『主のいない喫茶店』予告
『――別にこんなものが欲しかったわけじゃないんですけどねぇ』
雨韻亭現主人 蔦壁和泉
「あなた以外、誰も要らない。そんな寂しいこと言っちゃいけないって、そう教えてもらわなかった? 他でもないあの女に」
常連客 山瀬楓
「そのっ、あの、えと――わたしが勝手にやったんですから、そんなお返しにデートだなんて……う、うわあっ。心の準備が済んでませんよおっ」
女子高生 佐々木詩乃
「飲みな。――どうだ、美味しいだろう? 甘く温かくってよ。
坊主にとっちゃ、世界は暖かくも優しくないのかも知れない。でも、全部が全部、そうだって訳じゃない。
ほら。――まず、ここにコップ一杯分。おまえのためだけに、お前さんが幸せだって思うためだけに、確かな一杯がある」
山小屋管理人
「殺すのに、武器も理由も必要無い。――そのような場所は既に踏破している流派だと伺ったが?」
求道者
「まあ、信じられません。戯れにとった弟子に敗れ、挙句、死にそびれて生き恥を晒すだなんて。無様ですこと、御姉様。
――御父様を殺し、御母様を殺し、翠兄様を殺し、砥兄様を殺し、揺葉も流も隆叔父も、直弟子使用人の区別無く殺し尽くしておきながら、今更自分だけは生き長らえようだなんて……
まさか。――本当ニ許サレルトデモ御思イデ?
潰シてヤる。指先一つ、臓物一個、髪の一筋に至るまで形残さずに。只一人、あなたが殺し損ねた妹であるこの私が、あなたを潰して差し上げます!!」
妹
「人間のくせに。すぐに死んじゃう人間のくせに。
―― 一度だって抱きしめてくれなかった、人間のくせにッ!
お前ら壊れやすいくせに、生意気なんだよ!!」
出来損ない
「やっぱあんたバケモノよ! 邪魔だからって……邪魔になるかもしれない気がするからって……どうしてただそれだけのことでそんな簡単に人が殺せるの!」
恩師
「御剣の三刃は、遠・近・内の間合いへの対応でも、その卓越した戦闘能力のあらわれでもない。
刃こぼれしてもまだ殺せるように。血脂で切れなくなってもまだ殺せるように。ただただ一人でも多く斬り殺すために刃物を増やした、馬鹿な殺人狂の証。
それ故の、ただそれだけの『三剣』」
末裔名乗る者
「殺戮者だろうと、人の良い青年であろうと、あなたは、あなた以外の何者にもなれない。
――僕はただ、あなたの淹れてくれた紅茶が好きだった」
超えてしまったモノ 片桐祥一
『私はさ。実は、そんなに嫌いじゃない。
これがある限り、私は君のことを絶対に忘れないし、君も私のことを絶対に忘れない。
殺すとか、返り討ちにするとか、色々物騒かもしれない。けど、でも世界中でたった一人。私は君のことを想って――君は私のことを想い続ける』
先代師匠 大空紅葉
「――離せ。それは、僕だけの人だ」
当代