通勤災害にご注意!

 さて、あなたは子供の頃、先生やご家族から「道草をしてはダメよ。」とか「寄り道をせずまっすぐ帰りなさい。」と注意されたことはありませんか?そんなとき、「大人になったら好きなだけ寄り道をしたい。」と思った方もいらっしゃると思います。けれども、寄り道・道草は、実は大人にとっても、あまりよいことではないのです。特に会社の行き帰りに関しては注意が必要です。

通勤途中に万が一、ケガをしたような場合、「通勤災害」と言って、「労災保険」から治療を受けたり、休業補償を受けたりすることができます。ところが、途中で寄り道すると、「通勤」とはいえないということで、労災保険からの補償を受けられなくなってしまうことがあるのです。

また、寄り道以外にも、通勤災害と認められないケースはいろいろあります。どんなケースが「通勤災害」に該当するのか、あるいは、該当しないのはどのようなケースなのか、具体例を見てみましょう。

労災保険上の「通勤」とは?

「労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること」


「通勤」と認められないケース

@ 帰宅途中に映画館で映画を観たり、飲食店でお酒を飲んだりした場合。
A デートをして長時間話し込んだりした場合。

B 近道するため、電車の線路内を通ったような場合。

C 無免許運転、泥酔運転。
D 友人宅にてマージャンをし、翌朝そのまま会社へ出勤する場合。・・・・など


「通勤」と認められるケース
 @ 業務終了後、社内でレクリェーション、サークル活動、労働組合活動をした後、帰宅する場合。
             (ただし、長時間に渡るときはダメな場合あり。)
 A 昼休みに昼食を食べるため、自宅へ帰る場合。
 B 単身赴任先のアパートより会社へ行く場合。
 C 交通ストライキのため、臨時に宿泊した旅館から会社に通う場合。
 D 共働きの人が、通勤途中で子供を託児所に預けに行く場合。
 E 道路工事のため、通常の経路から迂回した場合。
 F 通勤経路の途中で、公衆トイレに寄ったり、タバコ・雑誌を購入したりする場合。
 G 日常生活上必要な行為であって、やむを得ない事由により行う最小限度のもの。
   日用品や惣菜などの購入、クリーニング店への立ち寄り、散髪、職業訓練や学校、
選挙、病院での診察などが該当します。それらの行為を行っている途中はダメですが、それが終わり、通常の通勤経路に戻ったところから、「通勤」として認められます。


最近の事例から・・・

平成13年1月26日、JR山手線新大久保駅構内で、線路に転落した男性を救出しようとして電車にはねられ2名の方が亡くなられました。お二人はそれぞれ、勤務先から自宅へ戻る途中でした。この事件に関して、管轄の労働基準監督署は、二人の災害を通勤災害と認め、労災保険の給付を行うことを決定しました。通常、通勤途中に火事に遭い、消火活動を手伝ったり、故障車の修理を手伝ってあげたりしてケガをした場合は、通勤に関係のない善意行為によるものということで、通勤の中断とみなされ、通勤災害とは認められません。しかし、今回の事件は、「線路に転落した人を助けようとした咄嗟の反射的な行動であり、通勤の中断や逸脱はない。」ということで、通勤災害と認められたのです


通勤災害に対する労災保険の給付(主なもの)
@ 療養給付・・・労災指定病院にて無料で(ただし、一部負担金200円あり)治療を受けることができます。指定病院外で治療を受けた場合は、かかった費用が払い戻されます。
    A 休業給付・・・4日以上休業し賃金を受けない場合、お給料の約6割が支給されます。
B 障害給付・・・障害が残った場合、程度に応じて年金又は一時金が支給されます。
C 遺族給付・・・死亡したときは、遺族に対して年金又は一時金が支給されます。

日が短い季節、凍結や雪の季節(まだ少し先ですが)には通勤災害の危険が増します。不要な寄り道はなるべく避けて、安全に通勤してください。また、通勤災害によるケガは健康保険を使って治療することができません。通勤災害が発生したときは、速やかに西多事務所までお知らせください。また、交通事故の場合は、自動車保険との調整などあり、ややこしいです。この場合もお早めにご相談ください。