●労災事故多発中!ご注意ください。●

 西多事務所では、年間100件程度の労災事故を取り扱っています。今年に入ってからは、今までになくハイペースで事故が起こっているため、心配しているところです。
 今まで労災事故の発生したことのない事業所様も他人事とはいえません。万が一発生したときの対処方法を知っておいていただきたいと思います。



●事故が発生したら・・・●

@ずはけが人を病院へ連れて行ってください。

A病院の窓口では、仕事中のけがであることを伝えてください。仕事中のけがの治療は健康保険ではなく、労災保険を使います。仕事中のけがである旨を伝えずに、健康保険証を見せて病院にかかってしまうと、健康保険扱いにされてしまいます。そのまま時間が経ってしまうと、労災保険扱いに切り替えてもらう手続が大変になります。

B顧問先の場合は西多事務所までご連絡ください。労災保険を使って治療を受けるための書類を至急作成いたします。


★かかったのが、「労災指定病院」(労災保険を取り扱っている病院)の場合
  
→「療養の給付請求書」(様式5号)という書類を作成しお渡ししますので、事業主の印と本人の認印を押印後、至急病院に提出してください。本人は治療費を窓口で支払う必要がなくなります。すでに支払った分は窓口で返金されます。

★かかったのが、「労災指定病院」ではない場合
  →かかった治療費は、いったん病院の窓口に全額支払い、後から労働基準監督署へ請求して払い戻してもらいます。「療養の費用請求書」(様式7号の1)という書類をお渡ししますので、病院で医師の証明を記入してもらい、治療費を支払ったときの領収書の原本とともに西多事務所までご返送ください。手続後、1ヶ月程度で指定した口座に振り込まれます。

C院外薬局でお薬をもらった場合や、接骨院にかかった場合、転院した場合なども、それぞれ必要な書類を作成し、手続方法を説明の上、お渡しいたします。


●休業する場合●

労災保険から、お給料の8割相当額の休業補償が休業4日目以降支給されます。労災保険から支給されない最初の3日間は、事業主が平均賃金の6割を休業補償として支払わなければなりません。(通勤災害の場合は、事業主に最初の3日間の補償義務はありません。)

●そもそも労災保険って?●

労働基準法により、労働者の業務上の負傷・疾病については、事業主に補償義務が課せられています。「労働者災害補償保険」は、その義務を肩代わりして、治療費や休業補償等を支払ってくれます。ですから、労災保険料は全額事業主負担です。パート、アルバイト等も含めた労働者全員の年間総賃金支払額に、労災保険料率を掛けて算出します。労災保険料率は、業種ごとに決められています。危険度の高い業種ほど高くなっています。


●事業主は、労災保険の補償は受けられないって本当?●
 
「労働者災害補償保険」という名のとおり、「労働者」が対象の保険ですので、事業主や家族・役員は原則として対象になりません。ただし、家族や役員でも、仕事内容や労働条件などを見て、労働者的性格が強いと判断される場合は、対象となる場合があります。
 個別にご相談ください。また、事業主や労働者的でないと判断される家族・役員を対象としたというものもあります。これに加入されますと、労働者に準じた形で労災保険の給付を受けることができます。特別加入できるのは、従業員数が一定以下の「中小事業」の場合に限られますので、これについても個別にご相談ください。


●労災保険を使うと保険料が上がるって聞いたのですが?●
 
確かに、労災保険をどれだけ使ったかによって保険料が上がったり下がったりする制度はあります。「メリット制」といいます。しかし、この制度が適用されるのは、連続する3年度に渡って、「労働者数が100人以上」の事業所や、「労働者数20人〜100人未満であって、災害度係数という数字が0.4以上」の事業所などです。この条件に当てはまらない事業所は、メリット制は適用されていませんので、いくら労災保険を使っても、保険料が上がることはありません。また、メリット制が適用されていたとしても、
1回使ったからといって必ず上がるというものではありません。
(計算方法はややこしいので省略しますが、気になる事業所様はご相談ください。)


●労災事故があると労働基準監督署が調査に来たりしますか?●

 「労災があると監督署が調査に来て、工場の安全設備が整ってないことを咎められるのでは?ついでに残業手当を支払ってないことも見つかってエライことになるのでは?」などと心配するあまり、労災事故を隠したがる事業主さんがときどきいらっしゃいます。死亡事故や重大事故は別として、事故の都度、監督署が飛んでくるわけではありません。安全設備が整ってないことや残業手当の不払いももちろん悪いことですが、「労災隠し」はもっと重大な罪として咎められることになります。