最低賃金制度は、国が法的な強制力をもって賃金の最低限度を定め、使用者にその額以上の賃金を支払うことを義務付ける制度です。したがって、使用者と労働者が話し合って、最低賃金を下回る額による賃金で働くことを決めても、その下回る部分は無効となり、無効となった部分は最低賃金の水準に引き上げられます。今回、最低賃金の決定基準や減額特例導入、罰金の上限額、派遣労働者への適用などについて大きな改正が行われました。

 ●1●最低賃金額の表示が時間額のみになります。

@、平成14年10月から、ほとんどの最低賃金が時間額表示のみとなっておりましたが、一部に日額方式の最低賃金も存在しておりました。

例・・・滋賀県塗料製造業地域的最低賃金
 
日額 6,640円  時間額 830円(発効年月日 12.5.10)

しかし、今後は、最低賃金の金額改正が行われる際に、時間額のみの表示になります。


A、ちなみに、日給でお給料を決める事業所様も結構あります。この場合は、その支払額が最低賃金額以上であるかどうかを調べるには、賃金額を1時間当たりの金額に換算して比較することとなります。

例えば、滋賀県の会社に勤めるAさんは、日給5,000円、1日の所定労働時間8時間で働いていたとします。これが滋賀県の最低賃金677円を上回っているかどうかを確認するには、「(日給額)÷(1日の所定労働時間数)」を計算し、それと677円を比較することになります。

例をこの式に当てはめると、5,000円÷8時間=
625円となり、滋賀県の最低賃金額677円を下回っていることになります

 ●2●最低賃金額の減額特例が新設されました。

@、改正前の最低賃金法では、都道府県労働局長から最低賃金適用除外許可を受けた労働者には、最低賃金の効力についての規定は適用しないこととされていました。
ある監督官から聞いたのですが、それを逆手にとって「最低賃金の適用を除外されたのだから、時給100円でも構わん!」と発言する使用者も存在したようです。

そのようなトラブルも含めて、法律上適用除外とするよりも最低賃金を適用した方が 労働者保護に適切であることから、適用除外規定を廃止し、減額特例規定を導入することとなりました。よって、減額した額ではありますがあくまでも最低賃金の効力については適用されることとなります。

A、なお、最低賃金の減額特例の対象となる労働者は、次のとおりとなっており、所定の様式にて減額特例許可の申請を行い、許可を受ける必要があります。

1、精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
2、試の使用期間中の者
3、認定職業訓練を受けている者
4、軽易な業務に従事する者
5、断続的労働に従事する者

※許可を受けなければ、これらの者であっても原則通りの最低賃金額が適用されるので注意が必要です!



B、すでに許可を受けて最低賃金法が適用除外となっている労働者については、ただちに、減額特例許可を申請する必要はありません。施行日(平成20年7月1日)から1年の間に、新たに最低賃金の減額特例許可を受ける必要があります。西多事務所関与先でも、全員で40名ほど最低賃金の適用除外を受けている方がおられますが、許可の有効期限等を勘案し、個々の事業所(労働者)毎に打合せをし、申請をすすめさせて頂きます。


●3●派遣労働者には、派遣先事業場に適用される最低賃金が適用されます

 
改正法の施行によって、派遣労働者には、派遣先事業場に適用される最低賃金が適用されることになります。したがって、派遣元事業者は、労働者派遣をしている事業場に適用される最低賃金額を把握する必要があります。

●4●罰則の強化等がなされました。

以下のように、罰則が強化されています。
【改正前】
地域別最低賃金を下回る額を支払った場合の罰金額の上限は2万円



【改正後】
@、地域別最低賃金を下回る額を支払った場合の罰金額の上限は50万円

A、法令違反の事実を労働者が監督機関に申告する制度を新設


 
これまでの罰金額があまりに低かったので改定されたほか、今まで労働者が違反の是正を求めて、法違反を申告することが規定されていませんでしたが、申告できる制度が創設されています。ただし、労働基準法のように、使用者を呼び出す権限までは定めていないため、今後も労働基準監督署が行う労働基準法の遵守状況の調査等に合せて最低賃金法違反も調べることになると考えられます。
最低賃金関連でご不明な点がありましたら、西多事務所までご連絡ください!