退職にまつわるQ&A

企業では、入社・退社・人事異動と、人の動きが多くなります。
今回は、その中でも、特にトラブルの起こりがちな「従業員の退社」に際しての諸問題を考えて
行きましょう。                                               

Aさんが突然「今日付で退職したい」と言い出しました。



@ 後任の問題もあり、突然辞められるのは会社としては大変困ります。せめて引継ぎが終わるまでの間、勤務してもらうことはできないのでしょうか。

 ⇒労働者には、「職業選択の自由」、「苦役からの自由」が憲法で保障されているため、 いつでも一方的に退職を申し出ることができます。しかし、「今日申し出て今日辞める」というのはあんまりです。そこで、民法では次のように定められています。
  
  
ア、原則として、退職の申し入れ後、2週間経過したら、雇用契約は終了する。
  イ、月給制など、期間をもって報酬を定めている場合、退職の申し入れは、退職 しようとする
   期間の前の賃金計算期間の前半になすことが必要


つまり、退職を申し出たからといって、その日のうちに効力が発生するわけではないので、一定の期間が
経過するまでは勤務してもらうことができるのです。もちろんこれは、その日がくるまで退職させてはならな
いという意味ではありません。本人が申し出て、会社側がそれを承認するのであれば、即日退職ということ
になっても差し支えありません。 


A 退職の申し出は、口頭でなされたものでも有効でしょうか。

 ⇒口頭でも有効ですが、あとあとトラブルが起こらないよう、退職日や退職理由などを 記載した「退職届」等の書面を提出してもらっておくほうがベターです。
 



B 退職に際し、Aさんから返してもらう物は?

 ⇒制服、社員証、バッチ、名刺、ロッカーや机の鍵、社用車のキーなどは、悪用を防ぐためにも必ず返してもらいましょう。 また、健康保険証も忘れずに。



C 逆にAさんに対して渡すものは

 ⇒ ア、離職票(失業給付を受けるために必要な書類です。)
   イ、退職証明書(国民健康保険や国民年金に加入する際、必要な場合があります。) 
   ウ、源泉徴収票(再就職先で年末調整を受ける場合や確定申告をするとき必要です。)
   エ、退職時までの給与および給与明細
   オ、退職金および退職金明細
   カ、年金手帳・雇用保険被保険者証(会社で預かっている場合)


病気で入院中のBさんが、治療に専
念するため退職することになりました。


 @ 保険証を返却した後、Bさんの健康保険はどうなるのでしょうか。

 ⇒次のいくつかの方法があります。
  ア、《任意継続被保険者になる》これは、在職中に加入していた健康保険に引続き 2年間加入できると
    いう制度です。在職中と同じ2割負担で治療が受けられます。
  イ、《国民健康保険に加入する》 各市町村の運営している健康保険です。
  ウ、《被扶養者になる》 配偶者や親などの扶養家族になるという方法です。

      ※ イ、ウの場合、自己負担は3割になりますが、Bさんのように治療中の病気がある
        人は、「継続療養」の申請をすれば、その病気に限り在職中の健康保険を使って、
        2割負担で治療が受けられます。ただし、退職前に健康保険の加入期間が1年以上
        あることが条件です。


A 「傷病手当金」をもらっていましたが、退職すると打ち切られるのでしょうか。


  ⇒傷病手当金は病気欠勤したとき、お給料の約6割が補償される制度です。退職前に健康保険の加入
  期間が1年以上ある人については、退職後も引続き支給されます。(前記の任意継続被保険者になった
  人は、退職前の加入期間が1年以上なくても支給されます。)※ 万が一、事故が起こってしまったときは
  、けが人を病院へ連れて行くと同時に、西多事務所へすぐ
お知らせください。

    


 参 考 
健康保険の加入期間が1年以上ある人が、退職後6ヶ月以内に出産したときは、出産
手当金と出産育児一時金が受給できます。出産手当金を受給中に退職した場合も、引続き受給することができます。
 では、労災事故により休業中の人が退職した場合はどうなるでしょうか。この場合、退職後も引続き労災保険を使って治療し、休業補償を受けることができます。
ちなみに、産前産後休業中の人と業務災害により休業中の人は、解雇してはいけないことになっています。この件については、また別の機会にご説明しましょう。

★ 従業員さんの入社・退社のご連絡は、お早めに西多事務所までお願いします。★