平成17年4月より個人情報保護法が本格的に施行されました。
西多事務所へのこの関連での従業員対策の質問は、4月に改正された年金法、育児介護休業法等より多い気がします。
さて、個人情報保護法では、すべての事業所へ保有している個人情報保護に関する義務を課しているわけではなく、原則として、個人情報が5,000人を超えない場合は適用が除外されています。ちなみに、個人情報は従業員・顧客かを問わず、すべてカウントする必要があります。そのため、たとえ従業員は10人であっても顧客等の個人情報が4,995人の場合は合計5,005人で、「個人情報取扱事業者」となりますので従業員の少ない事業所でも注意が必要です。また、5,000人以下の個人情報しか保有していなかったとしても、個人情報を流出させた事業所は今後、厳しく責任を問われるのは間違いありませんので個人情報の多い少ないにかかわらず、管理を厳にする必要があります。実際昨年ヤフーBBが451万人の個人情報を流出させた際には、見舞金500円×451万人=22億5,500万円を支払うケースがありました。このように個人情報を漏洩させると多大な経済的損失が発生する恐れがあります。


個人情報保護法のポイント
大雑把ではありますが、個人情報保護法(以下「法」という。)では8つの原則があります。
 
 @利用目的の明確化、A目的外利用の制限、B情報収集の制限、C情報漏洩の防止、D第三者への情報提供制限、E情報公開の原則、F事実と異なる場合の訂正削除の義務、G苦情に対する適切な対処

人事関連分野の対策について

 顧客に関する個人情報の取扱いに関しては、結構、自社で対策をたてておられるようですので、今回は、人事分野の個人情報対策に関して見て行きたいと思います。

【その1】事業所が従業員の採用試験段階で、応募者の個人情報を取得する際は、どのような点に注意すべきでしょうか?
 
 ⇒法18条で「個人情報を書面で取得する場合には、あらかじめその利用目的を明示しなければならない。」となっています。そのようなことから、「あなたから応募時に提出された書類に含まれる個人情報は採否選考決定および、採用された場合の配置、賃金その他の処遇決定のために利用します。」などと、募集要項等に明示する必要があります。


【その2】給料を昇給したところ、従業員Aより、「何故このような低い昇給評価
なのか、根拠を見せて欲しい。」と開示請求があった場合の対処は?

 ⇒法25条では「本人から保有個人データの開示を求められた際は開示しなければならない」旨を定めています。通常は、このような開示を求めてくるのは、上司の上司評価と本人の自らに対する評価に著しい格差があるからと思われます。しかし、上司は本人に伝わらないことを前提に忌憚のない評価をしているからこそ、使用者に正確な 評価を提供できているかもしれません。簡単に本人に見せてしまうと、その後、上司は率直な評価コメントを記載することをためらうようになるかもしれません。
この場合の対処法として法では、「業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」に該当したときは、開示請求に応じないことが認められているため、人事考課に支障が生じるとしてこの事例は開示を拒めばよいでしょう。


【その3】個人情報の安全管理を実行していく上で各従業員に対して、どのような対応をしたらよいでしょうか?

 ⇒法21条では事業所に対し、従業員に個人データを取扱わせる際には適切な監督を義務付けています。そこで、以下の3つの対策などをする必要があります。
●1点目として、採用時には「守秘誓約書」を提出してもらうことが効果的です。もし情報漏洩した場合など義務違反を問うことが容易になりますし、なにより署名捺印した本人の「心の引き締め」としての自制心が働き、安易な行動を防止する効果が期待できます。
●2点目が「個人(機密)情報管理規程」を作成し、従業員に遵守させることです。個人情報の安全管理のための規程を整備することは、従業員に対して監督を実行するためには欠かせません。別規程作成までを考えていない場合でも、就業規則(社内規程)の服務規律あるいは、懲戒事由の箇所に「事業所の経営上または業務上の重大な秘密ならびに職務上知り得た個人情報を正当な理由なく事業場外に漏らし、または漏らしてはならない。」といった 条項を追加すべきです。
●3点目が退職時にも守秘の誓約書を取ることです。事業所としては退職時における顧客情報等の持ち出しを防止するためにも、是非取っておきたいことろです。
また、法22条では委託業者等へも同様の監督を義務付けていることから、派遣社員や業務委託業者に業務を依頼している場合、それらの関係者等からも誓約書を提出してもらっておことが重要です。


ずさんな管理で、個人情報はもちろんのこと、営業秘密を流出させてしまっては企業イメージの低下や売上の減少だけでなく、存亡の危機にたたされることがあるかもしれません。西多事務所では、規程や守秘誓約書の見本がありますので必要な顧問先事業所さまは西多事務所までご連絡ください。