■ご存知ですか? 社会保険料のしくみ 

 西多事務所では、毎年この時期に行う「算定基礎届」の作成業務が完成に近づいてきたところです。「算定基礎届」とは、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入している方の年1回の保険料見直し手続のことです。そこで、今回は、「社会保険料ってどんな風に決められているの?」その他、社会保険料に関するよくある質問にお答えします。


◆Q1.社会保険料はどんな風に決められているのですか?

 
→ 社会保険は月々のお給料が変動しても定額です。決定・改定されるのは次のときです。

@ 資格取得時の決定
 社会保険に加入(資格取得)する際、その方の給与の見込額を「標準報酬月額」の表に当てはめて決定します。その際、額が確定している基本給等のみで決めるのではなく、残業手当等の不確定な手当についても、見込額を足して決めます。見込み違いなどにより、当初の予定と大幅な相違が出たときは、加入時に遡って訂正します。

A 定時決定(算定基礎届)
 毎年、4月、5月、6月に支払われた給与の平均額を「標準報酬月額」の表に当てはめ、 全員一斉に保険料の見直しをします。新しい保険料はその年の9月以降適用されます。

B 随時改定(月額変更届)
 次の3つの条件が揃ったときは、給与の変更から4ヶ月目に保険料が改定になります。
・基本給や毎月定額の手当(「固定的賃金」といいます。)に変更があったとき
・変更から3ヶ月間の給与の平均額が、従前の「標準報酬」と比べて2等級以上変動したとき
・その3ヶ月間すべて17日分以上の賃金が支払われているとき
   (今年7月より、「20日以上」から「17日以上」に変更されました。)

C 育児休業終了時の改定
 育児休業終了後3ヶ月間の給与の平均額が、従前の標準報酬と1等級でも
差が出たときは、本人の希望により保険料が4ヶ月目に改定されます。



◆Q2.4月〜6月に残業が多いと保険料が高くなるって本当?

 その通りです。Q1のAの通り、毎年4月から6月に支払われた給与に基づき、その年の9月から1年間の保険料が決まります。その後、残業が減ったとしても改定はされません。なぜなら、Q1のBの「随時改定」は、「固定的な賃金」に変動があったときのみ行うのもので、残業手当のように、もともと毎月変動する手当(非固定的賃金)がたまたま減っただけでは、改定できないことになっているからです。
 ちなみに雇用保険料は、月々の総支給額にその都度、保険料率を掛けて算出しますので、残業の少ない月は、保険料も安くなります。

◆Q3.退職時に保険料が二重取りされた?!

  退職者の方からこの件で電話がかかってくることがよくあります。「6月末に会社を退職したので7月1日から市町村の国民健康保険に加入し、7月分の保険料を支払った。給与の締め日は15日で支払日は25日の会社だったので、6月16日以降の半月分の給料を7月25日に受け取ったが、社会保険料が引かれていた。7月は二重取りされるの?」
 これについては、「二重取りはされていません。」というのが答えです。なぜなら、社会保険料は、原則として、1ヶ月遅れで天引きしているからです。つまり、上記のケースで7月のお給料から引かれているのは、6月分の保険料ということになります。ですから、重複はしていないことになります。ただし、事業所によっては、当月分の保険料を当月に天引きしている場合もあります。その場合、7月のお給料からは引いてはいけなかったことになります。給与計算担当者の方は、分かりにくい場合は、その都度、西多事務所にご相談いただき誤りのないようよろしくお願いします。


 
◆Q4.1,000円昇給で手取りが1,256円下がる?!
 
 「エーッ?!」と思われるかもしれませんが、そういうことが発生する場合もあります。
社会保険料の計算の基礎となる「標準報酬」は、給料の範囲が330,000円以上350,000円未満の場合は「340,000円」(20等級)、というように、段階的に等級が決められています。同じ等級の範囲内での昇給であれば、保険料は上がりませんが、わずかでも昇給することにより、次の「定時決定」で標準報酬の等級が1つ上がれば、保険料が上がります。その上がり幅が、昇給額を上回っていれば、手取り額は減ってしまうことになるのです。下の例は、4月に1,000円昇給し、定時決定で標準報酬が1等級上がってしまって、9月以降保険料が上がり、手取りが1,256円下がったケースです。(実際には9月に厚生年金保険料率が上がるのでさらに手取りは減ります。)