しの部分、練習ではうまく行ったためしのないトップと セカンドの長三度が、なぜかちゃんと三度で鳴っている! これで一同大いに盛り上がり、 緒方さんの歯切れの良い棒に従って軽やかなリズムを刻みながら、音楽を前へ前へと 進めていきます。あ、トップが調子に乗りすぎて上ずりだしたぞ、と思う間もなくコーダへ 突入。わずかにパート間のテンポがバラけて、おっと危ない、と思ったところへ最後のフェ ルマータでした。ゆうぽうとのステージでは、他パートの音がワンテンポ遅れて返ってくる ため、全体の響きが良くわかりません。まあまあの演奏だったと思うけど、と半信半疑の ままステージを降りました。

打ち上げ会場に移動し、ビールで乾杯しながら、客席で録音したMDと、天吊りマイクで 収録したカセットを、一人ずつウォークマンで聞きました。すると、ヘッドホンをつけている 者の目付きが変わり、「これはすごい!」と声を上げる。まさかと思いつつ、私も聞いて みました。そして一言「こ、これ、本当に僕たちの演奏?」・・・。

驚くほど鮮やかな、気持ちの良い演奏でした。特に見事だったのはトップ。高い音になれ ばなるほど輝きを増していく、艶のある伸びやかな声! そのトップに、安定したピッチを 保ちながら、セカンドがぴたっと付いて行く。バリトンは張りのある声で巧みに和音を決め て行き、定評あるベースは今回も、柔らかくしかも深みのある音を朗々と鳴らしている。 黙って聞かされたらとても16人のアンサンブルとは思えないほど、全体の響きが豊かで、 しかも音色は明るく、リズムは軽やかです。ハモり方も尋常ではなく、トップの上にもう 1パートあるのかと思うぐらい、倍音が終始鳴り続けています。私が本番中に感じた通り、 トップがややシャープしていますが、下3声がフラットせずに持ちこたえているためハー モニーが崩れるまでには至らず、許容範囲内に収まっていたのでした。もちろん、完成度 が高いとは言い難く、細かい粗は探せばいくらでも見付かりますが、それは小さな傷に しか過ぎません。講師の批評も、声の美しさと音色の統一感とで高い評価を与えてくれた ものがほとんどでした。ありふれた選曲ながら、「他の男声合唱団とはスタンスが違う」 ということを発声と音色の違いで主張できた点を、何よりの誇りに思います。

全員が録音を聞き終えたあと、打ち上げのボルテージは上がりっぱなし。「俺達は天才か も知れない!」と叫び出す人までいて、狂乱の宴と相成りました。いやー、こんなにおい しいビールが飲めたのは何年ぶりだろう! 最高に幸せな気分に浸れた一日でした。メン バーの皆さん、本当にお疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

【東京メンネルコール】

■スタッフ
団長:河野正道(S44)
幹事長:鳥潟朋美(S56)
指揮者:緒方秀政(S56)
チーフマネージャー:丹羽善之(H2)
練習指揮者:服部浩巳(S60)/和久井裕(S62)

■出演者 ステージ:17名
Conductor: 緒方秀政(S56)
T1 山崎郁夫(S56),内海修(S59),東嶋賢一(S62),西出芳人(H9)
T2 古閑照也(S58),服部浩巳(S60),丹羽善之(H2),花谷健(H2)
B1 鳥潟朋美(S56),川上英俊(S60),和久井裕(S62),高松浩(H4)
B2 河野正道(S44),天海俊充(S59),安達正(S62),野村慶人(H9)


■審査員の講評

東京合唱祭はいくつかのブロックに分かれ、同一ブロックに所属する合唱団と、ブロック担当の先生が講評するのが通例となっております。そのうち先生の講評を掲載しますので、みなさん是非一度ご一読下さい。
篠田正臣先生 何より声の輝きが特筆すべき所。皆さんの感性、音色共に選曲とマッチしています。 強音でのピッチ、不安定な所、特に高音での脱力に更なる研究を。
田尻明規先生 いい音がしていますね。言葉もはっきりと伝わってきます。 音に不安が時々ありますが、大変立派なコーラスです。 いきいきとしたリズム、明るいつやのある声、とてもチャーミングでした。
片野秀俊先生 とても素晴らしいアンサンブル。何より発声の方向が統一されているのが強みですね。 しかも透明感があり、つやのある音色、特筆ものです。声の年齢的にも今が絶頂期ですね。 歯切れのよいしゃべり口も支えがよくきいていて明確に伝わってきました。Good。
須藤和子先生 共通の経験を持つことの強さを感じる完成度の高い演奏です。同期なのですか皆さんは。 一番忙しい時期なのにこのすごい演奏はやはり「基」は大学にあるのでしょうね。 歌い手の方が聞き手より、男声合唱を楽しんでいるような感じがするほど気持ち良く 歌っておられました。それは聞き手にも心地よさと感動を覚えました。
先生以外に各合唱団からも好評を得ております。東京メンネルのメンバーには鳥潟先輩が 講評をまとめて送付されるとのことです。楽しみにお待ち下さい。


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