過日発表された、5月の完全失業率は5.2%、有効求人倍率は0.44倍と過去最悪を更新するように雇用情勢は依然厳しい状況が続いています。そんな雇用情勢の悪化を受けて、雇用拡大のため頻繁に助成金の支給要件が見直されています。今回は、6月8日に条件が拡充された「ジョブカード」制度を利用した職業訓練でキャリア形成助成金などを活用する方法について、ご案内いたします。この制度を活用すれば、訓練期間の人件費等のかなりの部分を助成してもらえる可能性があります。

1、ジョブカード制度とは?

「ジョブカード」とは、職業訓練を受けた場合、そこで身につけた技能や評価などを記した「評価シート」などの文書の総称です。正社員として経験が少ない労働者が、事業所における実習(OJT)や座学(Off―JT)を組み合わせた実践的な職業訓練を受講し、訓練終了後、能力や職務、免許・資格取得などの情報をまとめた評価シート「ジョブカード」の交付を受け、一定の職業能力の証明書として、その後の就職活動やキャリア形成に活用する制度です。今回紹介する職業訓練終了後に「ジョブカード」により、事業所が職業能力の評価を実施すると助成金が出る仕組みとなっています。
















2、助成対象となる職業訓練について 
■その1、認定実習併用職業訓練(実践型人材養成システム)
厚生労働大臣の認定を受けて実施する職業訓練です。

●対象者・・・15歳以上40歳未満で以下の@又はAに該当する者
@ 新たに雇入れた雇用保険の被保険者又は被保険者になろうとする者
A 既に雇用している短時間等労働者(訓練開始日と同日付で通常の労働者「正社員」に転換される場合に限る)

●訓練コースの基本要件
・企業内におけるOJTと教育訓練機関で行われる訓練(Off―JT)の効果的な組み合わせによる訓練であること。
・実施期間が6ヵ月以上2年以下であること。
・総訓練期間が1年当りの時間数に換算して850時間以上であること。
・総訓練時間に占めるOJTの割合が2割以上8割以下であること。
・訓練終了後に評価シート(ジョブカード)により職業能力の評価を実施すること。
・訓練の指導及び能力評価に係る担当者及び責任者が選任されていること。


●助成内容

中小企業

大企業









職業

訓練







Off

―JT

経費に対する助成(外部研修機関に支払う受講料など)


4/5


2/3


Off―JT時間支給上限額】

300時間未満は20万円

300600時間未満は30万円

600時間以上は40万円


事業主自ら運営する座学等の認定職業訓練実施に係る助成


800
/Off―JT1時間・受講者1人当たり【上限680時間】

       ―


訓練実施中の受講者の賃金に対する助成

4/5

2/3

OJT


訓練実施に対する

助成


800
/OJT1時間・受講者1人当たり 【上限680時間】


600
/OJT1時間・受講者1人当たり

【上限680時間】


訓練実施中の受講者の賃金に対する助成

4/5

2/3


能力評価


評価シートの作成・交付に対する助成額

1人当り4,880


ジョブカード制度により初めて雇用型訓練を実施した場合(1回限り)

20万円




■その2、有期実習型訓練
職業能力形成機会の少ない方に対して、企業内におけるOJTと教育訓練機関等で実施されるOff―JTを効果的に組み合わせて実施される有期で実施する訓練です。

●対象者

イ、(基本型)職業能力形成機会に恵まれない方(原則として、訓練をする業界において過去5年以内に3年以上正社員として働いたことが無い方「卒業後6ヵ月以内の新卒者も対象外」)
として、キャリアコンサルタントが認めた人

ロ、(キャリアアップ型)自社内のパート労働者等の非正規労働者でキャリアコンサルタントが認めた、次の@又はAのいずれかの雇用契約を締結している人
@ 期間の定めのない雇用契約を締結している労働者であって、1週間の所定労働時間が通常の労働者と比べて短く、30時間未満の人
A 期間の定めある労働契約を締結している人


●訓練コースの基本要件
・企業内におけるOJTと教育訓練機関で行われる訓練(Off―JT)の効果的な組み合わせによる訓練であること。
・実施期間が3ヵ月超6ヵ月以下であること。
・総訓練期間が6ヵ月当りの時間数に換算して425時間以上であること。
・総訓練時間に占めるOJTの割合が2割以上8割以下であること。
(訓練終了後に通常の労働者に転換する場合は1割以上9割以下)
・訓練終了後に評価シート(ジョブカード)により職業能力の評価を実施すること。
・訓練の指導及び能力評価に係る担当者及び責任者が選任されていること。
・訓練を終了した者の労働契約の更新の取扱いやその基準が定められていること。

●助成内容

中小企業

大企業









職業

訓練





Off

―JT

経費に対する助成(外部研修機関に支払う受講料など)


4/5


2/3


Off―JT時間支給上限額】

300時間未満は20万円

300600時間未満は30万円

600時間以上は40万円


事業主自ら運営する座学等の認定職業訓練実施に係る助成


800
/Off―JT1時間・受講者1人当たり【上限340時間】

       ―


訓練実施中の受講者の賃金に対する助成

4/5

2/3

OJT

訓練実施に対する

助成



800/OJT1時間・受講者1人当たり 【上限510時間】

600/OJT1時間・受講者1人当たり

【上限510時間】


訓練実施中の受講者の賃金に対する助成

4/5

2/3


能力評価


評価シートの作成・交付に対する助成額

1人当り4,880


ジョブカード制度により初めて雇用型訓練を実施した場合(1回限り)

20万円



3、職業訓練にて受給できる可能性のある助成金について

 
■その1、キャリア形成促進助成金
キャリア形成促進助成金は、労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、職業訓練等を段階的かつ体系的に実施する事業主等に対して助成する制度となっています。従来からも顧問先事業所様で、一定条件の社外研修などへ労働者を参加させた場合、賃金や研修費用の一部を訓練給付金とて受給するケースを西多事務所でもお手伝いしてきました。
この助成金が、今回紹介しているジョブカード制度を利用した職業訓練でも活用可能となり、表の助成内容は、キャリア形成促進助成金を活用した場合の助成率や金額です。



 ■その2、若年者等正規雇用化特別奨励金

また、「有期実習型訓練」の場合、訓練修了者(25歳以上40歳未満の方のみ)をその後、正社員として雇用した場合、更に3年間で最大で100万円が支給されます。
 ●支給額

中小企業

大企業

1期(正規雇用から6ヵ月後)

250,000

500,000

2期( 〃 16ヵ月後)

125,000

250,000

3期( 〃 26ヵ月後)

125,000

250,000

合   計

500,000

1,000,000



以上、拡充されたばかりの助成金ですので、まだ詳しい情報が入っておらず、簡単なご説明とさせていただきました。今後、細かい取扱いなどが順次明らかになってくると思われます。また、上記以外にも支給要件や注意点がありますので、詳しくは西多事務所までお問い合わせ下さい。