■■■決定版!改正労働基準法について■■■
   

 平成16年1月1日より労働基準法が改正され、既に施行されています。今回は主な改正点のポイントと実務対応について見ていきます。


(1) 就業規則・雇用契約書等における解雇事由の明示化

労働契約終了に際して多発しているトラブルを未然に防止するために、改正法では解雇事由の明確化が求められることになりました。


■@就業規則の記載事項での明確化■
就業規則に必ず記載すべき「退職に関する事項」について、「解雇の事由」が含まれることになりました。そのため、解雇に関する事由が記載されていない就業規則の場合、その点を追加するとともに、監督署への変更届出が必要になります。今回の法改正の解雇関連事項に対応した、行政側が作成した「モデル就業規則」の原案(まだ一般には出回っていません)を入手し確認しましたが、西多事務所で作成したお客様の就業規則は、既に出来る限り解雇の事由を明確かつ詳細に記載しているため、改定・変更の必要はないと思われます。
なお、裁判になると、就業規則に記載していない理由で解雇は出来ないという場合があり得ますので、想定できないような解雇事由に対応するため、「前各号に準ずる事由のある場合」といった、包括条項を服務規律、解雇事由の箇所に入れておくことが重要です。


■A労働契約締結時の解雇事由の明示■
使用者が、雇入れの際、書面により明示しなければいけないものに、「解雇の事由」が含まれました(
下表の傍線部)。賃金だけを明示すればよかった時代の名残か、正社員の入社に際して、配属先と初任給しか記載されていない辞令を交付するだけ、というケースがいまだに見受けられますが、平成11年4月以降は書面で明示すべき事項は、以下のとおりとなっています。つまり、簡単な辞令交付のみでは、もう労働基準法に対応できていないわけです。これからは、正社員にも雇用契約書を交付する時代になったと言えるでしょう。

(1)労働契約の期間に関する事項  (2)就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(3)労働時間に関する事項  (4)賃金に関する事項  (5)退職に関する事項(
解雇の事由を含む)

  
(2) 解雇ルールの法制化


■@解雇ルールの明文化■
(改正後)労働基準法18条の2解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする。・・・・・との規定が追加。

ただし、違反に対する罰則もありませんし、解雇が有効か、無効かを争う場合の判断は  従来どおり裁判所が行うことになります。しかし、監督署がこの規定を根拠に今まで以上に、企業の呼び出しをしたり、事実上のあっせんをしたりすることが予想されます。


■A解雇予告の際の解雇事由明示請求権等■
従来からある退職時証明書に加えて、解雇を予告された労働者は、解雇の理由を記載した文書(証明書)を請求できることになりました。これにより、労働者は「解雇は事実誤認である」といった反ばくの機会が与えられることになります。また、安易に一つの理由だけ記載して証明書を交付し、裁判になって慌てて、解雇事由を後から追加したりすると、  出し遅れになる危険が大いにあり、証明書を交付する際は、出来るだけ解雇の理由を詳細に記載しておくことはもちろんのこと、十分な精査・吟味が必要だといえます。
 


(3) 有期労働契約期間の上限の延長等


■@期間の延長■
改正法で有期労働契約の期間の上限について1年を3年に延長するとともに、医師等専門的な知識・技術等を有する労働者および満60歳以上の高齢者に係る場合は、5年になりました。ただし1年経過後、労働者は使用者に申し出れば、いつでも退職できるとなっています。一方使用者側は、1年を超える拘束性を課されることになるため、あまりメリットがないといえます。また、契約社員にしているのは、短期の雇用を意図しているからだということを考えると、従来通り3ヶ月や1年契約等のままの方がよいと思われます。


■A契約の更新・雇止めに係るルールに関する基準■
契約更新・雇止めに関するトラブルが多いことから、次のような基準が定められました。
(1) 期間の定めのある労働契約をする場合は、契約期間満了時の契約更新の有無を明示しなければならない。(2) 契約更新する場合がある旨明示した時、更新する場合又はしない場合の判断基準を明示しなければならない。(3) 雇入れて1年を超えて継続勤務している者に対して、更新しない場合は、30日前に予告しなければならない。(4) 契約更新しない場合、更新しなかった理由について証明書を交付しなければならない。
今回の改正で直ちに、反復更新してきた期間雇用を更新拒絶したからといって雇い止めが無効になることはありませんが、裁判になったときには、何度も更新を反復したような場合は、無効と判断される可能性もあります。



以上、労働基準法の改正の中から特に重要と思われる点について説明させていただきました。もっと詳しく、という事業所様は、西多事務所までご遠慮なくお尋ねください。