定年退職間近の方、第2の人生への準備は進んでいますか? 年金を始め、健康保険、雇用保険のことなど、定年という人生の節目に行わなければならない手続は数多くあり、慣れない手続に戸惑いや不安をもたれる方が少なくありません。そこで今回は、定年退職前後に必要な手続について説明したいと思います。(一般的な60歳定年の場合でお話します。)



  1、健康保険

 在職中にお持ちの保険証は会社に返却していただきます。

その後の健康保険は次のいくつかのコースから選択することになります。



 任意継続被保険者になる

  在職中に加入していた健康保険に引き続き加入する方法です。保険料は、在職中は会社と折半負担ですが、退職後は全額自己負担になるため、2倍(ただし上限あり)になります。病院での自己負担割合は在職中と同じ、本人2割・家族3割です。(ただし15年4月より3割になりそうです。)病気やケガの際の休業補償である「傷病手当金」も受けることができます。手続は、退職後20日以内に、住所地を管轄する社会保険事務所(又は健康保険組合)へ申請します。

 


 健康保険の扶養家族になる

  働いている家族の扶養に入る方法です。保険料が不要というのが魅力ですが、年金・失業 保険等も含めて年収が180万円未満であることが条件です。病院での自己負担は3割です。 手続は、家族の勤務先を通じて社会保険事務所(又は健康保険組合)に申請します。



  国民健康保険に入る

  各市町村の国民健康保険に加入する方法です。保険料は、前年の所得等に応じて決まります。病院での自己負担は3割ですが、厚生年金の加入期間が20年以上(または40歳以降10年以上)ある方が申請すれば、「退職被保険者」といって、現在2割負担になる制度があります。手続は、退職後14日以内に住所地の市町村役場へ申請します。


  2、雇用保険(失業保険)

  失業保険(正式には雇用保険の「基本手当」といいます。)は、「働く意思と能力があるにも かかわらず失業している人」に対して支給されるものです。そのため、失業保険をもらうには「 仕事を探しています」ということを職安(ハローワーク)に登録しなければなりません。これを「 求職の申込み」といいます。具体的には、退職後、会社から発行された「離職票」を持って、  住所地を管轄する職安へ行きます。7日間の待期後、4週間に1度ずつ職安へ通い、失業状  態にあることの認定を受けた上で支給されることになります。

なお、基本手当を受けている間は、年金の支給はストップします。


 3、厚生年金

 年金を受給するには、一定以上の加入年数が必要です。その条件をクリアしている方なら、60歳から厚生年金が受けられます。

「60歳から年金をもらうと損」とか、「昭和16年以降生まれの人は、60歳からもらえない」という 話をよく聞きますが、どちらも間違いです。厚生年金には、「報酬比例部分」と「定額部分」と  いう2種類の年金がありますが、今年60歳定年を迎える昭和17年生まれの男性は、「報酬比 例部分」は60歳から、「定額部分」は61歳からもらえます。昭和17年生まれの女性について  は、「報酬比例部分」、「定額部分」ともに60歳から支給されます。この年齢でもらったからと  いって減額されたり損をしたりすることはありません。

手続は、60歳のお誕生日の前日以降に、会社の管轄の社会保険事務所に行きますが、最  寄りの社会保険事務所でも受け付けてくれます。用意する書類は、年金手帳、雇用保険被保 険者証、戸籍謄本、預金通帳などですが、加入状況や配偶者の有無などにより異なりますの で、あらかじめ確認しておいたほうが無難です。

 最も気になるのは年金額ですが、受給年齢が近づいてきた方については、社会保険事務所 へ行けば年金の見込額を教えてくれますので、退職前に一度聞いておかれると安心です。

 


* 事業主様、人事担当者様へ *

 紙面の関係上、大まかなお話しかできませんので、実際に定年退職間近の方がいらっしゃ る場合には、手続をスムーズに進めていただけるよう、ご本人様に対してさらに詳しくご説明 いたします。お気軽にお申し付けください。

  また、定年後も引き続き雇用される場合は、必要な手続も変わってきます。まず、厚生年金 については、お給料に応じて減額支給となります。また、60歳前と比べてお給料が大幅にダ ウンした方に対しては、職安より「高年齢雇用継続給付」という給付金が本人様に対して支給 されます。会社側としては、希望者全員を定年後も再雇用する制度を作ったり、定年年齢を引 き上げたりした場合、助成金がもらえるケースがあります。詳しくは、また機会があればお話 したいと思いますが、興味のある方は西多事務所までお知らせください
                             nishida2@apricot.ocn.ne.jp