第53回滋賀県勤労者美術展にて、絵画の部特選(近畿労働金庫滋賀県本部本部長賞)に入選した作品である。
人間の視野は広いものの、注意深く観察できる範囲は狭い。つまり我々が自分の目で目の前の人を見るとき、または鏡で自分の姿を見るとき、近ければ近いほどその全体像を一度に見ることは出来ず、視線は頭部から足元へと順番に移りながら全体像を把握する。それを絵画で表すとどうなるかをテーマに作成したのが絵である。
理屈を言うと、水平に見る頭部は見たままだが、足元にゆくに従って視線は地面に対して角度が大きくなってゆく。つまり靴は上からみた図になる。実物は立体だが、それを平面に表すとどうなるか。足元にゆくに従って視覚的に修正しながら描くことになる。
こうして描いたのが、『NY氏の肖像』である。美術展では「すっきりとした印象の絵」と評された。額が派手な赤色なのもポイントだという。これは鏡(姿見)をイメージしたのである。「玄関に飾ると格好いいね」と審査員の先生から言われたが、まさにイメージどおりである。
なお上記の理由から、この絵は一目で全体像を見るようには描いていないので、WEBサイト上にては上半身しか掲載しない。もし絵を縮小されてその全部をみると、とてもバランスの悪い絵にしか見えないからである。仮にそうだとしても、我々は目の前の人をそういう風に見ていることに変わりない。
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