解雇の問題について
あなたの会社も狙われているかも・・・
 こんな人にご注意!! 法律を悪用し、一もうけたくらむ危険人物

 人間誰しも「ラクして儲けたい」という思いは多かれ少なかれありますが、
それでも大多数の人は、汗水流して一生懸命働いています。ところが、世の
中には悪知恵をはたらかせ、ずるいことをして一もうけしてやろういう輩が
いるものです。今回は、「労働基準法」という、本来労働者を守るためにある
法律を巧みに悪用し、企業からお金を巻き上げる危険人物についてお話し
ます。


 ある会社の求人広告にAという人物が応募してきました。面接では礼儀正しく、経験も豊富のようです。
社長は一目で気に入り、早速採用することに決めました。さて、Aの働きぶりはいたって良好。社長も大
満足です。
ところが、採用から15日目、Aの態度が豹変しました。仕事上の小さなミスをしたAに社長が注意をした
ところ、反省するどころかふてぶてしい態度、逆に仕事に対する文句や会社への批判を激しく言い始め
たのです。
カッとなった社長は、思わず叫んでしまいました。「君のような人間は、もう明日から来なくていい!!」Aは、
「つまり解雇ということですね?わかりました。」と言うと去って行きました。そのときAがニヤリと笑った
ことに社長は気づきませんでした。数日後、怒りの冷めやらぬ社長のもとに、労働基準監督署より1本
の電話が入りました。「先日Aさんという人を解雇しましたね?解雇予告手当の支払なしに即日解雇さ
れたと本人が相談に来ました。ついては事情を聞きたいので、○月○日監督署まで出頭するように。」
 監督署に出頭した社長は、たとえ試用期間であっても14日以上経過した者を解雇するときは、30日前
の解雇予告、あるいは平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払が必要であることを知らされま
した。こうして、社長は泣く泣くAに対して解雇予告手当を支払う羽目になったのです。

  これは、労働基準法第20条を悪用した典型的な手口です。 では、労働基準法第20条とはどんな条文
か見てみましょう。

  「労働基準法」第20条(解雇の予告)
 使用者は労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければなら
ない。
30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変
その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由
に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。

 
 そして続く第21条では、解雇予告や解雇予告手当の支払をせずに解雇できるケースが定められてい
ます。
その中に「試みの使用期間中の者」とあります。但し14日を越えて使用された場合を除くことになってい
ます。
つまり、試用期間14日以内の者なら解雇予告も予告手当も不要だがそれ以降は必要ということです。
Aはそれを知っていて、14日間だけはまじめに働き、15日目にわざと社長を怒らせ、解雇させるように
仕向けたのです。


 

では、このような事態になったときの注意点を次に述べます。
 @ まず、どんなに腹が立ってもその場で「クビだ!」「辞めろ!」「明日から来なくてよい!」などと言
わないこと。相手はそれを言わせるために挑発しているのですから、これを言ってしまうと相手の思う
ツボです。
 
 A 相手に重大な非がある場合(労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合)は、労働基準監
 督署の「解雇予告除外認定」を受ければ、解雇予告手当を支払うことなく即日解雇することができます。
 たとえば、盗み・横領・傷害などの犯罪行為があったとき、重大な経歴詐称があったとき、2週間以上
 無断欠勤したときなどです。ただし、いくらそのような行為があったとしても、監督署の認定を受けなけ
 れば、やはり解雇予告又は予告手当が必要となってきますから注意が必要です。
 
 B その従業員とのやりとりはメモしておくといいでしょう。何月何日、どういう言動があり、それに対して
 どのように対応したか、次に述べる「就業規則」に違反する行為や懲戒事由に該当する行為があった
 ときなどは特に・・・。

 
 C 会社のルールブック「就業規則」がこのようなとき威力を発します。どのような場合労働者を解雇
 するか、どういった手続を踏んで解雇するか、退職金はどうするのかなど、細かく決めておくことがトラ
 ブルを避けるために必要不可欠です。
 上記のAのように故意に解雇予告手当を請求する常習者はまれですが、解雇をめぐるトラブルは、日頃から大変多く発生しています。懲戒解雇、普通解雇、いわゆるリストラ解雇など、さまざまなケースがありますが、よほど慎重に対応しないと、労働基準法違反に問われたり、不当解雇だと言って訴えられたりすることになりかねません。「解雇だ!」と叫ぶ前に必ず西多事務所まで相談を。そして、こういったトラブルの際、威力を発揮できるしっかりした「就業規則」の作成を。詳しくは西多事務所までお問い合わせください。