| 肺気腫の自覚症状 |
| 1. 呼吸困難--初期には動いた時のみ息が切れる感じがします。進行してくると安静時でも息苦しく感じます。 |
| 2. 慢性の咳、喘鳴--タバコのせい、加齢のせいにして放置する人が多い。 |
| 3. 慢性気道炎症の増悪があれば、膿性の痰(たん)が増加してきます。 |
| 肺気腫の他覚所見 |
| 1. 肺の過膨脹を反映して胸郭前後径が増大し、ビール樽状になる。 |
| 2. 胸鎖乳突筋、斜角筋などの呼吸補助筋の活動の亢進。 |
| 3. 口すぼめ呼吸--息を吐くときに口をすぼめるようにして気道がつぶれるのを防ごうと する呼吸方法。肺気腫の人は自然にこの呼吸をするようになります。 |
| 4. 吸気時に頚静脈が怒張する--右心不全の症状。 |
| 5. チアノーゼー唇や爪が紫色になること(低酸素の時にみられます)。 |
| 6. 手足のむくみ--右心不全の症状。 |
| 4から6は、かなり重症例の症状です。 |
| 肺気腫の治療 |
| 大きく生活指導、薬物療法、手術に分けられます。 |
| 1.生活指導:肺気腫の原因、増悪因子であるタバコを完全にやめることがまず肝心です。いくらいい薬を使っても、タバコを吸っていたら全く意味がありません。 |
| また、肺気腫はやせ型のひとに多く、高栄養、高蛋白の食事をとり体重を増加させることは筋力の増強にもつながり、呼吸困難感の軽減に有効です。 |
| 2. 薬物療法:気管支拡張薬、ステロイド、酸素などが挙げられます。 |
a. 気管支拡張薬:テオフィリン、β2刺激薬、抗コリン薬があります。テオフィリンは昔からあるクスリですが、気管支筋に対する作用濃度と中毒濃度が近接しており、血中濃度モニターが必要です。吐き気、不眠、不整脈などの副作用が起こりやすく、また他のクスリの影響で血中濃度が上がりやすく注意が必要です。欧米では今一つこのクスリは軽視されているように思いますが、最近はまた再評価される方向です。
また、横隔膜の筋力を増強するとも言われています、β2刺激薬は気管支筋にある交感神経受容体を刺激することにより気管支拡張効果を発揮します。作用は即効性ですが使い続けているうちに効果が減少することが報告され、通常は症状が強いときにだけ使う頓用で使用します。
副作用としては、 交感神経作用、即ち動悸、手のふるえなどです。
抗コリン薬はβ2刺激薬とは逆に副交感神経をブロックすることで気管支拡張作用を示します。肺気腫のひとの気管支筋は副交感神経優位となっており、これを阻害する抗コリン薬は肺気腫治療薬の第一選択薬と考えられています。 |
b. ステロイド:ステロイドは副腎皮質から分泌されるホルモンの一種で正常人でも存在します。炎症を抑える働きがあり、慢性の気道の炎症と考えられている気管支喘息では第一選択薬です。肺気腫でもある程度の気道炎症が存在すると考えられ、一部の症例では有効です。
なお、β2刺激薬やステロイドは以前は内服投与でしたが、 最近では必要な場所に十分な量を供給し、投与量を少なくして副作用軽減をはかるため、吸入による投与が一般的です。
抗コリン薬は吸入の投与方法しかありません。吸入による投与は吸うタイミング、 息こらえ、うがいの必要性、局所の刺激感などの問題はありますが、医師の指示通りにすれば大丈夫です。また、吸入補助器具(ラッパのようなもの)を使用することにより、効率的に吸入ができます。 |
c. 酸素: 空気に含まれている約20%の酸素では十分に血液中に酸素を取り入れられない場合、より高濃度の酸素を吸入することで最低限の血中酸素濃度を確保することができます。
酸素は病院にはありますが、一般家庭にはないため、現在では酸素濃縮器という器械を業者からレンタルする形を取ります。 酸素濃縮器は空気中の酸素を「濃縮」することで、濃度を20%から90%以上に高める器械です。ある一定の基準があり、
医師の指示箋が必要ですが、現在は保険が通っていますので経済的負担は軽くなっています。 |
3. 手術:肺気腫は肺がのびきってしまい、十分に換気ができない状態です。そこで、重症例ではのびきった肺の一部を切除する手術が一部施設で行われています。内科的薬物療法や運動療法をきっちりやっても改善が思わしくなく、かつ肺が部分的に気腫状の変化を起こしている人に限られます。肺が全体的に気腫性変化を起こしている人には適応が有りません。また、手術自体による危険もあります。
手術直後は状態が改善しても、 2年、3年とたてば再び呼吸困難が出現する可能性もあります。 |
| 肺気腫の急性増悪 |
| 肺気腫のヒトは抵抗力が正常人より弱いことが多く、風邪をひきやすく、かつこじらせやすいのが特徴です。肺炎が起ころうものならひどい呼吸困難となります。こうなると、入院が絶対に必要です。呼吸不全の状態が強ければ、人工呼吸器装着も含めた集中治療が必要となります。普段から体調の維持につとめ、風邪の初期に早めに医療機関を受診することが肝要です。 |
| おわりに |
簡単に肺気腫についてまとめました。 先進国でも 有数の喫煙率を誇る (?) わが国では、今後肺気腫患者の増加が予想されます。肺気腫にならないためには、一に禁煙、二に禁煙です。また、肺気腫と診断されてもタバコをやめることでその進行度合いを遅くすることができます。
「最近階段の昇り降りで息が切れる」というひと、特にスモーカーのひとは年齢のせいにせず、一度呼吸器科の診察を受けられることをおすすめします。 |