景気低迷が続く中、今春の大卒の就職率は60.8%と、新卒者の就職活動は一段と厳しさを増しています。「新卒」として就職できなかった既卒者は、「職業経験のない中途採用者」という扱いになり、さらに厳しい状況に置かれることになります。
このような既卒者に対する緊急雇用対策として、新しい助成金が創設されました。

■(1) 3年以内既卒者トライアル雇用奨励金(最大で合計80万円)
 学校卒業後3年以内で就職活動を継続中の方を、まずは有期雇用(トライアル雇用)し、その後正規雇用した事業主に支給されます。

有期雇用期間(原則3ヶ月)→ 対象者1人につき月額10万円(3ヶ月で30万円)
  その後の正規雇用     → 対象者1人につき50万円

中学・高校・専門学校・大学などの学校卒業後、1年以上継続して同一の事業主に正規雇用された経験がない人(具体例は下記の通り)で就職先が未定の求職登録者(40歳未満に限る)が対象となります。
 ・全く働いたことがない人
 ・アルバイトやフリーターだった人
 ・期間雇用者だった人
 ・正社員だったが、1年以内で辞めた人など  

職安の紹介で雇入れることが条件です。「職安で求人票を見て自分で応募してきた」というのは、「職安の紹介」にはなりません。職安で「紹介状」を発行してもらった人が対象です。

職安に対象者を紹介してもらうには、まず「既卒者トライアル雇用求人」を出すこと
が必要です。この助成金の対象者に限定した「専用求人」にする方法と、通常の求人をしながら助成金対象者の求人も行う「併用求人」にする方法があります。「専用求人」にすると、確実に助成金にはつながりますが、なかなか人が集まらないので、「併用求人」にするのが一般的かと思われます。「併用求人」なら、いろいろな人を紹介してもらう中で、上記の条件に合うような人がいれば、助成金対象者として紹介してもらえます。
手続は簡単です。求人の申し込みをする際に、求人申込書に「3年以内既卒者トライアル併用求人」と記入するか、あるいは職安に提出する際にその旨申し出ればOKです。
 現在すでに求人を出されている場合も、「3年以内既卒者トライアル併用求人にしてください」と職安に電話するだけで変更してもらえます。

トライアル期間中に本人が自己都合で退職した場合は、日割りで支給されます。
 また、トライアル終了後、正規雇用にいたらなかった場合も、トライアル期間に対する助成金は原則として支給されます。この助成金は同じ事業所で何度でも受給できます。

受給までの流れは次の通りです。
 
 

職安へ「3年以内既卒者トライアル雇用求人」を出す

                      

職安から対象者の紹介を受け、面接し、よければ採用

                    

原則3ヶ月の有期雇用開始、14日以内に「実施計画書」を紹介職安へ提出

                    

 有期雇用終了後、1ヶ月以内に「実施結果報告書兼支給申請書」を管轄職安へ提出                                                

                    

対象者1人につき、有期雇用期間1ヶ月につき10万円(最大30万円)が支給

                    

正規雇用から3ヶ月経過したら、1ヶ月以内に「支給申請書」を管轄職安へ
提出
                                                 

                    

対象者1人につき50万円が支給


(2) 3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金(100万円)
(2) 3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金(100万円)
 大学等卒業後3年以内の既卒者で1年以上継続して同一の事業主に正規雇用された経験がない人を正規雇用した事業主に支給されます。

正規雇用での雇入れから6ヶ月経過後に100万円が支給されます。

 (1)の助成金は、まず有期雇用(トライアル雇用)をしてから正規雇用に移行しますが、この助成金は、最初から正規雇用する必要があります。

 (1)の助成金は、中卒・高卒も対象ですが、この助成金は、大学、大学院、短大・高専、専修学校等の卒業生が対象です。

 この助成金も職安の紹介で雇入れることが条件です。ただし、職安への求人の出し方が(1)の助成金とは異なります。
  この助成金では、労働条件等が同内容の
「3年以内の既卒者も応募可能な新卒求人」(新卒用の求人票)
「3年以内既卒者のみ応募可能な一般求人」(一般用の求人票)
を同時に出す必要があります。
 職安へ提出時に、この助成金を使いたい旨伝えます。一般求人については、3年以内既卒者に限定したこの助成金専用の求人となります。

 1事業所につき1回限りの支給となります。

 受給までの流れは次の通りです。


職安へ「3年以内既卒者も応募可能な新卒求人」と

「3年以内既卒者限定の一般求人」を出す

                            

職安から対象者の紹介を受け、面接し、よければ採用

                         

正規雇用開始(期間の定めなし、労働時間が通常の労働者と同程度)

                         

6ヶ月経過後、管轄職安へ支給申請


                         

100万円が支給


**ご存知ですか? 以前からある助成金**

@ 特定求職者雇用開発助成金
 高齢者、障害者、母子家庭の母などの就職困難者を、職安等の紹介で雇入れたとき、
30万〜100万円(中小企業は60万〜240万円)が支給されます。

A トライアル雇用奨励金
 
40歳未満の若年者、45歳以上の一定条件の中高年齢者、障害者、母子家庭の母などの就職困難者を、職安の紹介で原則3ヶ月間の有期雇用で雇入れ、その後の正規雇用を目指すときに、トライアル期間1ヶ月につき4万円(最大で4万円×3ヶ月=12万円)が支給されます。

B 若年者等正規雇用化特別奨励金
 
年長フリーター等(25歳以上40歳未満で前1年間雇用保険の被保険者になっていない人)を職安の紹介で雇入れたとき支給されます。最初から正規雇用するケース、トライアル雇用終了後正規雇用するケースなどがあります。40歳未満で、採用内定を取り消され就職先が未決定の者を正規雇用した場合にも支給されます。大企業は50万円、中小企業は100万円です。
 

 ※AとBは、今回ご紹介した新しい助成金と一緒で、この助成金の対象となる求人を出しておき、助成金対象者として職安から紹介してもらう必要があります。

「若い人(あるいは高齢者、障害者など)を雇ったのですが、何か助成金はもらえませんか?」というご相談をよく受けます。雇ってからのご相談ではなく、雇う前(それも募集前!)にご相談いただけていたらもらえていたかも・・・というケースが多いです。
 ここまで読んでいただいた方はもうお気づきかと思いますが、雇入れ関係の助成金は、職安の紹介で雇うことが条件になっていることがほとんどです。まずは、職安に求人を出して、職安からの紹介を受けて面接、採用という流れでないともらえないのです。
(ただし、@の助成金については、許可を受けた職業紹介事業者からの紹介でも対象となります。)
ぜひ、人の採用を考えた時点で西多事務所にご相談いただければと思います。